山口小夜の不思議遊戯

山口小夜の不思議遊戯

PR

バックナンバー

2025年11月
2025年10月
2025年09月

キーワードサーチ

▼キーワード検索

2005年11月28日
XML
カテゴリ: カテゴリ未分類



 しかし、向かうところ敵なしであろと言わんばかりの小夜の誇らかな視線を前に、自分の作品を掲げて打って出ようとする者が誰ひとりいなくなってしまった。

 気圧されたような静けさが教室に満ちた。
 沈黙を破ったのは、またしても綾一郎の声だった。

 ──ゆたが読むて!

 これは豊にとってはまったくの予想外のことであった。
 しかし、彼の心の揺れは、常なる沈着なふるまいのうちに見事に隠されていた。豊は動じるふうもなく、教壇に上がった。一度だけ、何故の指示かと綾一郎を見やったが、綾一郎は熱心に豊を見返しているばかりであった。

 豊は自分にかける綾一郎の期待など知る由もなかった。そこで、さっさと自分の作品を読んでこの場を切り上げようと口を開いた。
 そのとき、ふと豊は小夜と目が合ったのである。小夜は勝ち気な目をしてこちらを見つめていた。



 ──さあ、うちと競ってみんさいよ。

 いわれのない挑発に、豊がはったとその目を見返した途端、豊の豊らしさに火がついた。

 豊は誰かさんが思いたがっているほどには、決して優しい少年でも、穏やかな少年でもなかった。
 後に‘不二五人衆’と呼ばれることになる五人兄弟の末弟として生を受け、四天王のようであった兄たちに幼い頃から足蹴にされて育った彼は、実のところ無類の負けず嫌いで、人をからかって遊ぶのが大好きな、いわゆる「男の子らしい」性質満載の少年であった。

 すなわち、あまっちょからすれば、こういうおのこは概して日曜子供劇場『赤毛のアン』に登場する、ギルバート・ブライス的な‘ヤな奴’に分類されることであろう。

 彼の外面が飄々としているようであるのは、屋敷の中での生活が日々騒然に過ぎているので、家族から離れている間だけは静寂のうちに生きていたいという切ない願いを自ら体現しているからに他ならぬ。それを理解している者は、しかし、子供たちのうちには誰もなかった。

 豊は少年らしい競争心を覚えて、ひとつこの誇らかな少女をからかってやろうと思い立った。そうなると、宿題のためにこの週末に書き上げていた物語などは捨て鉢だった。

 彼は書き下ろしの原稿を教卓の上に放り出した。

 ── 京大ねこのひげ抜いて



 それは、小夜にあっては驚天動地。
 皆の衆にあっては抱腹絶倒の物語であった──。



 本日の日記---------------------------------------------------------

 【十二支について】─年賀状に役立たない知識─その2

 十二支という、12をひとつのサイクルとする時間の規定は、そもそもどこから来たのでしょう。



 ただ、実際の木星は、地上からだと太陽や月とは逆に、西から東へと移動しているように、見えます。そのために、木星の動きの反映ともいえる神格化した架空の星を設けて、これを「太歳(たいさい)」または「歳陰(さいいん)」と名づけ、太陽と同じ方向に東から西へ、木星と同じ速度で移動させることにしたのです。

 この「太歳」の居所につけた名前が、十二支であるといわれています。そしてこの十二支の区分が、太陽や月など他の天体の動きを測るときの基準となり、さまざまな時間を表す基本となっていったのです。

 さて、ここから昨日のおさらいになりますが、一日に三つの干支をご紹介してくことにします。
 この区分が、季節の流れに沿うことになるためです。

 【子】
 子(ね)の文字を分解すると、「了」と「一」になります。
 つまり、終わりと始まりを表わしているのです。子(ね)の月(12月)には冬至があります。昼が最も短い時期を過ぎて、再び長くなり始めるのが、この月。陰の気が極まったなかに、最初の陽の気が芽生えて、わずかに動き出すときです。そんなごく小さな、でもそこから大きなものが生まれていく可能性を秘めた動きを、身体は小さいけれど多産な動物であるネズミの生命力になぞらえたのです。

 【丑】
 丑(うし)の文字は、実は「紐」のこと。
 丑の月(一月)には、植物は地表では大きく動きませんが、地中では活発に動いて春の準備をしています。丑は大地のなかに根を張っていく植物の姿を象(かたど)った文字であり、物を紐で結んでいくように、ゆっくりと確実に物事が進んでいくことを示しています。

 【寅】
 寅(とら)の文字は飛んでいく矢の姿を表した象形文字ともいわれ、勢いよく飛び出していくものを表わしています。寅の月(2月)は立春とともに始まり、「気」の流れからすれば、ここから新しい年が始まります。季節的にはここからが春で、陰の気のなかから陽の気が本格的に動き始めます。そして、いよいよ地表に目を出そうとする植物の姿を、物陰から獲物を狙って勢いよく飛びかかろうとするトラの姿になぞらえたのです。

 明日の日記では【卯】【辰】【巳】を挙げてみます。


 明日はこの章のおわり●京大猫のひげ抜いて●です。
 不二豊による、涙が出るほどくだらん話です。
 貴重な豊ファンが、明日できっと消えるだろう・・・・・。
 タイムスリップして、みんなと一緒に爆笑しにきなんせ。


 ◆お読みいただけたら 人気blogランキングへ
 1日1クリック有効となります。ありがとうございます。励みになります!

 いつもランキングへの応援、本当にありがとうございます!







お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2005年11月28日 06時33分56秒
コメント(3) | コメントを書く


■コメント

お名前
タイトル
メッセージ
画像認証
上の画像で表示されている数字を入力して下さい。


利用規約 に同意してコメントを
※コメントに関するよくある質問は、 こちら をご確認ください。


こんばんわ。  
solya  さん
禁煙せなかんねんて。。


まあ、先ずは節煙からかなぁ。。。


ごめんなさい。
本文とも日記ともなんの関係もないコメントでござった。

(2005年11月28日 23時40分51秒)

Re:こんばんわ。(11/28)  
小夜子姉貴  さん
solyaさん

兄さん淋しかったから・・・・・ありがとう。

節煙──でもさ、なんでも百ゼロにした方がいい人っているよね。
つまり、いきなり禁煙にした方が成功する人もいるってこと。

小夜子はこの、「百ゼロ女」なのです。

来月中旬から、また番外編書くのよ。
山の神(←うちのことではない)の話なんだけど・・・躊躇してるんだよね。怖いから。

で、わたしもsolyaさんに倣ってなにかを断って書く内容に備えようと思っているんだ。

禁煙や節煙と同等なほど覚悟のいるものを──。

solya兄、がんばろう一緒に!
(2005年11月29日 06時46分14秒)

Re:こんばんわ。(11/28)  
小夜子姉貴  さん
solyaさん

追伸:sabさんのライターは、使わずとも持っているだけでお守りになるよ。

(2005年11月29日 07時30分19秒)

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: