山口小夜の不思議遊戯

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2006年09月15日
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 石垣島から帰ってまいりました。
 今回も奇跡的に台風をくぐり抜け、最高のお天気に恵まれました。オットが稀代の晴れ男ということもありますが、ま、小夜子の普段の行いがよかったというのが大きな要因でしょう。

 では、今回の更新で一気にお土産話を。
 去年は本島の方に行ったのですが、本島はやや、重かった。
 月の美しい夜、いつの間にか迷い込んださとうきび畑。
 もんぺ姿の少女が海沿いに立っていて、こちらに向って手をあげる。
 米兵に身体を奪われて海に身を投げたという少女のまぼろし。

 一方、石垣島の海は美しく透明で、土地の記憶は重苦しくありません。

 石垣島は、信じられないことに普通の遊泳海岸でニモたちの姿を見ることができます。
 白い砂浜から、ちょっと沖に泳げば、ゴーグルをしていれば見つけられます。
 (ちなみにこれ、私たちだけのヒミツです。近くで遊泳していた人にも教えませんでした☆)

 で、今回もコトは起こりました。
 場所は 石垣島サンセットビーチ 。サザンの歌にも出てくる、知る人ぞ知る美しい渚です。
 私たちは水中カメラというか耐水カメラを持参して、ちょうどうちの家族のようにイソギンチャクに住まうニモの家族三匹を写真に収めようとしていたところでした。何枚か撮っていると、耳元でいきなりはっきり声がしました。

「なにをしている」

 水中です。こんなにはっきりと人の声など聞こえるはずがありません。
 それは責めるようでもなく、興味津々といった感じの若い女の声でした。


 けれども、開口一番、
 「カメラがない!」
 手首には輪になったゴムだけが残されていました。
 それは大きな輪になったゴムの端を水中カメラのゴム通しに通して、輪を一回くぐらせてから手首にかけていた──つまり落とさないように厳重にゴムを通していたカメラが、一瞬にして輪くぐりの手品をしたかのようにゴムだけを残して消えてしまったのです。

 何度もその場を潜り、シュノーケリングの装備をした砂浜のスタッフのお兄さんにもずいぶんと探してもらいましたが、カメラはついに出てきませんでした。


 カメラを欲しがってやってきた。
 美人でおしゃれな人魚ならばいいけれど──ふり返って、貞子みたいな人魚だったら今頃はおぼれていただろうな。

 ゾッ。


 ところで、石垣島には みんさー織 という工芸が伝わっているのですが、この“みんさー”という不思議な響きは“綿”“狭い”がなまったものだと言われています。
 柄はたったふたつで、四角形が四つの花弁を持つ花びらのようになったもの、四角形が幾何学的に五つに配されたものだけという決まりがあるのです。これは、「五つ」と「四つ」で「いつ」の「世」も──という意を表すそうで、昔女性に恋人ができると、その日からこの“みんさー”を織り始めて、(結ばれる日は)「いつかいつか」と願いを込めながら帯にしていきました。そして、結婚の時に互いにその帯を締めたそうです。

 「今生だけ」ではなく「いつの世も」。
 「生まれる前の国」「今生」「次の世も」私たちずっと一緒に。

 帰ってきたら、トウキョウは秋でした。

 トウキョウに生まれてしまった蝉たちに。
 きみは、つがえたかい──



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最終更新日  2011年01月13日 12時51分52秒 コメント(20) | コメントを書く


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