森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2023.02.14
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カテゴリ: 森田番外編
五木寛之氏のお話です。

私はよく「他力」とはどういうものなのかを説明する時に、風にたとえます。
海原に、エンジンの付いていないヨットが浮いているとします。
動力源のないヨットは、風が吹かなければ動くことができません。
私はこの風のことを「他力」、ヨットを自分自身だと考えています。

風が吹いてくれれば走りだせますが、それまでは待つほかありません。
ただ、風が来たらすぐ動けるように準備は必要です。
まず、帆を張っていなければなりませんし、雲の様子を観察し、風が吹くと信じてそのチャンスを逃さぬよう待ち受けなければなりません。
風の向きを予想して、帆を傾ける必要もあるかもしれない。

考えうる限り、できる限りのことをする。
これらの努力が「自力」です。

そして、自力を尽くしたら大自然の前ではもう何もできることがない。
そうわかった時、その考えに気づいたということこそ「他力」の働きと言えるのではないかと思います。

「人事を尽くして天命を待つ」という言葉がありますが、私はこれを勝手に読み換えて「人事を尽くさんとするは、これ天の命なり」としています。
「人事を尽くそう」「精いっぱいやりきろう」そんなふうに思えたということ、それはなぜでしょうか。
いつもなら、「面倒くさいから適当に済まそう」「無理だ、自分にはできない」、そんなふうに思うかもしれないのに、なぜか覚悟をきめられた、その点に注目したいのです。
それこそ「天の命」ではないか。

このように、自力と他力は相反するものではありません。
他力とは自分を呼び覚まし、育むもの。
また、自力をひっくるめてつつんでいくもの。
私は他力とは「自力の母」だと思います。


もう自力で思いつくことはやりつくした、またこれほど努力しているのになぜ報われないのか、そんな思いに囚われた時には、このことを思い出してください。
そんな時こそ「他力」の風を感じられるチャンスです。


五木寛之氏の他力の思想は、遺伝子学者・村上和雄氏の「グレートサムシング」のことではないかと考えています。
遺伝子は家を建てるときの設計図のようなものです。
家を建てるために具体的に行動を開始しなければ、その設計図は眠ったままです。建設資金を用意し、工務店に発注すれば、その設計図は陽の目を見ます。
このことを遺伝子のスイッチがオンになることだと言われています。
一般的にそのスイッチの95%くらいはオフになっているそうです。

できる限りの努力をした後は、運を天に任せて待つしかない。
つまり「グレートサムシング」の力に任せるしかない。
人間のゲノムの解析はすべて終わっていますが、それを誰が、何の目的で作り上げたのか全く分からない。
また遺伝子を組み替えることはできても、新たに作り出すことはできない。
そこに「グレートサムシング」の意思が働いていると考えるのが妥当なのではないか。人間は「グレートサムシング」の後ろ盾を信じて、努力精進して生きていくしかない。





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Last updated  2023.02.14 06:20:05
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