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January 31, 2009
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カテゴリ: 本・CD

石田三成起つ!東西両軍激突「関ヶ原」 それは兼続の直江状から始まった・・・。

関ヶ原.jpg

この本の前に読んでいたのが、同じく司馬遼太郎の 『新史太閤記』 だったので、その続編的な内容になりますね。しかし、主人公は秀吉から豊臣政権の五奉行の一人、石田三成へと変わります。

秀吉亡き後、手のひらを返したように徳川政権樹立へ虎視眈々と手を打つ家康・・・謀臣本多正信と謀才、謀智、謀議、謀略の限りを尽くして、関ヶ原の天下分け目の決戦まで1つ1つ石を積み上げていくように、慎重に豊臣家臣団の亀裂を企てていきます。

知略はあるが、峻烈な性格ゆえに人望に欠ける三成ですが、元筒井順慶の侍大将で、合戦と謀略の天才といわれた男・島左近を右腕とし、打倒家康に向けて上杉家老臣・直江山城守兼続と挟撃作戦を企てます。

現在、直江兼続を主人公にしたHNKの大河ドラマ 『天地人』 が話題を呼んでいますが、石田三成と直江兼続は、この時代にはまだ珍しい友情というものに似た感情で結ばれていたというような記述が、この「関ヶ原」の中に書かれていました。

さて現在、わたしが読んでいるのは中巻。徳川家康が上杉景勝宛てに挑発的な言い掛かり(豊臣家の恩を忘れ、幼君秀頼に弓引く準備を国でしている・・・)を仕掛け、それに対して兼続は、俗に「直江状」といわれる家康への激しい批判を込めた返書を差し出します。

家康は、この年になるまでこれほど無礼な手紙を見たことも聞いたこともないと呟き、上杉討伐のため諸侯率いて会津へと軍を進めます。一方、三成は大阪で続々と大阪城入りする大名達を迎え入れ、上杉との挟撃作戦の準備のため奔走の日々に追われます。

西軍旗頭の毛利輝元、土佐の長曾我部盛親、薩摩の島津惟新入道、小早川秀秋などが続々と秀頼の元に参集してきますが、心中は穏やかではいられず東軍に密使を出し家康に媚をうるものなどもあり、軍勢こそ整いますが一枚岩とはいえない脆さを呈しています。

関ヶ原の結果はわかっていても、この時代の空気、再び戦乱の世に戻る危機を孕んだ時代に、それぞれの大名や家臣たちが何を考え、何を望んで行動したのかが生々しく描かれており、その空気を巧みに操り自分の天下を引き寄せる家康の手腕にも脱帽の思いです。

また、その家康に一矢報いようと奮戦する石田三成という男の性格を細かに分析し、心理描写する司馬遼太郎の人間洞察力というか想像力にも感心させられる内容です。分かっていても出来ないことがあり、破滅と分かっていても敢えて突き進むことがあり、そんな矛盾の積み重ねが人生や歴史を創っているんだと思える・・・そんな作品です。


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Last updated  April 4, 2009 10:02:16 AM
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