ナースの日々事情

ナースの日々事情

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ある夜、街の中を散歩していると、光輝く場所があった。
みよはそこに向かってコース変更をして歩いていった。

光輝く場所に一歩ずつ近づいているはずなのに
黒が深まってきた。

どうしたんだろうと、回りを見回してみると
街灯もなく、木々が覆い茂ってきていたのだ。

普段はこんなところには興味もわかない。

いつの間にか街の外れの大きな公園まで来ていたのだった。


昼間なら家族連れや子供たちでにぎわっているはずのその公園は
静まりかえっていた。
木が揺れる音、自分の鼓動すら聞こえてくる。
不思議な感覚だ。
深い闇を一歩ずつ進めていく。
闇の中にいるのに、自然と足は前に進んでいく。何かに導かれるように。

木々の間から、まぶしい光がこぼれ始める。
まるで朝の光を浴びているようだ。
まぶしい光に導かれるように足を運ぶ。そこに何かが待っているかのようだ。

光の下へ到着してみると、それは池だった。


池が月の光を、水面に映し、その光が乱反射しているのだ。
その光は冷たさがあり、そして暖かさがあった。

月は神話の世界や昔は夜の世界の王であり、闇や幻想の世界、冥界の支配者だと恐れられてもいた。
そんな月に暖かさを感じるのはどうしてなんだろうか。
みよはそんな事を考えながら、水面に映る月の光をジーっと眺めていた。

月は夜の支配者。冷たいイメージがつきまとう。
夜の闇は深く何もかもを、覆い隠してしまう。
私の心の闇も隠れてしまうほどに。

心の光はなりを潜め、静かに闇がとおりすぎるのを
待っているのだ。何もおきないように、すべてが『無』
であるかのように。

水面に映る月は闇に一筋の光をあててくれる。

太陽の力強い光とは違い
ぼんやりとした光。

闇でもがいているものを
包み込み導いてくれるかのようだ。
~つづく~


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