森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2018.06.20
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神谷美恵子さんはらい病で長島愛生園に隔離されていた人に次のように質問した。
「病気になる前と比べて現在はどんな心境ですか」
すると、次のような返答があった。
「よりよく人生を肯定しうるようになった」
「心豊かになった。安らかになった」
「心が高められ、人の愛、生命の尊さを悟った」
「事業欲、出世欲が消失し、潔白になった」
「人生の目的を知り、人生を咀嚼する歯が丈夫になり、生きる意味を感じる」
「考え深くなり、あらゆる角度からものを考えるようになった」


その結果は次のようなものだった。
1 、人生というものをじっくり考えるようになった。 (37.3%)
2 、かえって心豊かになった。 (13%)
3 、信仰を得た。(13%)
4 、何も得られなかった。 (8.7%)
5 、性格が良い意味にも悪い意味にも変わった。(20%)
6 、回答なし。 ( 8% )
これを見ると、不治の病に侵されても、少なくとも過半数の人は精神的に成長したと考えているようだ。
(生きがいについて 、神谷美恵子 みすず書房 263ページより引用)

らい病にかかると、目が見えなくなる、体の自由が利かなくなる。また顔かたちが異様に変形する。
このような運命に翻弄されると、ほとんどの人は夢や希望を失い、人生に失望してしまうと思いがちだが、実際にはそれは違う。そういう人もいる半面で、その過酷な状況を受け入れて、そこを出発点として人生を組み立てていけるようになった人は、むしろ病気となったことがプラスに作用しているのである。


これは神経症に陥った人もとても参考になることである。
神経症になってやぶれかぶれになり、無為の人生を送る人もいる。
どうして自分だけが神経症で苦しまなければならないのか。
神経症で苦しむことがなかったならば、どんなにか素晴らしい人生になったことだろう。
人生は理不尽だ、不平等だと考える。

もし神経症にならなかったらそういう出会いはなかった。
神経症で苦しい一時期を過ごしたが、それも今となっては懐かしい思い出だ。
結局神経症で苦しんだ事は、自分にとってはこの上ない幸運・恩恵を与えてくれた。
そういう人は、森田理論によって神経症を克服するだけではなく、神経質性格の持ち主として人生観をも確立しているのである。
こういう人は自分に与えられた過酷な運命を、自分が解決すべき人生の課題として捉えて、四苦八苦するうちに、森田理論に出会えたのである。解決の糸口を見つけられたのである。
森田理論の研究と実践が自分の生きがいになっているのである。

水谷啓二先生は次のように言われている。
現代においては苦しむことを嫌がり、安楽を求める傾向が強いけれども、私どもは人間的に脱皮し成長するためには、さんざん苦しむと言うこともまた、極めて大切であり、避けられない事でもある。
だから私は、 「苦しくてたまらない」と訴える人に対して、 「苦しみぬいてこそ、この世の安楽仏国に生まれることができるのだ」 と教えている。
特に、まだ年が若くて苦労の経験が足りない人が、何やかと苦痛を訴えてくるのに対しては、 「もっと苦しみなさい」と叱るように言うこともあるが、それは本人をその自己中心的な暗い世界から、お互いに心の通い合う光明の世界に導き入れるためである。
(あるがままに生きる 水谷啓二 白揚社 27ページより引用)





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Last updated  2024.06.04 09:51:07
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kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

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