森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2017.02.14
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カテゴリ: 生の欲望の発揮
ロスアンゼルス自殺予防センター所長だったシュナイドマン博士が、自殺者を調査したことがある。
それによると、戦争中には自殺やうつ病が少なかったことが報告されている。
この理由として、 1つには、人々は孤独でなかったということである。
戦争中には、我が国を例に挙げれば「隣組」という助け合いの組織があって、お互いに近所同士が助け合いながら生活をしていた。孤独ではないということが、うつ病や自殺防止に役立っていたのであろう。

2つ目は、人々は人生目標をしっかりと持っていたことである。
戦争はもちろんよくないことではあるが、 「戦争に勝つまで頑張る」という人生目標がはっきりしていた。これがうつ病や自殺の防止につながっていたのである。

戦後10年を経て、人々はようやく息を吹きかえしてきた。
やっと生活するのに困らなくなってきたのである。
すると、皮肉なことに自殺は増加し始めた。


人間はもともと、 「生きがい」や人生目標を持って生まれてきた訳では無い。
両親の都合で生まれてはきたが、生まれてきた以上、生きなければならない。
そのためには、自分自身の生きがいを見出さなければならないのである。
生きがいは他人から与えられるものではない。自分で作り上げるものである。
しっかりした「生きがい」がないとなると、生きがいを探すことを生きがいにしなければならない時期もある。また、生きがいは、決して趣味や遊びからは生まれてこない。
生きがいはあくまでも建設的な姿勢に宿ることも心得ておくべきであろう。
(不安な心と上手に付き合う本 大原健士郎 PHP 166頁より引用)

人間の人生には、だれでも自分の意に沿わない生育環境、問題や課題が用意されている。
それらを何とかして乗り越えようとしている限りにおいては、うつや自殺などを考えることが少ない。
自分に与えられた仕事や家事、育児、問題や課題、夢や目標を失ったとき、人間は生きる張り合いをなくし、緊張感がなくなる。生気がなくなり抑うつ的になっていく。
人間の脳では前頭葉が次第に廃用性萎縮を引き起し、認知症などの症状を引き起こす。


「年を重ねるだけで人は老いない。
理想を失う時に初めて老いがくる。
歳月は皮膚のしわを増やすが、情熱を失う時に精神はしぼむ。
苦悩や孤疑いが、不安、恐怖、失望、こういうものこそ恰も
長年月のごとく、人を老いさせ、生気ある魂をも芥に帰せしめてしまう」


ここで、大原先生は、生きがいは決して趣味や遊びからは生まれてこないと言われている。
趣味や遊びは人間に意欲や潤いを与えてカンフル剤にはなっている。
でも1日中趣味や遊びで塗り固めたような生活をしているとそのうち空しくなってくる。
他から与えられた楽しさというのは、刹那的喜びにすぎないものだと思う。
それを追い求めていくと耐性がついて、どんどんとエスカレートしてくる。
そのうち本来真っ先に手をつけるべき日常茶飯事、子育て、仕事、勉強などが放棄されてくる。
このような状態は砂浜に家を建てるようなものである。
土台がしっかりしていないので、どんなに立派な家を建てても次第に家が破壊されてくる。
森田先生も、本来やるべき事を放棄して、趣味などにどっぷりとつかるような生活態度は厳しく指摘されている。

次に、うつや自殺に追い込まれそうな時、大事なことは助け合いの人間関係を維持することであると言われている。
人間関係については、森田理論学習では、つきず離れず、 「不即不離」ということを学んだ。
その中でも最低限、集談会での人間関係は大切にしたいと思う。
それ以外にも、できるだけ幅広い人間関係を築いていくことに注力していく。
そして、何かあった時は自分1人で解決しようと思わないで、適宜適切に相談して解決にあたりたい。
特に退職して話し相手が配偶者だけというのは出来る限り避けたい。
趣味や町内会、あるいは同窓生など幅広い人間関係を築いて、臨機応変に多くの人と交流を持ちたいものだ。





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Last updated  2017.02.14 06:30:04
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kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

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