森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2022.10.09
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この小説は歴史小説である。主人公は青江又三郎。
彼は北国の小藩で、馬廻り組100石の武士だった。
ある時、家老大富丹後の藩主毒殺の陰謀を知ってしまった。
その話を許婚の由亀の父に話したところ、逆鱗に触れて殺されそうになった。
許婚の由亀の父は家老の陰謀に加担していたのである。
剣の得意な又三郎はやむなく由亀の父を斬って脱藩した。
父は命が切れる時に、一人娘の由亀に又三郎を頼れと言い残した。
ここが不思議なところだ。最後には二人は夫婦になるという設定である。

又三郎は江戸の裏店に住んで、生活のために用心棒稼業を始めた。

又三郎は赤穂の浪人からも、吉良邸からも生活をかけた用心棒の仕事を引き受けている。大石内蔵助の身辺警護をしたかと思うと、吉良上野介の屋敷の警護もしている。
又三郎は赤穂浪士との付き合いが多かったため、どちらかというと赤穂浪士の肩を持っていた。
討ち入りの前日に赤穂浪士の情けにより、吉良邸を出て難を逃れている。
国元の家老大富丹後が差し向ける刺客とも闘い、さらに飢えと闘いながら孤軍奮闘で日々必死に生き抜いている。

藤沢周平氏は20代で肺結核にかかり、療養に専念するために、教師の仕事を辞めざるを得なかった。
追い打ちをかけるように、結婚した妻は一人娘の1歳の誕生日を待たずして病死している。自身も生涯病気と縁が切れなかった。そして60代の若さで亡くなっている。

藤沢周平氏は、理不尽な運命に翻弄されながら、その怨念を小説で晴らしているようである。
小説家という才覚がなければ、苦しい人生で終わっていたかもしれない。
藤沢周平氏は小説を書くにあたり、存在する資料をくまなく調べ上げている。
歴史的事実に忠実なのである。その執念は鬼気迫るものがある。
その過程でどうしても合点がいかない空白の部分が生まれてくるという。


江戸時代の武士や町人の社会に材をとった小説が多い。
生活苦、病気、災難、理不尽な仕打ちで七転八倒している人を取り上げている。
そしてどんな状況でも命ある限り生き抜くことが肝心ですよと教えてくれている。
不器用な生き方しかできない人が、人生をあきらめないで懸命に生き抜いている姿に読者は一筋の光明を見出すのである。
ちなみにペンネームだが、藤沢というのは亡くなった奥さんの故郷の地名、周平はすべての人の安寧を祈念しているようである。

どんな発見があるか今からワクワクしている。
そして山形県鶴岡市にある藤沢周平記念館をいつかは訪れてみたい。





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Last updated  2024.04.07 23:34:23
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