森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2023.02.13
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カテゴリ: 行動のポイント
宇野千代さんのお話です。

ものを書こうとするときには、誰でも机の前に坐る。
書こうと思うときだけに坐るのではなく、書こうと思っていないときにでも坐る。
この机の前に坐ると言うことが、小説を書くことの基本です。
毎日、または一日の中に幾度でも、ちょっとでも暇のあるときに坐るというのではなく、毎日坐るのである。

坐る、と言う姿勢が、あなたを規制します。
不思議なことですが、ほんとうです。
あなたは坐ったら、何をしますか。
どうしても、何か書くしかないでしょう。


何を書くかは、あなたが決定します。
しかし、間違っても、巧いことを書いてやろう、とか、人の度肝を抜くようなことを書いてやろう、とか、決して思ってはなりません

日本語で許された最小限度の単純な言葉をもって、いま、机の前に坐っている瞬間に、あなたの眼に見えたこと、あなたの耳に聞こえたこと、あなたの心に浮かんだことを書くのです。

「雨が降っていた」、「私は腹を立てていた」、「また、隣の娘が泣いている」と言う風に、一字一句正確に、できるだけ単純に書くのです。

あやふやな書き方をして、それで効果を出そうなぞと、そんなことは、決して考えてはなりません。素直に、単純に、そのままを書くと言うことが、第一段階の練習であり、やがて、大きなものが書ける基本です。
(行動することが生きることである 宇野千代 海竜社 203ページ)

宇野千代さんほどの小説家でも、仕事をする気にならないことはたびたびあったようです。そのとき気分に振り回されてはいけないと言われています。
イヤな気分を持ったまま、机の前に坐る。
これは森田でいうと、形から入るということです。
「外相ととのえば、内相自ずから整う」ということです。
その後は、巧い文章を書こうとしないで、見た通りの事実を書いていく。

イヤイヤ仕方なしの行動でも、行動しているうちに感情が動き出して、突然小説のテーマが浮かんでくる。さらに主題が明確になる。

倉田百三氏は強迫神経症になり、小説が書けなくなりました。
小説は強迫神経症が治ってから書けばよいと思っておられました。
森田先生のアドバイスは、いくら強迫神経症で苦しくても、決して仕事を止めてはいけない。
イヤイヤ仕方なく、ゆっくりでもよいから仕事を続けなさいと言われました。

この話は、不安、恐怖、違和感、不快感を持ったままでも、他人から評価されるような仕事をすることは十分可能だということです。





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Last updated  2023.02.13 07:58:11
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kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

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