前回瀬戸内支部主催の「応用森田・活用森田」の学習会で、「目的本位」という言葉の再考が行われた。
とても参考になりましたので、このブログで取り上げてみたいと思います。
生活の発見会から「新版 森田理論学習の要点」が2004年に発行されたとき、従来の要点である「森田理論学習の実際」(紫色の表紙)で大きく取り上げられていた「目的本位」という言葉が一時見当たらなくなりました。
作成者にその理由を尋ねたところ、現代は「目的本位」に行動しても、目的が達成されないことが多く、結果として自己嫌悪、自己否定で苦しむ人がいると説明された。
つまり「目的本位」が「かくあるべし」となって、自己嫌悪や自己否定に向かいかねないというものであった。
その時はそんなものかなと思っていたが、その後も「目的本位」という言葉は多くの人から、森田理論の核となる考え方の一つとして使い続けられてきた。
「目的本位」の意味するところが今回の学習会で解けた。
帚木蓬生氏の「生きる力 森田正馬の15の提言」の中で、「目的本位」の反対語は「気分本位」だと言われています。
「気分本位」は自分の行動を気分で判断し行動することです。
気分で行動すると、イヤなことに手を付けなくなります。
ですから「気分本位」行動は「怠惰」に直結します。
「気分本位」の反対の極みにあるのが、森田正馬が口にした「目的本位」です。
今日一日、悲観し溜息をつきながら働いたとき、悲惨な1日だと考えるのが、「気分本位」であり、よくぞ働いた、目的は達したと、安堵するのが「目的本位」だと言われています。
不安や症状があっても、「目的本位」に行動することが神経症克服には欠かせないと言われています。
今回の学習会でも「目的本位」の役割の一つとしてそのことを確認しました。
そのうえで「目的本位」には、大きな落とし穴があるということがわかりました。
有り余るエネルギーを持っている人は、「目的本位」で行動しなさいと言われると、他人のことや外部の状況やその変化にはお構いなしに、猪突猛進で我を押し通してしまうことがあります。
しかし自分の気持ちや欲求を最優先に考えて行動していると、他者からの反発を招き反目し合うようになります。
ではどうすればよいのか。
「物事本位」になればよいという話が参考になりました。
つまり我を押し通すのではなく、他人や物事とのバランス、調和を最優先に考えるということです。
森田では主観的事実に対して、客観的事実があるといいます。
そのバランスを取りながら前進していくことが欠かせないと言ことがわかりました。主観的事実は無視してはいけませんが、それを基にして行動すると弊害が出てきます。
むしろ客観的事実を優先した方が丸く収まり、自他ともに幸せになれます。
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