森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2022.09.07
XML
ある料理人のエピソードをご紹介しましょう。

彼のお母さんはいわゆるネグレクト(育児放棄)で全然家事などをせず、彼自身、子どもの頃から家族のために料理を作らされていたそうです。
しかも、小学生のときには彼が作った料理を食べて「まずい!こんなものを親に食わせるのか」とお皿を投げつけられたこともあるそうです。
しかし、彼は両親やきょうだいにおいしいものを食べさせたくて必死に料理を頑張り、やがてそれを職業にしました。
そして、腕を認められ、若くして店を持ち、人気店になり、賞をとったのですが、彼はその授賞式でこんなスピーチをするのです。
「私はただ家族に、そして、目の前の人においしい料理を食べてほしくて必死だっただけです。そのうえでこの賞をいただけるのならば、私を料理人として育ててくれたお母さんに真っ先に感謝を伝えたいと思います。お母さん、ありがとう」
(7日間で自己肯定感をあげる方法 根本裕幸 あさ出版 159ページ)

普通親からこのような育て方をされたら、一生親を憎み続けると思います。
とても「お母さん、ありがとう」という気持ちにはなれないと思います。


そして家を空けて遊びまわっていたのではないでしょうか。
そういう母親に育てられるとまともに育つことはほぼ不可能です。
いさかいが絶えなくて、最悪の養育環境で成長することになります。
そして親に反抗して、早晩家を飛び出すことになると思います。

この方はそうはならなかった。
最初はイヤイヤ、仕方なく料理をしていたのかもしれません。
必死にやっているうちに、少しずつ腕を上げ、料理の面白さが分かってきたのでしょう。家族が喜んでくれるようになり、店を持ってからはお客さんに喜んでもらえるようになった。

これは自分の置かれた境遇をあるがままに認めることができたからこそ可能になったのだと思います。非難、否定していると現実を素直に認めることは出来ません。
相手を憎み、攻撃するエネルギーはどんどん蓄積されていきます。
事実を素直に認めることができるようになると、エネルギーの無駄遣いはなくなります。理想と現実の乖離もなくなりますので、葛藤や苦悩もなくなります。
そして、有り余ったエネルギーを現状改善ために使うことが可能になります。


人間は大脳の前頭前野が高度に発達し、言葉をあやつり、観念優先の世界にどっぷりと漬かっています。
それが人間に葛藤や苦悩、神経症を生み出していると教えてくれました。
森田理論は事実の世界を優先する必要があるのではありませんかと問題提起してくれています。

事実の世界を観念の世界の上に持ってくる。
これが森田理論の目指している世界観です。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2022.09.07 06:36:23
コメントを書く
[観念重視から事実重視への転換] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

Keyword Search

▼キーワード検索

Favorite Blog

知らぬ間に立派な大… 楽天星no1さん

泉佐野フィルムフェ… へこきもとさん

激しい運動の後、疲… メルトスライム25さん

神経症を克服します♪ ROSE33333さん
「私」がいる幸せ えみこた2さん

Profile

森田生涯

森田生涯

Comments

kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

Calendar


© Rakuten Group, Inc.
X

Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: