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2008年07月01日
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カテゴリ: 潮流
 詩人の金子光晴が戦時下に親子三人で書きためた詩をまとめた『詩集「三人」』(講談社)が刊行されました。あの時代に,「ごまかされないことは悲劇だ。」と書いています。

 「人間も考へたり,味つたり,生活することをやめて一つの型につくり直す。戦力として送り出すため。」


 親子三人の,かけがいのない家族。詩集にみなぎるのは,適齢期の一人息子を兵隊にとられる恐怖と怒りです。

 「この運命的なつながりを世俗よ。ふみあらすな。戦争よ。破砕くな。」

 死を前にすると,言葉が研ぎ澄まされるといいます。では,同時代の「戦争詩」はどうか。高村光太郎や三好達治が有名ですが,勇猛で荘重な彼らの戦争詩は,表現の鋭さとは無縁です。

 それは戦争詩が「個」の視点でリアルに死を見据えず,戦争熱にうかれた「われら」や国家といった曖昧な主体を主語にうたったことが一因でしょう。


 戦争詩とは対照的に真情のこめられた金子光晴の詩のように,戦時下の詩でも,現代人の心に響くものは「個」の視座が明確です。

 例えば「ぼくもいくさに征くのだけれど」と戦争への等身大の疑問符を遺した竹内浩三もそのひとり。詩やマンガを収めた『竹内浩三集』(藤原書店)からは,明るく「弱虫」な詩人の面影が浮かびます。

 同時に,こんな若者を戦死させた残酷さも。再びあんな時代にならなければいいのだけれど。


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Last updated  2008年09月30日 21時21分31秒
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