森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2022.12.12
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和田秀樹氏は、「適応障害の真実」という著書(宝島社新書)の中で森田理論について紹介されています。
その中の「神経症と森田療法のかかわり方」という話が参考になりました。

赤面恐怖という病気の患者は「顔が赤くなるから人前に出られない」「赤い顔では皆に嫌われてしまう」などと思い込んでいるわけです。
その患者が「先生、顔が赤くなるのをなんとかしてください」といった時に、森田療法では「あなたはなぜ顔が赤くなるのが嫌なの」と問いかけることから始めます。

「こんな赤い顔になっていてはみんなに嫌われますよ」
「嫌われたくないということは、あなたは人から好かれたいのですね」
「いや好かれたいけれど、こんなに顔が赤いのでは嫌われてしまいます」

「私は30年も精神科医をやっているけれど、顔が赤くなっても好かれている人を何人も知っていますよ」
「そんなの例外です」


そこでさらに踏み込んで「あなたの顔が赤くなるのを治せば好かれると思っているけど、それは甘い考えだと思いますよ」と指摘します。
そして「顔の色に関係なく、好かれる努力をしない限りは好かれませんよ」と考え方や行動の変化を促していくのです。

「あなたの顔が赤くなるのは治せないけれども、あなたが人から好かれるために、もうちょっと話術を磨くとか、普段からニコニコするとか、極力元気にあいさつをするというような、あなたが他人から好かれる方法であれば一緒に考えることはできますよ」
このようなアプローチが森田療法的なカウンセリングの一例です。
(同書194ページ)

この例は赤面恐怖症の例ですが、これを自分の症状に置き換えると森田療法的カウンセリングでの治し方が明確になります。

①具体的な症状を明確にする。

②誤った行動を整理する。

③その裏に隠れている自分の生の欲望に気づく。

④生の欲望を達成するための具体的な方法を考える。

⑤不安との格闘を中止して、生の欲望に向かって行動を開始する。


人から非難、否定、無視、からかわれることが極度に気になります。
それが嫌でそんな場面になるといつも逃げ回っているわけです。
その裏には人から高く評価されたいという強い欲望があるわけです。
その目的を達成するためには、仕事でも集談会でも、人から評価されるような具体的な行動をとらない限り、いつまで経っても対人緊張はなくなりません。
人の役に立つことを考えて、人の喜ぶ姿を見たいという欲望に向かって動き出すことです。


老婆心ながら一言付け加えておきます。
そこまでしても10人の人すべての人から評価されることはあり得ません。
人間関係に完全主義を持ち込むと苦しくなるばかりです。
2人の人から評価される。2人の人から非難される。
残り6人の人はそのどちらでもない。
これが普通の人間関係だと心得ておくことです。
ほどほどのところを目指して行動することです。
集談会ではこの方法は「ホドホド道」だと教えてもらいました。





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Last updated  2022.12.12 08:08:17
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森田生涯 @ Re[3]:強情と盲従の弊害について(02/27) ststさんへ 今の生活は日中のほとんどが…
stst@ Re[2]:強情と盲従の弊害について(02/27) 森田生涯様、返信アドバイスをしていただ…
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