森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2020.02.04
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私たち人間は五感でチャッチしたものをそのままに味わっているわけではありません。
その時々に湧き起こる感情に一喜一憂しているだけなら、犬や猫などの動物と同じです。
感情の事実そのものになりきっているわけですから、悩みや葛藤は生まれません。
最終的にはその情報を大脳の前頭前野に送って、情報処理を行っているのです。
情報処理とはかっこいいものですが、是非善悪の価値評価を下しているのです。
それに基づいて行動を選択しているのです。

価値判断するためには物差しが必要です。その物差しは人によって微妙に違っています。
それは生まれ持った性格、資質、生育環境、家庭環境、家庭教育、時代環境、学校や社会教育などに左右されます。誰でも自分が下した是非善悪の価値評価は絶対に間違いないと思っています。
それは自分が独自に正しい判断していると思っていますが、実際には様々な影響を受けているのです。


たとえば戦時中は、国家に洗脳されて、自分の命はお国のために差し出すのが当たり前という価値観を植え付けられていました。
ゼロ戦や人間魚雷のようなものに乗って、敵艦に体当たりするようなこともできたのです。
今考えると間違った価値観ですが、その当時は絶対に正しいという確信めいた価値観だったのです。

その不安定で変化してしまう価値観を絶対的なものとして崇め奉り、自分や他人に押し付ける態度を森田では「かくあるべし」の弊害として説明しています。森田先生曰く。
「この善し悪しとか苦楽という事は、事実と言葉との間に非常な相違がある。この苦楽の評価の拘泥をを超越して、ただ現実における、我々の「生命の躍動」そのものになりきって行く事ができれば、大学卒業程度のものであろうか。「善悪不離・苦楽共存」というのもこのことである。
(森田全集第5巻 653ページより引用)

森田先生は、安易な価値評価、価値判断を現実に当てはめようとする態度は問題である。
価値評価への拘泥から解き放されて、事実に寄り添う生活態度の養成が重要である。
いかようにも変化しうる価値判断を優先して、事実を「かくあるべし」に従属させるような生活態度を強く否定されているのだと思われます。これが森田理論の眼目なのです。
事実を認めて、事実の立場から出発して、生の欲望の発揮に邁進することが肝心です。

明日はこの安易な価値評価を乗り越えるためのヒントを考えてみたいと思います。





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Last updated  2020.02.04 06:33:32
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