森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2022.04.01
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カテゴリ: 生の欲望の発揮
将棋界の革命児の藤井聡太さんが史上最年少で5冠を達成しました。
報道陣から富士登山に例えるとどのあたりに到達したと思えるかという質問がありました。藤井さんは、草木が途切れる5合目あたりだと答えていました。
私はこの発言を聞いて藤井さんの時代はまだまだ続く確信しました。
5つのタイトルを獲得したことに満足していない。
自分の追い求めているゴールはまだまだずっと先にある。
現状への満足感よりも挑戦者としての気持が強いというのがその理由です。

これはダニング・クルーガー効果と言われています。
これは、1999年にこの効果を定義したコーネル大学のディヴィッド・ダニングとジャスティン・クルーガーが提唱した認知バイアスのことです。

この理論は、簡単にいえば 「能力の高い人は、自分の能力を過少評価する。逆に能力が低い人は、自分の能力を過大評価しやすい」
何のことかよく分かりませんね。説明してみましょう。

たとえば、平均点50点のテストがあったとします。
普通、平均点以上の人は、みんな自己評価が高いはずだと思います。
特に高得点をとった人はうれしいはずです。
反対に平均点以下の人は、意気消沈します。
自己評価は当然低いはずだと考えやすい。
この認識は逆だというのです。
現実を見るとそれがよく分かるというのです。

平均点以上の人は、「自分はまだまだだ。こんなものではない」と思ってさらに努力精進を重ねる。
平均点以下の人は、「自分はこんなものだ。これが限界だ。これ以上は無理だ」と思ってそれ以上努力しなくなる。
なるほどそう言われれば、そういう面があるかもしれない。


平均点以上の人は、小さな成功体験で自信をつける。
その自信がはずみとなって、もっと点数を伸ばしたくなる。
次の新たな目標を再設定して、そこに到達しようと努力を開始する。
決して最初の目標地点に到達したことに満足していない。
つまり緊張の糸が途切れていない。緊張感が持続している。

ドパミンやβエンドルフィンがA10神経系を走り回っているという状態です。

平均点以下の人は、その結果に発奮して努力精進するというよりも、あきらめに近い心境になる。
物足りない成績ですから、やらなくてはと思うが、どうもやる気が出てこない。
このとき、大脳ではドパミン主導の報酬系神経回路の活動が停止されている。
大脳の働きがノルアドレナリン主導の防衛系神経回路に切り替わっている。
緊張感が弛緩状態に変わり、行動は抑制的に作用している。
いくら自分を鼓舞して、「努力しなければ」と思っても、本音の部分が逃げ腰になっているのです。脳の回路は急には転換できないのです。
それが「かくあるべし」となって、自分を否定しているわけですから、よい方向に向かうはずがないということです。

森田理論の最終目標は、「生の欲望の発揮」だと思います。
人それぞれの課題や目標が明確になっていて、それに向かって努力を続けているかどうか。その姿勢が問われているのだと思います。
特に日常茶飯事に丁寧に取り組んでいるかどうか。
一番は食べることです。そのほか掃除や洗濯。整理整頓。不具合箇所の修理。身近な人との付き合い。子育て。仕事や勉強。これらに全力投球しているかどうかです。ここがクリアーできていれば、森田の生の欲望の点数は高いと思います。
これは命ある限り続きます。
しんどいことはパスしたいといって妥協してしまうと、すぐに緊張の糸が切れて、味気ない人生に転落してしまうということを肝に銘じて生活したいものです。
ここで基礎点を確保していれば、あとはいくらでも上積が狙えると思います。
趣味や特技、夢や希望など自分やってみたいことに挑戦すれば、それがそのまま加点されます。それが人生の醍醐味と言うか、味わい深さを演出します。





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Last updated  2024.06.03 23:48:34
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kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

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