森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2025.06.26
XML
森田先生のお話です。

船酔いについて、商船学校が毎年多数の卒業生を出すが、卒業の時に、必ず遠洋航海に出ることになっている。
その時に100人に100人ながら、みな必ず船に酔う。酔わぬ者は殆どいない。
つまりこれが普通の人の生理的感覚であるといってもよい訳である。
これを治すには必ず無理を押し通して、酔うがまま働かなければならない。
中にはマットの上で嘔吐するような事さえもある。
つまり酔うままに、しかたなしに、自分の職務を尽くすわけである。
もしそれが、自分は酔うからといって、仕事を休んだり寝ていたりしていては、決していつまでも、船酔いは治らないとの事であります。

富士山の強力を職業としているものは、平常は百姓などをしていて、夏は強力になる。毎年初めて登る時には、強力でもやはり、普通の人間であるから、人並みに足も痛む。

しかたないから、痛いのを我慢して、足を引きずるようにして、強いて登山を続ける。そうすると、一週間もたつうちには、いつとはなしに、足の痛みもなくなり、夏中続いて、その職業をやって行く事ができるとのことである。
この場合に、痛いのを我慢して続けるのが、「無理を押し通す」であり、そのうちに痛みを忘れるのが、いわゆる「コツ」である。
(森田全集 第5巻 564~566ページ)

これらは一度、成功体験をしていると、次の時には何の障害にもならないということです。
最初はつらい思いをするが、時間の経過が薬となって、その苦痛は霧散霧消すること分かっているので、少々の苦悩に耐えることができるのである。
忍耐力という能力がついているのである。

マラソンではランナーズハイという現象がある。
走り始めたころ、息も苦しく、足もだるくてもうこれ以上走れないと思うときがある。その時競技を止めてしまえば楽にはなるが完走はできない。勝負にはならない。多少ペースを緩めて我慢して走っていると、そのうち楽に息ができるようになり、足の疲労も感じないようになる。
これはβエンドルフィンが出て苦痛を和らげているからだという。

幼い頃から、不快な気分に流されないで我慢して乗り越えたという成功体験は、大人になったとき役立ちます。
不安に対しても、逃げ回ったりしないで、きちんと対応した経験は、その後同様の不安が湧き上がったときに大いに参考になります。


こんなとき自分一人で判断すると間違いにつながりやすい。
森田理論に「迷いの内の是非は是非ともに非なり」という言葉があります。
成功体験のない時に、自分一人で思いつくままに対策を立てて行動すると、問題が解消するどころか益々深刻化するということです。
どうしたらよいのか分からないときは、すぐに判断しないでしばらく様子を見ることが肝心です。
神経質な人はすぐに問題を解決しないと落ち着かないところがありますので要注意です。


周囲に乗り越えた先輩がいればどのような対策をとったのかを聞いてみるのです。
船酔いの問題も強力の筋肉痛も既に成功体験を持っている人は、すぐに的確な回答をしてくれるはずです。
森田理論も、生活面、仕事、人間関係、子育てに活用・応用している人から教えてもらうことが自分の成長につながります。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2025.06.26 06:40:00
コメントを書く
[森田理論の基本的な考え方] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

Keyword Search

▼キーワード検索

Favorite Blog

知らぬ間に立派な大… 楽天星no1さん

泉佐野フィルムフェ… へこきもとさん

激しい運動の後、疲… メルトスライム25さん

神経症を克服します♪ ROSE33333さん
「私」がいる幸せ えみこた2さん

Profile

森田生涯

森田生涯

Comments

kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

Calendar


© Rakuten Group, Inc.
X

Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: