森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2025.04.30
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カテゴリ: 生の欲望の発揮
森田先生のお話です。

ある日、呉先生が、「いま教室に60円ばかり旅費が残っているが、誰か行きたい者はいないか」ということであった。
こんな時に、先輩をさしおいて、自分が先に口を出せば、同僚に憎まれるから、慎まなければならない。
ただ頭を上げ、ニコニコしてキョロキョロと先生の顔を見ている。
そうすると、先生が「森田君、どうです」とくる。
「待ってました」とばかりに、「もしさしつかえのない事なら、ぜひお願いしたいものです」と答える。
勿論その時には、私はどこへ行って何を調べるかという事は見当はつかない。
まずその機会を取り込んでおいて、しかる後にユルユル考案するつもりである。
これがもしあの一人の同僚ならば、まず自分は何を調査し、その金をいかに使うかという事を考えて、しかる後にイエスと答えようとするから、もとより間に合うはずもなく、後になって、あの時に、引き受けておけばよかったと残念がるのである。

私が何か仕事を見つけて、「誰かやる人はないか」という時に、聞かないふりをしたり、わざとうつむき込んだりする人はありませんか。
早く治るような人は、必ず今お話ししたような具合に、よくイエスの使い分けをする人です。(森田全集 第5巻 535~536ページ)


森田先生はそんなことをすれば、その研究費は他の誰かのところに行ってしまう。
今現在目的が明確でなくても、先に資金の手当てをしておけば、運用は後で何とでもなるではないか。
せっかくのチャンスをみすみす逃すようなことをしてはならない。
後で「しまった」と後悔するようなことは何としても避けなければならない。
何かの調査研究を思いついたとしても、調査費の工面ができないなどの理由で断念せざるを得ないことはいくらでもある。
その後森田先生は土佐の犬神憑調査を思いついて実行された。
その結果を高知医学会で3時間にわたり講演されたという。

このエピソードからどんなことが考えられるか。
調査研究というのは突然に思いつくものである。
そのためには多額の資金を必要とする。
その段になって調査研究費をどう工面するかと考えると後手に回る。


一般的には目的が先でその後に手段を考えがちである。
森田先生は手段が先で目的は後付けでも構わないと言われている。
例えば、退職金、親の遺産、保険金、配当金などで思わぬ大金が入ることがある。
その場合は、後からお金の有効活用を考えて実行すればよいという事になります。





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Last updated  2025.04.30 06:20:08
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kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

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