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アラブ世界では、お酒はご法度と一般に思われているかもしれません。でもアラブ世界にもアラブのお酒が存在するんです。このアラブのお酒は「アラック」と呼ばれます。このアラックは、中近東、特にイラクやシリアを中心として伝統的につくられてきた蒸留酒です。
見た感じは、無色透明、無味無臭、といった感じ。でもアルコール濃度は非常に高く、50%以上あります。これに水を入れて薄めて飲みます。水と混ぜると、きれいな乳濁色にスルスルッと変化します。水で割ったアラックに氷を入れてカンカンに冷たくして飲むのが私流。


きれいな乳濁色のアラック。思わず飲みたくなりませんか? アラブは基本的にアラックが大好き。でもこのアラック、かなりかなりきついお酒です。日本人には不思議な味かもしれません。乾燥した中近東で生育した白葡萄を発酵させてから蒸留し、アニスシードで味付けがしてあります。アニスはこれまた中近東原産のハーブで、つんとした独特の芳(かぐわ)しい香りと清涼感が魅力。中東ではアニスシードを香辛料として用いたり、ティーとしてよく飲まれたりしています。
このアラック、もともとは中東のものですが、インドネシアやマレーシアなどのイスラム圏にも伝わり、現在ではその土地独特のアラックが製造されているのだそう。例えばインドやスリランカなどではブドウからではなくお米からアラックが作られているそうです。
いまでは笑い話になっていますが、私にはアラックにまつわる忘れられない思い出があります。レバノンに来て間もない頃、友達の家でお食事に呼ばれたときに、私の横に水の入った瓶(ビン)が置いてありました。私は普段から水をガボガボ飲むので、この日も食事の途中にグラスにたっぷりとつぎ、グイッグイッと勢いよく飲んだ…そのとき、のどにカ~ッと焼けつくような感触!! アラックを水だと勘違いし、割らずにググッと飲んでしまったのです。アルコール濃度が非常に高いアラック。まさにのどから火が出る思い。
慌てふためいた私は「ア″~ッ」と大声を出しまして、びっくりした友達がテーブルから一斉に立ち上がり、私の手からアラックのグラスを取り上げて、急いで水を持ってきてくれるわ、真っ赤になった私の顔を仰いでくれるわ、で大騒ぎになりました。
今では友達が集まるたびに、笑い話として語り継がれています。そんなアラック、中東にご旅行に来られたらぜひ皆様も味わってみてくださいね。お土産に買われてもよいかと思います。でもお水で割ることを決してお忘れなく…。
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