森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2020.02.02
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カテゴリ: 行動のポイント
今日も野口健さんのお話です。

2005年1月にケニアの国立公園に行かれたそうです。
アフリカの野生動物は弱肉強食の世界に生きている。
音にもにおいにも敏感。厳しい目をして必死に生きていた。

帰国すると、我が家の飼い猫が、おなかをさらけ出しゴロゴロとノドを鳴らして全く緊張感がない。
「お前、違うだろう」と怒ってみたものの、その本能を失った猫殿と山を下り緊張感のない私の姿が重なって見えた。

ヒマラヤは感覚の世界だ。
登山中にいちいち理屈で物事を考えていたら遭難してしまう。
1ヵ月間もヒマラヤにいると、雪崩や落石、氷河などの崩壊の危険に絶えずさらされているためか、音に敏感になる。また湿度や温度など、微妙な変化まで全身の毛穴や肺胞で感じとれる。

どれも危険を素早く察知するためだ。

ヒマラヤにいる時の自分の表情を写真で見て、その眼光の鋭さに驚いたことがある。
まさしくアフリカで見た野生動物と同じ目をしていた。
人はなぜ、あえて危険な冒険に魅せられるのか。
時に五感をフルに働かせ、生き延びることだけに必死になりたいのかもしれない。
人間も動物だって同じことだ。
(自然と国家と人間と 野口健 日経プレミアシリーズ 16ページより引用)

ガスの元栓、玄関の鍵、エアコンなどの切り忘れなどの確認行為で苦しむ人たちは、自分の五感が信頼できないといわれます。五感よりも理屈で納得しなければ落ち着かない。
気が狂いそうになるということだと思います。
五感よりも、頭で納得する体質が頑固に身についてしまっているのです。

野口さんによると、そういう人は緊張感のない生活をされているということになります。

自分では決してそんなことはないと思っても、ヒマラヤに行けば実感として分かるそうだ。
またその日食いつなぐことに必死に生きている開発途上国の人たちを見ていると、第一目つきが違う。
眼光鋭く、うつろで憔悴した目つきをした人はいない。

それはその人の置かれた境遇や環境によるものです。
身の危険を感じることがない。食べることに困らない。

感性や感受性が廃用性萎縮現象を起こしてしまうのである。
有り余る時間を、刹那的で刺激的な快楽の追及で穴埋めしようとしている現代人は、緊張感がなくなり、五感は正常に機能しなくなっているのだろう。
それを理屈で納得させてすっきりさせる手もあるのだが、ちょっと無理があると思う。
いったん納得しても、またそれを打ち消すような不安が生まれてくるからである。

そうかといって、我々はヒマラヤで登山をするわけにはいかない。
開発途上国で暮らすことなど考えられない。
ではどうするのか。それは森田理論が教えてくれている。
それは、今この瞬間に集中して、ものそのものになって生活することである。
日常生活に丁寧に取り組むことだ。まずは食べること。
食材を自分で作る。買いだしをする。下ごしらえをする。料理をする。味わう。後片付けをする。
加工食品を作る。あとは洗濯、清掃、整理整頓などである。凡事徹底に取り組む。
そんな生活の中から、興味や関心、工夫や発見が見つかり、ささやかな幸せを感じる。
つまり感性が活性化される。特に神経質者の場合は顕著であると思う。

何だそんなことかと思われる人がおられるかもしれない。
それより理屈で納得させてくれと言われるかもしれない。
それも大切だが、それよりも緊張感のある生活を取り戻すことがより効果があると思います。
すると五感が再び活動を開始してくれるようになるでしょう。
森田理論の学習でも、納得ができるまで深耕しようとするその態度は立派であるが、理論の生活への応用や活用とのバランスが崩れている人は要注意であると考えている。





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Last updated  2020.02.02 06:35:51
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森田生涯 @ Re[3]:強情と盲従の弊害について(02/27) ststさんへ 今の生活は日中のほとんどが…
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