森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2022.11.17
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山鳥重氏のお話です。

形を見るにせよ、空間を見るにせよ、視覚はあくまで自己の過去を支えとし、自己の今を基準とした構造世界であって、個別の世界である。
つまり、けっして客観的な能力を備えた世界でないことを知っておかねばならない。 この目で見たのだから絶対に正しいとは言えないのである。
(脳からみた心 山鳥重 NHKブックス 137ページ)

森羅万象に人間的な解釈を適応しようとする心の動きは原始人も現代人も変わるものではない。いろんな現象に別の現象の徴候を見るのは人間の変わることのない本性である。
人を見るときもそうである。相手を等身大の、そのままの存在として見ることはもっとも苦手なことである。
逆に 相手を分類し、ラベルを貼るのはわれわれの得意なことの一つである。
つまり自分の尺度に合わせて、相手を解釈し、記号化してしまう。
(同書 228ページ)


いかに事実を事実のままに正確に見ようとしても、事実全体を正しく見ることは出来ない。事実の確認には限界があるといわれているのだ。
また人によって事実の見方は千差万別である。
穴のあくほど事実を見たので、間違いないと判断しても、それはその人の見方でしかない。他人は別のところに焦点を当てて事実確認している場合がある。

事実確認をして、相手の人物評価をしても、人間はプラス面とマイナス面を同時に持っている。醜悪硬軟併せ持っているのが人間の姿だ。
ポジティブな面、ネガティブな面の両面を見ないと見誤ることがある。
さらに置かれた状況や時間の経過とともにその人の状況は変化している。
ある時点で下した評価は、いつまでも普遍性のある正しい判断とはいえなくなる。
いつまでも以前の事実にとらわれていると、問題が生じる。

十分事実確認して、これで間違いないと思っても、事実に対してはもっと慎重になる必要があるといわれているのではないでしょうか。

私たちは森田理論の学習によって、観念優先で事実を軽視する生活態度が苦悩や葛藤をもたらしていることを学んだ。
事実確認が不十分な状態のとき、先入観、決めつけ、早合点で分かったつもりになって対応することは間違いが多い。


面倒でも実際に現地に足を運んで自ら事実確認を行う。
森田先生は、五高時代には実際に幽霊屋敷の探検をされている。
また、熱湯に手を入れるパフォマンスを見たあとは、自分で実験をして真偽のほどを確かめておられます。

自分の主張を相手にぶっつける前に、まず相手の気持ちや考え方を確認する。
事実関係がよく分からないうちに、あいまいな対策を立てて実行した場合は、後で取り返しのつかないことになる。


かって日航ジャンボ機が群馬県の山中に墜落したことがあった。
事故機は以前に尻もち事故を起こした機体であったという。
その原因究明をあいまいな推測で決めつけてしまったために大惨事となった。
事実に対してもっと謙虚であるべきだったのではないか。
森田理論を学習した者としては、事実を観念で捻じ曲げてしまうことは決して許されないことだと肝に銘じておきたい。





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Last updated  2022.11.17 06:50:07
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kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

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