全2002件 (2002件中 1-50件目)
明けましておめでとうございます。こちらのサイトでの更新が滞っていて申し訳ありません。新型コロナウィルスの感染拡大で、昨年は各方面ともいろいろ影響があったと思います。今後すぐに収束するとも考えられず、私たちは時代の変わり目に立たされているのかもしれません。そんな中でも昨年は、文化芸術が私たちが生きるために「不要ではない」ということが、逆に証明された年だったかもしれません。私も自分の生きる道を問い直し、そして冒険の旅に出ることを決意しました。以下、1月5日に松竹座の前から配信した動画のアーカイブを貼り付けます。以降、毎週火曜日午後4時からのライブ配信を予定していますが、特別番組を別日にする可能性もあり、スケジュールは仲野マリ公式サイトに出しますのでこちらもチェックしておいてください。お時間が合えば、視聴してください。チャンネル登録をぜひお願いします。また、アーカイブで視聴することも可能です。
2021.01.12
コメント(2)
いつもお立ち寄りいただきありがとうございます。2006年12月からはじめたこの楽天ブログ「ガムザッティの感動おすそわけブログ」、なんともう12年半もやっているんですね。途中から、HPを立ち上げたり、いろいろなブログに手をつけてみたりして、最近は更新が滞っておりました。それでもたくさんの方が訪れてくださり、2019年6月20日現在、なんと194万アクセスを超えております。ただただ、感謝。実は、この数カ月、今までやってきたHPやブログの見直しを本格的にやっておりまして、いろいろ考えた末、このブログのコンテンツをすべてhttp://www.gamzatti.comに移行することにしました。「すべて」というと、約2000ページもあるわけで、大変な作業!これまでも何度もトライしては途中であきらめていたところ、今回は助っ人をお頼みして頑張りました。そして奇しくも、なんとこの投稿が、2001件目、ということが判明しました!なんか、運命的なものを感じる…。最初このブログを立ち上げたときは「毎日1回劇評映画評を書く」と決め、「石の上にも三年」というから、3年は続けようと思い、365x3=1095だから、目標1000日連続!と決めて始めました。1500日までは毎日続けたこのブログ、あとの8年は、書いたり書かなかったりでしたが、「毎日発信」は、facebookその他で続けておりました。私の「書く」の原点ともいえる楽天ブログ、ありがとう!HPに移行したとはいえ、まだまだ手を加えなければならないところはあります。http://www.gamzatti.comには、楽天ブログだけでなく、facebookに書いたレビューや、ライブドアブログに書いたレビューなども統合する予定です。今年中には完成すると思いますので、楽天ブログともども、どうぞよろしくお願いいたします。
2019.06.20
コメント(1)
今月は、確定申告があるので控えめ。それでも歌舞伎夜の部が奇数偶数で役替わりで歌舞伎7、バレエ1で舞台は8、映画は試写含め6でした。【歌舞伎】三月大歌舞伎(昼の部)(女鳴神/傀儡師/吃又)(歌舞伎座)三月大歌舞伎(夜の部)(盛綱陣屋/雷船頭/弁天娘女男白浪)(歌舞伎座)(奇数日/偶数日)3月歌舞伎公演(元禄忠臣蔵/積恋雪関扉)(国立劇場小劇場)中津川東濃歌舞伎吉例大会(神霊矢口渡/絵本太功記/増補八百屋献立/野崎村)(東美濃ふれあいセンター歌舞伎ホール)松竹寺子屋子どもスクール成果披露公演(小学生)(百桃かたり)(歌舞伎座ギャラリー)松竹寺子屋子どもスクール成果披露公演(中学生)(寿曽我対面/藤娘)(歌舞伎座ギャラリー)【バレエ・ダンス】Kバレエ「カルメン」(中村/宮尾)(オーチャードホール)【映画】「翔んで埼玉」「吾郎の新世界/梅子」(アフタートークあり)【試写】「VICE」「NY公共図書館 エクスビブリス」「パタリロ」「ねじれた家」今月の最優秀作品賞は、「中津川東濃歌舞伎」に。特に「神霊矢口渡」と「絵本太功記」が素晴らしかったです。「野崎村」も、駕籠かきと船頭のしつこすぎるほどのお笑いの後で、お光ぼうの「ととさん!」の一言に会場が泣いた! すごいです。今月のMVPは、中村勘太郎。「盛綱陣屋」の小四郎は見事。仁左衛門扮する盛綱とのアイコンタクトに、じわ。難役長丁場をよく勤めました。もちろん、仁左衛門の盛綱、秀太郎の微妙、時蔵の篝火、孝太郎の早瀬、和田兵衛は左團次と、座組充実あればこそ。見ごたえ十分でした。最優秀主演女優賞は、片岡孝太郎。「女鳴神」が最高でした。こんなに面白いお話になるとは! ただの色欲ではなく、女ごころがしっかり描けていて本当によかった。ぶっ返った後も、風格がありました。今月の奨励賞に、寺嶋真秀。勘太郎と同じく「盛綱陣屋」に、こちらは小三郎として出演。小四郎に比べれば出番は少ないですが、凛々しい鎧姿に、早く「絵本太功記」十次郎が見たくなりました。
2019.03.31
コメント(0)
今月は、歌舞伎2(3)、文楽4(5)、能狂言1、ダンス・バレエ3で10(12)、映画は試写を4でした。初世尾上辰之助追善公演と銘打った歌舞伎座の充実ぶりは凄かった! 「50、60は洟たれ小僧」を見せつけた、70代人間国宝の面々恐るべし!【歌舞伎】二月大歌舞伎(昼の部)(すし屋/暗闇の丑松/団子売り)(歌舞伎座)二月大歌舞伎(夜の部)(熊谷陣屋/當年祝春駒/名月八幡祭)(歌舞伎座)【文楽】2月公演第一部(桂川連理柵)(国立劇場小劇場)2月公演第二部(大経師昔暦)(国立劇場小劇場)2月公演第一部(中将姫雪責/阿古屋琴責)(国立劇場小劇場)赤坂文楽(生写朝顔話)(赤坂区民ホール)【その他の伝統芸能】能楽鑑賞会「梟山伏/東北」(赤坂区民センター区民ホール)【ダンス・バレエ】Kバレエ「第九」(オーチャードホール)Noism「R.O.O.M/鑑の中の鏡」(吉祥寺シアター)「HANAGO-花子―」(セルリアン能楽堂)【試写】シネマ歌舞伎「桜の森の満開の下」「ブラッククランスマン」「少年たち」「ある少年の告白」今回は、MVPとか言ってられないほど素晴らしい公演が多かったです。歌舞伎では、吉右衛門の「熊谷陣屋」、仁左衛門の「すし屋」、菊五郎の「暗闇の丑松」、いずれも、もうこれ以降は見られないんじゃないかっていうくらい渾身の舞台でした。文楽も「阿古屋琴責」三業が一体となって、一分の隙もない緊張感は、同じ演目・同じ出演者ではありましたが、1月の大阪より上だったと思います。その上「雪責め」の蓑助が、この世のものとも思われぬ遣いをなさいまして、雪の中折檻されて息も絶え絶えの中将姫を見ながら、「もうやめて、死んじゃう!」と本気で思うほど。人形なのに。さらにバレエ・ダンスも充実。特にNoismの「R.O.O.M」は、最高の技術を持つダンサーの技量を、コンテンポラリーとエンターテインメントを一つにした度肝を抜く演出で生かしたステージで、「見逃さないで本当によかった!」と思える最高峰のダンスでした。
2019.02.28
コメント(0)
振付を見直したという今回の「第九」。初演時は第2楽章が秀逸だったが、今回の白眉は第3楽章だった。プリンシパル宮尾の力がすごい。立ってるだけで舞台を支配。ミュージカル「ロミオとジュリエット」での「死」などの経験がそうさせるのか?パドドゥに吹き込む情感も。踊りに意味がある。意味が漂ってくる。第九が一種のシンフォニックバレエであるとしても、その音楽とダンスに感情とストーリーを見出せる人はそうそういない。改めて宮尾のプリンシパルとしての成長と自信が身にしみた。熊川登場の第4楽章も、祝祭気分全開だった。私は満足。満足とともに卒業かな。圧巻の幕切れに誰もが興奮したけれど、(もちろん私も)、だけど、私は思う。「まだまだ踊れる」とはいえ、そしてそのパフォーマンスは人々を熱狂させるけれど、かつての彼を知っている身としては、どうしても物足りなさを感じてしまう。そりゃそうだ。もはや記憶と記録にしか残っていないシーン、彼自身にすら再現できない才能は厳然としてある。それがダンサーの宿命だし、それが彼を、古典として永遠の命を得るために作品を生み出す方にシフトさせた。熊川はこれからも芸術監督としては進化する。彼のタレントのうち、引き継げるものは引き継いだ。それは益子倭や宮尾俊太郎が証明してる。でも、引き継げないものもあるんだ。だからこそ、熊川哲也はレジェンドであり、唯一無二の不世出なダンサーなのである。彼を追いかけてちょうど30年。今日は一つの、幸せな区切りとなりました。もちろんこれからも、Kバレエは観るよ!
2019.02.04
コメント(1)
素晴らしかった、の一言に尽きる。益子倭はプティの難解な振付に果敢に挑戦、丁寧に、そして気迫をもって踊り切りました。パーフェクトとフルアウトを求める熊川によく従い、素晴らしいステージだったと思います。彼は体格が熊川に似ているので、ときどき熊川が踊っているかのような錯覚をすら覚えました。それほど、手の先、足の先まで魂がこもっていた。見込まれてBallet Gentsに入りながらも、他のメンバーに比べるとまだまだ大役につけるチャンスが少ない益子ですが、この日の出来栄えは、きっとこれからの活躍への道を切り開く一歩となるでしょう。最近、Kバレエを退団した男性ダンサーの舞台を観ましたが、やはりKバレエに居続けることで得られるものは計り知れない、と思いました。どんなに才能があっても、高い理想を目指す芸術監督のもとで、常に超一流を意識しなければならないKバレエは、本当に素晴らしい鍛錬の場です。すべての団員に敬意を表します。
2019.02.02
コメント(1)
今月はお正月のため、歌舞伎は関東で4座7公演、関西で1座2公演、計5座9公演が催されました。販売即売り切れ状態だった成田屋さんの新橋演舞場のチケットも、かろうじてゲットでき、全公演踏破いたしました。ということで、歌舞伎9、文楽2、演劇1、バレエ1、ミュージカル2、コンサート1で16映画1、試写1でした。【歌舞伎】壽初春大歌舞伎昼の部(舌出し三番叟/対面寿曽我/廓文章吉田屋/一條大蔵譚)(歌舞伎座)壽初春大歌舞伎夜の部(絵本太功記/勢獅子/松竹梅湯島掛額)(歌舞伎座)壽初春大歌舞伎昼の部(土屋主税/寿栄藤末廣/河庄)(松竹座)壽初春大歌舞伎夜の部(金門五三桐)(松竹座)新春浅草歌舞伎昼の部(戻駕色相肩/義賢最期/芋堀長者)(浅草公会堂)新春浅草歌舞伎夜の部(寿曽我対面/番町皿屋敷/乗合船恵方萬歳)(浅草公会堂)新春歌舞伎公演昼の部(鳥居前/番隨長兵衛/三升曲輪傘売)(新橋演舞場)新春歌舞伎公演夜の部(鳴神/牡丹花十一代/俊寛/春興鏡獅子)(新橋演舞場)新春歌舞伎公演(姫路城音菊礎石)(国立劇場大劇場)【文楽】新春文楽公演(二人禿/先代萩/壺阪霊験記)(大阪国立文楽劇場)新春文楽公演(冥途の飛脚/阿古屋琴責)(大阪国立文楽劇場)【演劇】「罪と罰」(シアターコクーン)【バレエ・ダンス】「吉田都からのメッセージ」(文京シビックホール)【ミュージカル】宝塚雪組「ファントム」(望海/真彩)(東京宝塚劇場)宝塚月組バウ公演「アンナ・カレーニナ」(ライブビューイング)【コンサート】「ヴォイス・オヴ・ウェストエンド」(オーチャードホール)【映画】「マスカレード・ホテル」【試写】「12月の未来図」【最優秀作品賞】=宝塚月組バウ公演「アンナ・カレーニナ」美弥るりかのヴィロンスキー、月代かなとのカレーニン、素晴らしかった。男役がメインの宝塚らしく、アンナが主役の話を、ヴィロンスキー目線で再構築、しかしアンナの置かれた状況もしっかり描かれ、プロダクションの力も感じた。【最優秀主演男優賞】=「俊寛」の市川海老蔵俊寛の性根がしっかりと浮かび上がる、よい俊寛、よい狂言に仕上がっていました。新橋演舞場のチケットは早々と完売し、それだけのものを見せてくれるのか、半信半疑でしたが、昼「番隨長兵衛」は当たり役とはいえ、夜の「俊寛」がこれまた素晴らしく、新境地を拓いたことを感じさせてくれました。折しもTV番組で「今まで自分が嫌いだったが、少し好きになれるようになった。(妻の)真央が生まれ変わらせてくれた」と言っているのを聞き、感慨もひとしお。自分が好きになるというのは、とてもよいこと。團十郎襲名も決まったので、大名跡に恥じぬ役者にぜひ成長してほしいと思います。【最優秀主演女優賞】=「ファントム」の真彩希帆最高に清らかなクリスティーヌでした。光降るがごとき天使の歌声、そして、ファントムへの思い。ファントムの望海風斗ももちろんよかったけど、彼女のクリスティーヌの歌声は、宝塚の枠を越え、他のミュージカルの座組に行っても即通用すると思いました。もう一人、最優秀主演女優賞=「中村児太郎「鳴神」の雲絶間姫は、鳴神上人でなくてもとろけるフェロモン全開。最高にエロいハニートラップでした。所作だけでなく、セリフで様々な情景を想像させたところに成長を感じます。「俊寛」では千鳥も演じ、これも手堅く、彼(女方だから女優じゃないけどこのジャンル)がいかに歌舞伎公演になくてならない存在になりつつあるかを実感しました。【奨励賞】=「勢獅子」の中村鷹之資獅子舞の足は誰?と話題になった彼の踊りに拍手!
2019.01.31
コメント(0)
Kバレエが創立20周年を迎えました。20年前、京王プラザホテルでの会見に私は、ファンクラブの1人として行っています。本当は「IndepenDance」って名前でスタートするはずで、会見場には垂れ幕も掲げていたけど、すでにその名前のグループがいることがわかり、急遽「K-B allet Company」での船出になったのでした。これも偶然とはいえ、その後のグループのあり方に影響を与えたかもしれません。ロイヤルバレエを飛び出したのは熊川だけではなかったし、その中心が熊川であったとしても、メンバーに上下関係はなかった。だから「KUMAKAWA」の「K」をとって名付けるカンパニーを、当初はまったく考えていなかったと思うのです。やがて熊川が、グランドバレエにシフトしていくと、キャシディを除くメンバーはやりたいバレエの違いから、活躍の場を他に求めるようになります。もしあのとき、名前が「IndepenDance」だったら、まったく違う道のりを辿っていたかもしれないし、あのときいったん空中分解してしまったかもしれません。ただ、これだけは言えます。熊川は自分が踊ることだけでなく、いかに日本にバレエという文化を根付かせるか、そこで最高のパフォーマンスを提供できるか、進化し続けられるか、をずっと考えてきました。「この子がもっていないものは、バレエ団と劇場だけ」と言わしめたあの16歳の日から30年、バレエ団を持ち、劇場も持ち(オーチャードホールの芸術監督を経て昨年末フランチャイズ契約)、バレエスクールまで持った熊川は、本当にすごい人だと思います。心からその道のりと、これからを祝福します。
2019.01.30
コメント(0)
2017年4月29日の時点で、アクセス数は150万5089あったと記録されています。それから20カ月経った2019年1月10日現在、アクセス数は186万875となっていました。20カ月で35万5800くらいお立ち寄りいただいている計算となります。その間の更新はほぼカンゲキのまとめくらいという体たらくで、過去の投稿を読んでくださっているのですね。ありがとうございます。
2019.01.10
コメント(0)
明けましておめでとうございます。今年のテーマは「書く」と「継続」。思えばこのブログも2006年の暮れに、「1000日連続投稿」「石の上にも三年」と決めて始めたものでした。ここ数年来、facebookを中心に発信してきましたが、今年はまたブログにも力を入れていこうと思っています。それとともに、HPの方も少し変えていこうとも思い、いろいろ考え中。考えているうちに、1年が終わってしまわないよう、1歩1歩前進していきます。
2019.01.10
コメント(1)
演劇11本ミュージカル7本バレエ3本は、今年は予想以上に観ていなかったのだな、というのが実感。MVPとか選べる母数になっていないので、とりあえず「my」をつけて、この中で私が一番印象的だったものを選びます。【演劇】PLUTOいつだって窓際で僕たち(劇団ロロ)1984(新国立劇場)ヘンリー5世(新国立劇場)ライフコンチェルト大きく振りかぶって(キャラメルボックス)犬神家の一族(新派)無謀漫遊記(扉座)豊穣の海華氏451(KAAT)民衆の敵【ミュージカル】ひかりふる路(宝塚雪組)シラノ生きる(市村正親)メタルマクベスdisc2タイタニックエリザベート(宝塚月組)マリーアントワネット(帝劇)【バレエ】オーチャードガラ「バレエ学校」ハンブルクバレエ「ニジンスキー」英国ロイヤルエレガンスの夕べ今年のmyトピック=ミュージカル界の挑戦とレベルアップどれも素晴らしかったです。DVDで「深夜食堂」や「ブラックメリーポピンズ」も観ましたが、全体的なレベルが上がっている。そして、様々な形のミュージカルが現れている。「深夜食堂」や「生きる」など、日本の作品を原作とするものもうまくミュージカルにしています。また、外国人の演出家が入ることで、俳優陣の意識が変わりつつあるような気がします。今年のmyMVP=宝塚2017年末のタカラヅカスペシャルを見た時の予感は正しかった。今、宝塚は日本のミュージカル界でトップレベルを行く。愛希れいかのエリサベートは、来年帝劇に行っても光り輝くだろう。今年のmy最優秀作品=豊穣の海三島作品をここまでその「精神の抽出」で描ききるとは。東出昌大の怪演も忘れがたい。【映画】映画は27本、DVD試写を入れると35本ほどになりました。今年のMVP=「エリック・クラプトン」皆さんは「ボヘミアン・ラプソディ」でしょうね。私は「エリック・クラプトン」。これは譲れません(笑)。「ボヘミアン・ラプソディ」も悪くはないですよ、でも、ぜひ「エリック・クラプトン」を観てください。特に、音楽好きの方は。…ということで、今年最後の投稿を終わります。みなさま、どうぞ良いお年をお迎えくださいませ。
2018.12.31
コメント(0)
今年の歌舞伎界は、高麗屋三代同時襲名に始まり、秋には福助の復帰、年末に阿古屋トリプルキャストと話題満載でした。一つ挙げるとすれば、やはり「阿古屋」でしょうか。舞台上で箏、三味線、胡弓の三曲を全て「完璧に」弾きこなせなければできない特別なお役、と言われてきた阿古屋を、次世代に渡すどころか次々々世代くらいの若手二人にやらせてしまった玉三郎の英断は、おそらく歌舞伎史上に残る「事件」だと思います。それは「この二人に継ぐ」ではなく、「この二人さえやるんだから、他の人もどんどんチャレンジなさい」の一斉スタート合図なのです。「おやんなさい」の指南ではありましたが、ご自分の演技に関しては、彼らに「果たしてここまで来れるかしら」の到達点を、どんどん上に押し上げるパフォーマンスでした。まだまだ進化する玉三郎です。今年のMVP=坂東玉三郎松本白鸚の由良之助、片岡仁左衛門の平右衛門とともに演じた「一力茶屋」のお軽は、絶品というほかに言葉がないほどの代物で、この人年々若返っているのでは?と思うほど美しかった。それは「吉野山」の静御前も然り。見るだけで人を幸せにする力を持っています。その玉三郎が今年新作歌舞伎舞踊を2作披露しました。「幽玄」と「傾城雪吉原」です。「幽玄」は鼓童とのコラボレーションによる組曲。私は3階から見ていましたが、「羽衣」は、能の「羽衣」を玉三郎はどう解釈しているのかを表した作品だと感じました。また、終盤で見せたフォーメーションの変化は、まるでKバレエの「白鳥の湖」のラストを思わせる壮大さで、彼の舞踊が西洋で高く評価される理由がわかった気がします。ただその分、「歌舞伎味」は薄まっていたかもしれません。従来の歌舞伎ファンからの支持は高くありませんでした。好き好きですが、私も、「羽衣」以外の曲については、あまり心を動かされませんでした。「傾城雪吉原」については12月の「カンゲキのまとめ」にも書きましたが、私は今年のベスト1に挙げたいくらいぞっこんに惚れ込みました。幕開きに散らつく雪、ゆったりと格調高いお囃子、柔らかな長唄の調子。花魁道中の記憶を遥かに辿りつつ、恋文を読んで男の影を追う女。初めて会った時の恋の予感、花火のような逢瀬、そして秋風とともに忍び寄る別れの予感…。あの幸せは、嘘か真か、夢か現か。すべてを受け入れて、彼女は花魁として次の1日を生きていく…。ほとんど歩くだけの玉三郎は、その「歩く」だけの中に、吉原の籠の鳥でありながらも本当の恋に命を燃やそうする傾城の春夏秋冬を見事に描き尽くしました。「歩く」のバラエティが歌舞伎を支えているとはよく言われます。これは新作でありながら、歌舞伎の真髄に迫った秀作と言えましょう。今年の最注目俳優=中村児太郎もう一つ、特筆すべき人物が中村児太郎です。児太郎の成長ぶりについては、数年来このブログでも何度となく指摘してきましたが、ついに「成駒屋」を背負って立つだけの格の大きさを身につけました。父・福助の復帰舞台で会った「金閣寺」で勤めた雪姫のあたりから、それまでとは明らかに異なるオーラを放ち始めたのです。「阿古屋」はもちろんまだまだ、とは言いながら、「児太郎の阿古屋」と思われる風情を醸して好評でした。来年も目が離せません。今年の新人賞=中村勘太郎まだ7歳ながら、平成中村座「舞鶴五條橋」の牛若で大人の芸を見せつけた勘太郎。熟年あるいは高齢の歌舞伎ファンに、あと30年は生きて、彼の行く末を見届けなければ!と心から思わせた瞬間です。また、中村鷹之資も出番が多くなってきました。その他大勢で踊っていても、「あれは誰?」と自ずと光る逸材。彼が歌舞伎座のまん真ん中に弁慶として立つ日を、こちらも待ちきれない私です。文楽については、人形遣いでは玉助、太夫では織太夫襲名とビッグイベントが続きました。とりわけ織太夫は、襲名を機に大きく飛躍したと評価が高いです。ただ、切場語りは咲太夫のみで、太夫間の実力の差、経験の差が眼に余る公演もありました。太夫陣には、ぜひとも踏ん張って、一段上の芸を身につけていただきたいとエールを送ります。その他の芸能については、数を見ていませんのでコメントは避けます。
2018.12.30
コメント(0)
今年はなんと、月別の「カンゲキのまとめ」をブログに挙げぬまま、この日を迎えてしまい、いたく反省。遅ればせながら、1月から12月までのまとめをアップしました。自分の覚書としてもこれはきちんと書いていかねばならないと痛感。来年は必ず毎月アップします。今年全体の回数を計算したところ、歌舞伎が50本(リピートを含めると67回)、文楽が15本(16回)、その他の古典芸能が7本、演劇が12本、バレエ3本ミュージカル7本、コンサートが3本で、舞台は97本、回数としては115回でした。仕事がら、舞台もサンプルDVDをお借りして拝見することがあるのですが、それを本数に入れてしまうと劇場に行っていないで「見た」ことになるので除外しています。映画は試写を含め27本でした。他にDVDを借りての試写もありましたが、舞台同様、数に入れていません。あくまで映画館か試写室において観た映画の本数です。舞台97本は、いつもより少し少なめですが、4月は海外だったため(そして海外では一つも観劇していない)、11カ月での実績です。今年の特徴はリピートが多く、回数としては115回で、1か月に10本は見ている計算になりますね。ここのところ少なかった映画は、映画ライター養成講座を始めたこともあり、27本と少し上向きです。では、2018年のMVPは?それはまた明日。
2018.12.29
コメント(0)
今月は、歌舞伎7(9)、文楽1、筑前琵琶1、コンサート2、演劇1で舞台が⒓(14)、映画は試写1本でした。【歌舞伎】十二月大歌舞伎昼の部(幸助餅/お染七役)(歌舞伎座)(2回)十二月大歌舞伎夜の部(壇浦兜軍記・阿古屋=玉三郎/あんまと泥棒/二人藤娘)(歌舞伎座)十二月大歌舞伎夜の部(壇浦兜軍記・阿古屋=梅枝/あんまと泥棒/傾城雪吉原)(歌舞伎座)(2回)十二月大歌舞伎夜の部(壇浦兜軍記・阿古屋=児太郎/あんまと泥棒/傾城雪吉原)(歌舞伎座)吉例顔見世東西合同十二月(昼の部)(寺子屋/鳥辺山心中/ぢいさんばあさん)(南座)吉例顔見世東西合同十二月(夜の部)(いがみの権太/面かぶり/弁天娘女男白浪/三社祭)(南座)12月歌舞伎(石川五右衛門)(国立劇場大劇場)【文楽】文楽 半蔵門(国立劇場小劇場)【その他の伝統芸能】筑前琵琶の会(紀尾井ホール)【演劇】民衆の敵 渋谷(シアターコクーン)【コンサート】岡幸二郎ミュージカルコンサート 初台(オペラシティ)宝塚スペシャルライブビューイング 日比谷(TOHOシネマズ日比谷)【試写】「二階堂家の人々」今月のMVP=坂東玉三郎今月は、とにもかくにも「阿古屋」でしょう。20年ぶりに玉三郎以外の人間が阿古屋をやりました。その前は、六世中村歌右衛門のみが30年やってきたことを考えると、半世紀にわたる「阿古屋は特別」という空気を打ち破ったことになります。玉三郎の決断は本当に大きいと思いました。梅枝も児太郎もそれにこたえてよくやった。彼自身も、ずんずん前に進んでいく感じ。今月の最優秀作品=「傾城雪吉原」しかし、「この1本」を選ぶなら、私は同じ玉三郎でも「傾城雪吉原」を挙げたい。新作ですよ。美しさの極限。雪で始まる幕開きの幽玄さから始まり、春夏秋冬を恋だけで生きる「籠の鳥」傾城のはかなさがすべて描かれている。すごいです。玉三郎以外にできるのか? その意味では、阿古屋以上にハードルが高いとさえ思える一幕でした。あと、筑前琵琶の人間国宝、奥村旭翠氏の琵琶の音色は、一瞬で私たちを源平合戦に連れて行く力がありました。
2018.12.29
コメント(0)
今月は、歌舞伎が4(5)、演劇が3、バレエ1、ミュージカル2で舞台が10(11)、映画は試写5含めて6本でした。(*宝塚は映画館でのライブビューイングでしたが、生中継だったので舞台に入れました)【歌舞伎】吉例顔見世昼の部(お江戸みやげ/素襖落/十六夜清心)(歌舞伎座)吉例顔見世夜の部(楼門五三桐/文売り/隅田川続俤)(歌舞伎座)吉例顔見世夜の部一幕見(隅田川続俤大詰)(歌舞伎座)平成中村座十一月大歌舞伎昼の部(実盛物語/近江のお兼/狐狸狐狸ばなし)(平成中村座)平成中村座十一月大歌舞伎夜の部(弥栄芝居賑/舞鶴五條橋/一力茶屋)(平成中村座)【演劇】犬神家の一族(新橋演舞場)扉座「無謀漫遊記」(紀伊國屋ホール)豊穣の海(サザンシアター)【バレエ】篠原x下村バレエ「運命」(メルパルクホール)【ミュージカル】マリ―アントワネット (帝劇)「エリザベート」千秋楽ライブビューイング 渋谷(TOHO)(*)【座談会】平成中村座座談会(平成中村座)【試写】シネマ歌舞伎シシリアン・ゴーストストーリーヴィクトリア&アブドゥルファンタスティックビースト2女王陛下のお気に入り【映画】ボヘミアン・ラプソディ(ナイテッドシネマズ豊洲)今月のMVP=中村勘太郎平成中村座「舞鶴五條橋」で見せた牛若は、7歳とは思えぬ出来。大人顔負けの端正で素早い動き、品格ある佇まい。10年後、20年後が待ち遠しい。おごらず焦らず鍛錬を続けてほしいです。今月の最優秀作品=豊穣の海無謀ともいえる三島作品三部作の舞台化を見事にやり遂げた長田育恵とマックス・ウェブスター、期待に応えた東出昌大・首藤康之・笈田ヨシに拍手。
2018.11.30
コメント(0)
10月は、歌舞伎5(7)、雅楽1、ミュージカル3、演劇1で舞台は10(12)、他に講演会1と美術館1、映画は東京国際映画祭で3、他の試写が2で計5本でした。【歌舞伎】高雄歌舞伎(鯔背川勢揃/封印切)(岐阜県郡上市)十月歌舞伎夜の部(雙生隅田川)(松竹座)芸術祭十月大歌舞伎昼の部(三人吉三/酒呑童子/佐倉義民伝 )(歌舞伎座)芸術祭十月大歌舞伎夜の部(宮島だんまり/吉野山/助六)(歌舞伎座)(3回)10月歌舞伎公演「平家女護島」(歌舞伎)(国立劇場)【その他の伝統芸能】雅楽(皇居)【ミュージカル】タイタニック(日本青年館)メタルマクベスdisc2(IHIステージアラウンド)生きる(赤坂ACTシアター)【演劇】華氏451(KAAT)【美術館・博物館】大府歴史民俗資料館(愛知県大府)【講演会】歌舞伎夜話(中村歌昇)(歌舞伎座ギャラリー)【東京国際映画祭】ホワイトクロウ 大いなる闇の日々半世界 六本木【試写】華氏116マイサンシャイン今月の最優秀作品=「メタルマクベス」disc2 IHIステージアラウンドの良さを生かし切ったステージに拍手。俳優陣もよかったが、演出が秀逸。1年かけて、ようやく劇と劇場がなじんできた。今後の使い方に期待したい。といっても、期間限定の仮設なんですよね。今月のMVP=「佐倉義民伝」の松本白鸚十八世中村勘三郎追善公演で、勘三郎のコクーン歌舞伎を観た人の多い中、すべての観客をうならせる。彼の鋭い人間観察と、それを支える人間愛親子愛、社会正義へのまなざしが作り上げた木内宗吾を演じきった。
2018.11.01
コメント(0)
今月は、歌舞伎3(5)、文楽2、演劇1、コンサート1で舞台は7(9)、他に美術館1、映画は試写が1でした。【歌舞伎】九月秀山祭昼の部(金閣寺/鬼揃紅葉狩/河内山)(歌舞伎座)(3回)九月秀山祭夜の部(松寿操り三番叟/俊寛/幽玄)(歌舞伎座)秋田森岳歌舞伎(鯔背川勢揃/一谷嫩軍記・菟原の里林住家〈阿ばら家〉)(各地番楽)(森岳歌舞伎)【文楽】9月文楽公演第一部(良弁杉由来/増補忠臣蔵)(国立劇場小劇場)9月文楽公演第二部(夏祭浪花鑑)(国立劇場)【演劇】大きくふりかぶって(サンシャイン劇場)【コンサート】池田卓夫プロデュース還暦祝コンサート(南麻布セントレホール)【美術館・博物館】秋田県立美術館【試写】エリッククラプトン今月の最優秀作品=「エリック・クラプトン」試写なので、公開は11月ですが、最高の音楽ドキュメンタリー映画です。(追記)世の中「ボヘミアン・ラプソディ―」一色ですが、それはそれで素晴らしい映画とはいえ、音楽好きな方には私はこちらを推します。レビューを書きましたので、こちらをご覧ください。今月のMVP=中村福助5年ぶりに舞台復帰! 大名跡・中村歌右衛門襲名が決定した直後病に倒れ、再起不能かともうわさされながら懸命にリハビリに励み、ついに「金閣寺」の慶寿院尼で登場。初日の鳴りやまぬ拍手は、歌舞伎ファンの福助愛にあふれて感動的でした。それにしても、美しい慶寿院尼でした。今月の主演男優賞=中村吉右衛門「河内山」の演技は絶品。まだまだ進化する人間国宝。
2018.09.30
コメント(0)
Kバレエフレンズ(Kバレエカンパニーのオフィシャルファンクラブ)で、会報をリニューアルし、「Devant(ドゥヴァン)」という正方形の小冊子になったことは、以前も紹介しました。そのときも、内容が充実していますよ、というお知らせだったのですが、4号は輪をかけて内容が濃く、熊川哲也の30年、Kバレエの20年、浅川紫織や宮尾俊太郎の15年がまるごと味わえる素晴らしい1冊となっています。もしおうちにあるけどまだ読んでいない方は、必ず目を通してください!特に岡村啓嗣氏と熊川との対談は、読んでいてこれまでの30年が走馬灯のように脳裏を駆け巡る!宮尾・浅川の対談も、彼らが大きなタイトルロールを初演するときの気持ち、熊川の稽古の付け方の徹底ぶりなどが垣間見え、心が震えます。「New Pieces」の作品解説も、振り付けた本人の構想が率直に語られており、バレエの深淵に触れる思いです。もしお友達にKバレエフレンズの会員がいらっしゃったら「読んだ?」と声をかけてみてくださいね。
2018.09.02
コメント(1)
8月は、歌舞伎7(9)、文楽3(4)、その他の伝統芸能1、演劇1で舞台は12(15)。映画は試写が5でした。【歌舞伎】晴の会(謎帯一寸徳兵衛)(近鉄アート館)(2回)納涼歌舞伎第一部(花魁草/龍虎/心中月夜星野屋)(歌舞伎座)納涼歌舞伎第二部(東海道中膝栗毛/雨乞其角)(歌舞伎座)納涼歌舞伎第三部(盟三五大切)(歌舞伎座)(2回)ナルト(新橋演舞場)稚魚の会(曽我対面/勢獅子/神霊矢口渡)(国立劇場小劇場)上方歌舞伎(真如/彦山権現誓助太刃道行恋苧環/元禄花見踊)(文楽劇場)【文楽】文楽第三部 大阪(新版歌祭文/日本振袖始)(文楽劇場)(2回)文楽第一部 大阪(瓜子姫とあまんじゃく/大江山)(文楽劇場)文楽第二部 大阪(三十三間堂由来/大塔宮曦鎧)(文楽劇場)【その他の伝統芸能】くるす桜(招待) 郡上(薪能)【演劇】ライフコンチェルト(紀伊國屋ホール)【バレエ】英国ロイヤルエレガンスの夕べ(パーシモンホール)【試写】ボルグ&マッケンロー鈴木家の嘘ガンジスに還る運命は踊るライ麦畑で出会ったら今月の最優秀作品=晴の会「謎帯一寸徳兵衛」あまり観たことのない演目ですが、「夏祭浪花鑑」に出てくる「一寸徳兵衛」スピンオフ、と思いきや、どうやらこちらが「東海道四谷怪談」のもとになった物語か?「首が飛んでも~」や「どれ水揚げと~」の伊右衛門のセリフが、この話の中ではものすごくしっくりくる。上演してくれた晴の会(と指導してくれた松嶋屋)に心から感謝します。今月のMVP=中村しのぶ「神霊矢口渡」のお舟。一人スバ抜けてオーラを発する。すでに「稚魚」ではない。今月の最優秀助演賞=中村梅花「花魁草」の幕開け、江戸の大火事で焼け出された夫婦がたどり着いた川べり。その疲弊、その空虚がリアル。本編にまったく関係なく、ここしか出てこないけれど、強い印象を与えた。
2018.09.01
コメント(0)
「ノートルダム・ド・パリ」に続き、「レ・ミゼラブル」をめぐる文学紀行を書きました。第2回(上) ジャン・バルジャンが潜入したパリ第2回(下) バリケードに散ったユゴーの青春(上)では、フィリップ・オーギュストの城壁など、パリに残る城壁についてフォーカスしています。(下)は、アンジョルラスが命を落としたバリケードはどこにあったか?などを中心に。ヴォージュ広場にあるユゴー記念館にも足を運んでいます。アンジョたエポニーヌに比べると、ちょっと線の細いマリウスが、実はとっても重要な人物だったかも、というお話。
2018.08.09
コメント(2)
今月は、歌舞伎4(6)、祇園祭で雅楽をみたほか、映画は1でした。【歌舞伎】七月大歌舞伎昼の部(三国無双瓢箪久)(歌舞伎座)七月大歌舞伎夜の部(源氏物語)(歌舞伎座)七月大歌舞伎昼の部(廓三番叟/車引/河内山/勧進帳)(松竹座)(2回)七月大歌舞伎夜の部(御浜御殿/口上/女殺油地獄)(松竹座)(2回)【映画】焼肉ドラゴン 日比谷(映画TOHO)【その他】雅楽(祇園祭の一貫。八坂神社前の道路で披露)今月の最優秀作品=松竹座七月大歌舞伎(昼・夜)何がすごいって、一つも手の抜いた演目がない。高麗屋三代襲名ということで、座組がハンパなく素晴らしいのに加え、「車引」「勧進帳」「河内山」「御浜御殿」「女殺油地獄」…これぞザ・カブキという演目を、全員が全力でつくりあげてゆるぎない。プロフェッショナルとはこういうこと。あまりに素晴らしかったし、もうこんなものはそう見られないと思い、その場でチケット買い足して2回ずつ見てしまいました。
2018.07.31
コメント(0)
長らくブログに投稿できずにいました。すみません!久しぶりの投稿は、「ノートルダム・ド・パリ」についてです。2018年4月から5月にかけて、1か月ほどフランスに行っていました。そこで訪れた文学作品の舞台の数々。その一つがノートルダム大聖堂です。「かもめの本棚」のサイトに2回に分けて書いていますので、どうぞお立ち寄りください。ノートルダム大聖堂の上までのぼってきました!第1回(上) カジモドが見たパリの空 第1回(下) ユゴーが描いたパリの町と人間たち
2018.07.05
コメント(2)
今月は歌舞伎3(5)、文楽1、その他の伝統芸能2で6(8)、映画は試写を含めて4でした。【歌舞伎】歌舞伎鑑賞教室「連獅子」(国立劇場)六月大歌舞伎昼の部(妹背山婦女庭訓/文屋/野晒悟助)(歌舞伎座)(2回)六月大歌舞伎夜の部(夏祭浪花鑑/巷談宵宮雨)(歌舞伎座)(2回)【文楽】文楽鑑賞教室(二人三番叟/絵本太功記)(大阪文楽劇場)【その他の伝統芸能】百萬(セルリアン能楽堂)平家物語の夕べ(国立能楽堂)【試写】スターリン葬送狂騒曲バンクシーを盗んだ男 アイスと雨音【映画】バーフバリ完全版(有楽町東映)今月の最優秀作品=「巷談宵宮雨」歌舞伎座夜の部。あまりかからない演目だが非常に面白かった。こすっからいワルの太十を演じる尾上松緑と、とぼけた味を出しながら太十の二回りは抜け目ない本物のワルに扮した中村芝翫のパワーバランスが絶妙で、児太郎のおとらが2匹の蛇ににらまれた蛙のように身を縮める風情がリアル。そこに世話焼きと見せておとらをカネにしようとたくらむばあさんおとまの梅花が芸達者。近いうちにこのメンツでぜひ再演してほしい。(追記)このときは何気なく見ていた「バンクシーを盗んだ男」だが、数か月後にオークションでバンクシーの絵が落札と同時にその場でシュレッダー状態になるという事件があり、改めてバンクシーの気持ちを再認識した。レビューはこちら。
2018.06.30
コメント(0)
今月は、歌舞伎3(4)、文楽2、ミュージカル1、演劇2で舞台は8(9)、映画は1でした。【歌舞伎】切られの与三(シアターコクーン)團菊祭昼の部(雷神不動北山桜/女伊達)(歌舞伎座)團菊祭夜の部(弁天娘女男白浪/菊畑/喜撰)(歌舞伎座)(2回)【文楽】文楽公演第一部(国立劇場)文楽公演第二部(国立劇場)【ミュージカル】シラノ(日生劇場)【演劇】1984(新国立劇場)ヘンリー5世(新国立劇場)【映画】ペンタゴンペーパー(TOHOシネマズ日比谷)今月のMVP=吉田鋼太郎「シラノ」の吉田鋼太郎のセリフ術のすばらしさは、すべての演劇人が見習ってほしい。激しい立ち回りや早口などものともせず、すべてに感情がはりめぐらされている。今月の最優秀作品=弁天娘女男白浪これぞ弁天小僧の決定版、である。御年75歳で弁天小僧に扮した菊五郎が文句なしに素晴らしい。22歳初演、なんと50年以上この役を当たり役としているのだから恐れ入る。特に浜松屋の場、男と分かってぶっ返ってからのやりとりの丁々発止は、歌舞伎のリアリズムとはこういうこと、と思わせてくれた。南郷力丸役の左團次との掛け合いは、絶妙な間合い。お決まりのセリフの一つ一つに心が入り、初めてこの話を聞くような新鮮味さえあった。
2018.05.31
コメント(0)
4月は海外のため、歌舞伎1本のみですので、3月とまとめました。歌舞伎6、演劇1で舞台7本、試写2本でした。【歌舞伎】東濃歌舞伎(仮名手本忠臣蔵・松の間から裏門合点/笑三郎中津川名所巡/鯔背川勢揃/封印切/新ノ口村)(東濃スポーツセンター)梅笑会(男舞/藤娘/道行恋苧環)(国立劇場小劇場)三月大歌舞伎昼の部(国性爺合戦/男女道成寺/芝浜革財布)(歌舞伎座)三月大歌舞伎夜の部(於染久松色読販/神田祭/滝の白糸)(歌舞伎座)四月大歌舞伎夜の部(歌舞伎座)3月歌舞伎公演(増補忠臣蔵/髪結新三)(国立劇場大劇場)【演劇】「いつだって窓際で僕たち」(早稲田どらま館)【試写】試写 テアトル京橋(京橋)試写「I,トーニャ」3・4月のMVP=片岡仁左衛門四月大歌舞伎夜の部で見せた通し狂言「絵本合邦衢」における左枝大学之助と立場の太平次との二役演じ分けは、前回より大学之助の凄み・大きさが増し、その不敵な笑い声が轟くと、思わず背筋が寒くなるほど。かたや太平次とうんざりお松(時蔵)との絡みでは、ふとした仕草の艶っぽさが忘れ難い。3・4月の敢闘賞=尾上菊之助つい最近まで、皆菊之助は真女方まっしぐらの役者だと思っていた。碇知盛は怖いもの見たさだったが、新三もまた、形肌脱いで乳房見せちゃうのか?…と一瞬めまいがしたけれど、頑張っていた。私は彼の勝奴の色っぽさが忘れられないので、少し甘めかもしれないが、その延長としてはまずまずだったのではないだろうか。
2018.04.02
コメント(0)
更新が滞っております。「カンゲキのまとめ」だけでも続けたいと思っておりますが、今日はそれよりも、どうしても書きたいことが。昨年、Kバレエフレンズ(Kバレエカンパニーのファンクラブ)の会報誌がリニューアルしました。それまで「Pirouette(ピルエット)」というA4版の、少し厚みのある冊子だったのが、新しい「Devant(ドゥヴァン)」は200mmx200mmの正方形で、用紙もソフト。内容的にも、Pirouetteは舞台写真やイベント報告が主だったけれどDevantはインタビューなど読み物中心。いろいろ違います。私は最初のファンクラブ「テディズ・クラブ」→「アーサ・メイジャー」→「Kバレエフレンズ」とずっとファンクラブ会員。会報誌もずっと読んでいますが、今回(「Devant №3」はチョーおもしろい!特に、現TBS顧問で、Kバレエの公演を興行主としてTBSが支える形を作った児玉守弘氏との対談がめっちゃ面白い! 熊川ファン必読です。宮尾&遅沢の人生相談「アニキに訊け!」も全開、浅川紫織のまんが道「COJI-COJI」にはいちいち同感。そして、巻頭の熊川インタビュー。今年の公演ラインナップを一つ一つ愛をこめて、そして懐かしい思い出とともに解説する熊川の言葉一つ一つに、ファンの私も思い出すことがたくさん。読むだけで、甘いひとときをありがとう!…ということで、すみからすみまで読み応えあり。ファンクラブの会員の方、読んでね。
2018.03.24
コメント(1)
今月は、歌舞伎2(4)、文楽2、その他の伝統芸能1、バレエ2、演劇1で舞台が8(10)、映画は1でした。文楽は、先月の大阪公演と同じ演目となる第一部は行きませんでした。【歌舞伎】二月大歌舞伎昼の部(春駒祝高麗/一條大蔵譚/暫/井伊大老)(歌舞伎座)(2回)二月大歌舞伎夜の部(熊谷陣屋/一力茶屋/他)(歌舞伎座)(2回)【文楽】文楽1月公演第二部(心中宵庚申)(国立劇場小劇場)文楽1月公演第三部(女殺油地獄)(国立劇場小劇場)【その他の伝統芸能】延寿会(歌舞伎座)【バレエ】ハンブルクバレエ「ニジンスキー」(東京文化会館)オーチャードガラ「バレエ学校」(オーチャードホール)【演劇】お芝居in電車 東池袋(都電)【映画】「グレーティスト・ショーマン」(TOHOシネマ日本橋)今月のMVP=中村吉右衛門「井伊大老」の吉右衛門はすでに演技を通り越して、人間の生きざまそのものに迫っている。いつもながら、雀右衛門とのコンビは日本人らしいおずおずとしたなかに親和し同化する愛が感じられ、少ない科白から二人の青春と悲しいさだめが浮かび上がり絶品。今月の最優秀作品=仮名手本忠臣蔵「一力茶屋」玉三郎のお軽は何度観ても美しくかわいらしい。仁左衛門の平右衛門とのツーショットは完璧。でも、菊之助&海老蔵の「寅さんとさくら兄妹コンビ」も私は大好きです。日替わりの2コンビだけでなく、由良之助の白鸚がよい。新染五郎の力弥も所作が美しく決まっていた。今月の新人賞=清元榮寿太夫歌舞伎役者の尾上右近が清元の榮寿太夫を襲名。「大谷翔平も二刀流だから」と軽くジョークを飛ばしながら、二足の草鞋を鷹揚に許した菊五郎も素晴らしいが、榮寿太夫の美声はこれからが楽しみ。もちろん、まだまだではあるけれど。
2018.02.28
コメント(0)
オーチャード・バレエ・ガラ2日目を観に行ってきました。世界バレエスクールフェスティバル風で、各国の色が出てとても豊かな時間に。クラシック、コンテンポラリー、民族舞踊を感じさせるものなど、様々。子どもに無理させない演目で、皆、丁寧な踊りが好感持てました。この公演は、世界レベルでスターダンサーかつカンパニー主宰かつ劇場芸術監督かつバレエスクール主宰かつカリスマ性のある熊川哲也でなければ実現できなかったと確信しています。日本のディアギレフ的佐々木忠次亡き後、熊川の存在は稀有であることを示した出来事になったといって過言ではないと思います。以下、個人的な感想。オーストラリアン・バレエの「海賊」パ・ド・ドゥは、アリエル・ミラレスが堂々たる演技で魅せる。アダージョだけだったが、残りも見たいと思わせた。カナダの「ラ・フィーユ・マルガルデ」は、まだまだ「生徒」らしさは抜けないものの、ジェイソン・チェンのしなやかな踊りに将来性を感じた。同じカナダでも「three image of hope」はジェネヴィエーヴ・ペン・ナビティの切れと表現力に見とれる。ほかにコンテンポラリー系では、ハーグの「無言歌集」がメンデルスゾーンの音楽を生かしてgood。オーストラリアン・バレエの「VITAE」では、ジェイコブ・デグルートが印象に残った。キリアン作品「evening songs」(ハーグ)やノイマイヤー作品「バッハ組曲2」は、まだ生徒たちが作品の真髄にまでは到達していない感あり。しかし荒削りながらも所々ハッとさせたのが、アレッサンドロ・フローラ(ハンブルク)。スクールの頃からこうした作品を繰り返し触れることで、いつかは現在来日公演で見せてくれるハンブルクバレエ団のノイマイヤー作品「ニジンスキー」のレベルに到達する一里塚となる。そこが、バレエ団付属のスクールの良さだろう。ウィーンは、この公演のために新たに3作を書き下ろしたという。子どもたちの特性を生かそうという愛情に満ちていた。年齢的にも、他スクールが17〜最高21歳であったのに対し、ウィーンは15歳〜17歳と幼さが際立った。派遣した生徒の年齢構成にもスクールの考えが見えて興味深い。完成度、という点では、やはりワガノワは飛び抜けているなと。「フローラの目覚め」のマリア・ホーレワ、「人形の精」のマリア・ペトゥホーワ、ホルヘ・パラシオス、ラスムス・アハルグレン、素晴らしかった。
2018.02.12
コメント(4)
今月は、歌舞伎6(7)、文楽・人形浄瑠璃3、宝塚1、演劇1で舞台が11(12)、映画は試写1、美術館など2、講演会1でした。【歌舞伎】壽初春大歌舞伎昼の部(歌舞伎座)(箱根霊験誓仇討/七福神/車引・寺子屋)壽初春大歌舞伎夜の部(歌舞伎座)(角力場/高麗屋三代襲名口上/勧進帳/相生獅子・三人形)(2回)初春歌舞伎公演「世界花小栗判官」(国立劇場大劇場)新春浅草歌舞伎(第一部)(鳥居前/御浜御殿)(浅草公会堂)新春浅草歌舞伎(第二部)(操り三番叟/引窓/京人形)(浅草公会堂)坂東玉三郎新春特別舞踊公演(元禄花見踊/秋の色種/鷺娘/傾城)(松竹座)【文楽・人形浄瑠璃】文楽1月公演第一部(平家女護島/摂州合邦辻/他)(大阪文楽劇場)文楽1月公演第二部(良弁杉由来/傾城恋飛脚)(大阪文楽劇場) 復活狂言「左馬之助湖水渡りの段」(淡路人形座)【宝塚】雪組「ひかりふる路」 日比谷(東京宝塚劇場)【演劇】PLUTO 渋谷(シアターコクーン)【講演会】「劇的なるものをめぐって2」上映会、鈴木忠志x渡辺保トーク(大隈講堂)【映画】試写「オー! ルーシー」 【美術館・博物館】国際大塚美術館 淡路文化資料館 今月のMVP=豊竹呂太夫「平家女護島」の鬼界が島の段、つまり歌舞伎でいうところの「俊寛」ですが、この最初の語りの迫力と重低音の威厳が素晴らしかった。私は今までと違った呂太夫を感じました。襲名によって大きくなられたのかな、と、改めて感服いたしました。今月の最優秀作品=「勧進帳」新幸四郎が初役で臨む弁慶。やりたくてやりたくて、でもお父さんが譲ってくれなくて、富樫や義経を何度やってきたことか。その気持ちが爆発する舞台に、叔父の吉右衛門が富樫。この富樫の大きさがまた、今まで見たこともないような巨大な壁でした。美しい若者・新染五郎の、初々しい中にも品のある義経も眼福。
2018.01.31
コメント(0)
今年もたくさんの作品と出会うことができました。歌舞伎=63(回数は70)文楽・素浄瑠璃=18能・狂言=2その他の伝統芸能=3ミュージカル・オペラ=10(回数は11)ダンス・バレエ=11演劇=22ライブ・コンサート=6その他=21年合計して137本(145回)のステージを観ました。映画は31本。DVD試写は除いての数ですが、来年はもう少し増やしたいです。(何本か、劇場で観たシネマ歌舞伎が数に入っていないかもしれない)今年一番の舞台は何だったか?・・・などというのは愚問中の愚問。でも、もし1つ挙げるとすれば、「氷艶」だったかな、と。あそこまでのものができるとは、思っていなかった。お見それしました、染五郎。そして、世界レベルのフィギュアスケーターたち!ミュージカル界では、やはり「ビリーエリオット」の成功は外せない。絶対日本では無理!と思った2011年から6年ですよ。すごいな〜。あと、平原綾香のミュージカル参戦も喜びたい。来年の「メアリーポピンズ」にも期待している。個人的には、行きたい行きたいと思っていた京都観世会館に行けたのがよかったです。来年は、もう少しお能を観ていきたいと思っていますが、どうなりますやら。来年の観劇初めは1月3日から。高麗屋三代襲名で幕を開けます。また来年も、たくさんのカンゲキと出会えますように。皆さまも、たくさんカンゲキできますように!よいお年をお迎えください。
2017.12.30
コメント(0)
今月は、歌舞伎6(回数は8)、文楽・素浄瑠璃3、演劇5、ダンス・バレエ・ミュージカル2、で舞台は16(18)、映画2。忙しいはずです。いつもの倍は観ている計算。【歌舞伎】十二月大歌舞伎(第一部)「実盛物語/土蜘」@歌舞伎座十二月大歌舞伎(第二部)「らくだ/蘭平物狂」@歌舞伎座十二月大歌舞伎(第三部)「瞼の母/楊貴妃」@歌舞伎座吉例顔見世興行東西合同歌舞伎(昼の部)「寿曽我対面/渡海屋・大物浦/二人椀久」@京都ロームシアター吉例顔見世興行東西合同歌舞伎(夜の部)「良弁杉由来/俄獅子/文七元結/大江山酒呑童子」@京都ロームシアター12月歌舞伎公演「今様三番三/隅田春妓女容性」@国立劇場大劇場【文楽・素浄瑠璃】文楽12月公演「ひらがな盛衰記」@国立劇場小劇場社会人のための文楽鑑賞教室「日高川花王入相/新口村」@国立劇場小劇場KAAT駒之助公演「奥州安達ヶ原〜袖萩祭文」@KAAT神奈川芸術劇場【演劇】扉座「江戸のマハラジャ」@座・高円寺チェルフィッチュ「三月の十日間」@KAAT神奈川芸術劇場「欲望という名の電車」@シアターコクーン「流山ブルーバード」@本多劇場「アテネのタイモン」@彩の国さいたま芸術劇場【ダンス・バレエ・ミュージカル】「老松」@セルリアンタワー能楽堂「プクル」@日本青年館ホール【映画】タカラヅカスペシャル2017「ジュテームレビュー」@TOHOシネマズ六本木「スターウォーズ 最後のジェダイ」@TOHOシネマズ六本木今月の最優秀作品=「蘭平物狂」アナログでここまで人をアッと言わせられる、ということを証明した、ダイナミックなアクションに。尾上松緑の奮闘もさることながら、殺陣師として全てをコントロールした山崎咲十郎の手腕とセンスの良さ、そして、三階さんたちの奮闘。怪我も事故もなかったのは、チームワーク。素晴らしかったです。最優秀男優賞=「二人椀久」の片岡仁左衛門すみません。もう、空前絶後の出来で、他とは比べられない。お囃子や照明、舞台装置、全てが最高でした。本当に夢を見ているようでした。敢闘賞=市川中車この人抜きで、歌舞伎が語れなくなってきた。「これは僕の物語」というだけはあった「瞼の母」、冒頭の第一声が、猿翁丈にそっくり。「楊貴妃」は、初日あたりは立っているだけだったが、終盤、ちゃんと感情が表れるようになったのには驚いた。特別賞=「タカラヅカスペシャル2017」轟悠&各組トップスターが粒ぞろい、かつ二番手三番手にも勢いがあり、来年たくさん宝塚を観に行きたいと思わせる素晴らしいステージでした。ライブ中継が全国60ヶ所以上というのもすごい。大満足。功労賞=「アテネのタイモン」今年最後に観た「アテネのタイモン」。吉田鋼太郎という男を再度見直した。原作本より数段面白い舞台になっている。それも、蜷川チックに。さいたま芸術劇場が「NINAGAWAメモリアル劇場」になっていくのを、「それ、どうなんだ?」と思っていたが、これを観たら、それもいいかも、と素直に思った。蜷川チルドレンたちが、「蜷川時代」を受け継いでいくのだな、と思えたから。これは収穫だ。蜷川が死んでも、この劇場で「シェイクスピアを全部やる」の意義がある、と実感できたから。頑張れ、鋼太郎! そして蜷川チルドレン!
2017.12.28
コメント(0)
今月は歌舞伎が5(回数は7)、文楽が2、能が1、落語が1、演劇2で11(13)、映画は3。歌舞伎座は、松本幸四郎最後の日を、千穐楽で目撃。あたたかなカーテンコールも素敵でした。【歌舞伎】吉例顔見世大歌舞伎(昼の部)「鯉つかみ/奥州安達原/直侍」@歌舞伎座吉例顔見世大歌舞伎(夜の部)「仮名手本忠臣蔵(五段・六段)/新口村/大石最後の一日」@歌舞伎座11月公演「坂崎出羽守/沓掛時次郎」@国立劇場大劇場「スーパー歌舞伎II ワンピース」@新橋演舞場翔の会「矢車三番叟/浮かれ坊主/禿/春興鏡獅子」@国立劇場小劇場【文楽・素浄瑠璃】11月公演第一部「八陣守護城/鑓の権三重帷子」@国立大阪文楽劇場11月公演第二部「心中宵庚申/紅葉狩」@国立大阪文楽劇場【能】「幽花会」@京都観世会館【落語】「柳家小三治・柳家三三親子会」@銀座ブロッサム中央会館【演劇】「13番地の桜の園」@シアターコクーンこまつ座「きらめく星座」@紀伊國屋サザンシアター【映画】「スリービルボード」@東京国際映画祭「超級大国民」@東京国際映画祭「馬を放つ」@フィルメックス映画祭今月のMVP=「吉例顔見世大歌舞伎」高麗屋三代襲名を前に、幸四郎として最後の歌舞伎座出演に、音羽屋(菊五郎)、松嶋屋(仁左衛門)、山城屋(藤十郎)、播磨屋(吉右衛門)ら当代の大幹部が勢揃いして自らの得意中の得意演目を披露。とりわけ、菊五郎の直侍と仁左衛門の勘平は比類なきオーラを放った。今月の最優秀主演男優賞=松本幸四郎「大石最後の一日」の説得力は、彼ならでは。「初一念を忘るるな」が胸に響いた。今月の最優秀主演女優賞=中村児太郎女優ではなく女方ですが。最近の児太郎の飛躍率はものすごいものがある。幸四郎の内蔵助に全く引けを取らず、自分の論理で立ち向かっていったおみのは出色。「鯉つかみ」では、ちょっぴりコミカルなお姫様を品よく演じ、染五郎との2ショットも見栄えがした。敢闘賞=中村鷹之資「翔の会」で見せた「矢車三番叟」の静謐さ、「浮かれ坊主」の巧みさは驚異的。「春興鏡獅子」の弥生はまだまだだけれど、歌舞伎の未来は明るい、と思わせる逸材である。
2017.11.30
コメント(0)
10月は東京国際映画祭があるので、映画が試写2、映画祭4、計6本といつもより多め。もっと見たかったが時間がかぶるなどして見られなかったものがあり。(映画祭は11月3日まで)それに輪をかけて、今月は歌舞伎がめっちゃめちゃ多かった! 歌舞伎7、伝統芸能2、演劇2、バレエ1、ミュージカル1で13本! へとへと。【歌舞伎】錦秋名古屋顔見世(昼の部)「重の井/番町皿屋敷/蜘蛛絲梓弦」@日本特殊陶業市民会館ビレッジホール錦秋名古屋顔見世(夜の部)「春重四海波/新口村/連獅子」@日本特殊陶業市民会館ビレッジホール芸術祭十月大歌舞伎(昼の部)「マハーバーラタ物語」@歌舞伎座芸術祭十月大歌舞伎(夜の部)「沓手鳥孤城落月/唐人話/秋の色種」@歌舞伎座10月歌舞伎公演「通し狂言 霊験亀山鉾」@国立劇場大劇場スーパー歌舞伎Ⅱ「ワンピース」(麦わらの冒険)@新橋演舞場歌舞伎座スペシャルナイト「男伊達花廓」@歌舞伎座【伝統芸能】「平家琵琶の世界」@日比谷図書文化館コンベンションホール「河東節開曲三百年記念演奏会」(夜の部)@歌舞伎座【演劇】「六条御息所」(李礼仙・小林勝ほか)@銕仙会能楽堂オールアクトカンパニー『魔笛は三度鳴る』@テアトルbonbon【バレエ】Kバレエ「クレオパトラ」(中村/山本/キャシディ/宮尾)@東京文化会館【ミュージカル】「レディ・べス」@帝国劇場【映画】シネマ歌舞伎「四谷怪談」@東劇「ダンケルク」@品川IMAX【試写】「KUBO/クボ 二本の弦の秘密」「不都合な真実2」【東京国際映画祭】(10月分のみ)歌舞伎座スペシャルナイト「地獄門」(4Kリマスター版)@歌舞伎座「グレイン」「現れた男」「人生なき人生」今月の最優秀作品は「マハーバーラタ物語」に。歌舞伎としての完成度が高い。インドの話をしっかり落とし込んでいる。美術が素晴らしい。最優秀主演男優賞には片岡仁左衛門を。「通し狂言 霊験亀山鉾」中、「中島村焼場の場」は天覧ともなりましたが、この場はとりわけ息をのむほどの色悪ワールド。水右衛門の高笑いはぞっとするほど恐ろしかったし、隠亡の八郎兵衛はまるで團七人形のように妖しく美しかった…。芸術品なのです、人間だけと、すでに人間じゃない、という域。最優秀主演女優賞には中村祥子を。Kバレエ「クレオパトラ」のタイトルロール、彼女しかいない!と思わせる肢体。ぜひ長く踊ってほしいです。あと、錦秋名古屋顔見世昼の部で、「重の井」の魁春、「番町皿屋敷」の梅玉が素晴らしかったです。特に「番町皿屋敷」で、青山播磨(梅玉)が1枚ずつ皿を割って菊に一歩ずつ膝詰めで迫るところは、背筋も凍るほど。震えあがる菊を中村壱太郎も好演、素晴らしい座組でした。東京国際映画祭では、4Kリマスター版「地獄門」の美しさに惚れ惚れ。しかし1953年ですよ。焼野原の戦後から8年ですよ。京都が焼けなかったおかげとしかいえない。文化不毛の戦中に、必死で伝統文化を守り抜いたすべての方々に感謝。そして、それを世界に見せつけた方々に感謝。父が大映に入社した気持ちがわかる。「羅生門」「地獄門」…当時世界で一番すごいもの作ってる勢い盛んな会社、誇らしい会社と思ったことだろう。グランプリとりそうなのが「グレイン」。これは事件ですってくらい、すごい映画ですよ。モノクロで撮ってますが、美しい!
2017.10.30
コメント(1)
それがバレエでなかったものを、バレエとして表現するとはどういう作業だろう。それが音楽でなかったものを、音楽として表現するとは、どういう作業だろう。謎多き実在の人生に、物語を与えるとはどういう作業だろう。そこに、確固たるコンセプトが存在しなければ、どこかで見たような、何かで聞いたようなものばかりになってしまうはず。どこにも存在しないオリジナリティを持ち、かつ、観る者に安心感を与え、心情を想像しやすい様式を用いる。それは歌舞伎の新作に、古典歌舞伎の手法を用いるもののように思えた。新作だけれど古典の文法。それは、この新作バレエが古典になりうる要素でもある。一幕目はエジプトを意識したつくりになっている。序盤のまがまがしさは、彼が英国ロイヤルバレエでオリジナルキャストの一人を務めたブリテンの「パゴダの王子」(マクミラン振付)をほうふつとさせる。カエサルがキャシディという西洋人であることが、はからずも東洋対西洋のコントラストを鮮やかすぎるほど示していた。クレオパトラの中村祥子の突出した魅力によって圧倒されるが、クレオパトラやプトレマイオス(山本雅也)以外のヴァリエーションは音楽・振付ともいまひとつ。エジプト王朝の権力闘争にローマ帝国との関係がどう関わっていくか、場面がどうしても説明的になる。これから更なるブラッシュアップが期待される。それに比べて第二幕の見事さには舌を巻いた。たしかにこの作品ならではのモチーフとなる音楽と振付は序曲や一幕のクレオパトラのソロが担っているかもしれない。しかし二幕はクラシック音楽として耳馴染みのよい音楽にのせてクラシックバレエとしての技術が散りばめられている。その技術の一つ一つが、重要なシーンの盛り上がりを加速こそすれ妨げない。二幕だけで、白鳥の湖の二幕のように、このままいつでも上演できる。一幕目、切れ者かつ絶世の美女ながら傲慢を絵に描いたようなクレオパトラが二幕では威厳を保ちながらも愛を知る者になっている、その変化が一瞬で見て取れるのも素晴らしい。カエサルとの愛の日々。愛息シーザリオンをめぐるローマでの不安定な立場。そしてカエサルの失墜。異国エジプトの女に加担することを是としないローマ元老院の面々が、少しずつ円を狭めてカエサルを追い詰めていくシーンなどは圧巻。そしてアントニウス役の宮尾俊太郎が、クレオパトラに心酔していく男を好演。カエサルよりも小者でクレオパトラの手玉にとられたとも言われている男だが、宮尾アントニウスと中村クレオパトラの間には、たしかに愛が見えた。終盤、二つの曲線が交わるだけの「船」が、波打つ海に浮かぶシーンは最高に美しい。クレオパトラのもとにやってきたアントニウス、それだけで、観客も幸せな気持ちになれた。青々とした海の照明、魂を揺さぶる音楽が、シーンを支えていた。特筆すべきはオクタヴィアヌス役の遅沢祐介と、その妹にしてアントニウスの妻となる、オクタヴィア役の矢内夏子である。中村祥子と対照的な女性を、クラシックバレエの典型ともいえる滑らかさたおやかさで表した矢内、朋友アントニウスを信頼して妹を嫁がせたのに、裏切られたアウグスチヌス遅沢の、締まった体躯でどこまでも冷静に戦い抜く姿。二人とも正確かつ俊敏。敵役が大きくなければ物語がつまらないではないか!カエサル亡きローマでありながら、微塵も弱さを感じさせない。男たちの戦闘の殺陣は、よくも怪我をしないなと感動するほどであった。舞踊が物語に求心力を与えているのだ。「これまでのすべてを注ぎ込んだ」という熊川の言葉の通りだと思う。狂言回しとなる案内人役・酒匂麗のスピーディな踊りは、最初から最後まで舞台を引き締める。ブルータス役の井坂文月は、表情の演技が素晴らしく、5階からでも気持ちの変化が見てとれた。そして思いも書けないラストシーン!天へと続くような階段を、死んだはずのカエサルが、プトレマイオスが、アントニウスが、上っていく。そしてクレオパトラも……。凛としてこちらを向いたまま、クレオパトラは誇り高く仰向けに落ちていった!それは歌舞伎の有名な作品、通称「碇知盛(いかりとももり)」の最後に似ている。壇ノ浦の戦いに敗れた平知盛は、「見るべき程の事をば見つ。今はただ自害せん」そう言葉を遺し、海中に身を投じた。死体が浮きあがって首を取られないように、碇を体に巻いて投身したと伝えられる。そういえば、海戦が始まるときのティンパニーは、歌舞伎の幕開きのときの柝の音と同じく、どんどん間隔が狭くなっていく打ち方だった。「日本人が西洋のバレエをゼロから作り上げる」とは、こういうことだったのか、と思う。どこまでも美しく、誇り高いクレオパトラを大胆に演じた中村祥子に、最高の賛辞を送りたい。
2017.10.23
コメント(6)
今月のまとめ、すっかり遅くなりました。怒涛の9月。歌舞伎3、文楽2、能1、ミュージカル2、演劇3で観劇は11本。映画は試写が2本でした。演劇3のうち、1つは「オペラ」と冠してありますし、こまつ座は音楽劇でありまして、最近の舞台は途中で歌う作品が珍しくなくなりました。でも、「ミュージカル」といえるものとは区別したいと思っています。【歌舞伎】秀山祭九月大歌舞伎(昼の部)「毛谷村/旅路の嫁入/幡随長兵衛」@歌舞伎座秀山祭九月大歌舞伎(夜の部)「逆櫓/再桜遇清水」@歌舞伎座郡上高雄歌舞伎「白浪五人男/絵本太功記/野崎村」@口明方小学校体育館【文楽】9月文楽公演第一部「生写朝顔話」@国立劇場小劇場9月文楽公演第二部「玉藻前曦袂」@国立劇場小劇場【能・狂言】能楽金春流第十二回山井綱雄之會「二人静」@国立能楽堂【ミュージカル】「デスノート」(柿崎)@新国立劇場中劇場宝塚月組「All for One」@東京宝塚劇場【演劇】「オーランドー」@KAAT神奈川芸術劇場ホール百鬼オペラ「羅生門」@シアターコクーンこまつ座「円生と志ん生」@紀伊國屋サザンシアター【試写】「ホリデイ・イン」「ユダヤ人を救った動物園~アントニーナが愛した命」今月の最優秀作品は、「百鬼オペラ羅生門」に。芥川龍之介の名作を、観たこともない世界に作り上げた演出、舞台装置、振付、クォリティの高い音楽、などなど。インターナショナルであって日本のコンテンツ。すごいです。今月のMVPは、中村吉右衛門。「番隨長兵衛」はもう、至芸を超えて精神が肉体化したとしか思えなかった。今月の特別賞を、郡上高雄歌舞伎に。今年も、吉田剛くんはすごかった。でも、彼だけじゃなく、一夜限りのパフォーマンスに底力を感じさせた全員の気迫。また来年も行きたくなる、素晴らしい公演でした。
2017.10.15
コメント(0)
今月の舞台は歌舞伎5、文楽1、演劇3、ミュージカル4(5)、ダンス1で14、映画は1でした。どの作品も力演で甲乙つけがたい。【歌舞伎】八月納涼歌舞伎(第一部)「刺青奇偶」「玉兎/団子売」@歌舞伎座八月納涼歌舞伎(第二部)「修善寺物語」「東海道中膝栗毛~歌舞伎座捕物帖」@歌舞伎座八月納涼歌舞伎(第三部)「桜の森の満開の下」@歌舞伎座双蝶会「土佐将監閑居場」「一條大蔵譚」@国立劇場小劇場研の会「頓兵衛住家の段」「禿/供奴」@国立劇場小劇場【文楽】大阪市立大学上方文化講座「祇園祭礼信仰記」(実演あり)【演劇】「プレイヤー」@シアターコクーン「リミット9」@港区立麻布区民センター「髑髏城の七人~season鳥」@IHIステージアラウンド東京【音楽劇・ミュージカル】「ふるあめりかに袖はぬらさじ」@明治座「星の王子様」@東京芸術劇場プレイハウス「ビューティフル」(平原綾香)@帝国劇場(2回)「ビリー・エリオット」(未来/持田/柚月/益岡/中河内)@赤坂ACTシアター【ダンス・バレエ】「マクベス」@渋谷区文化総合センター大和田伝承ホール【映画】「東京喰種」@丸の内アカデミー最優秀作品賞は、「ビリー・エリオット」に。まさか日本でこれだけのことができるようになるとは、思っていませんでした。特に、イギリスの炭鉱町の話を九州弁つまり筑豊の炭鉱を重ね合わせる台本にしたのは秀逸。サッチャー政権をここまで揶揄する政治的な物語もそのままきちんと伝えていることも、すごい。次点で「ビューティフル」。平原綾香が素晴らしい。私はすぐさまチケット買い増しして二日連続行きました。描かれているミュージックシーンがドンピシャ自分の青春なんで、主観的なものもあるかと思い、敢えて次点にしています。MVPは、「ビリー・エリオット」のウィルキンソン先生役、柚月礼音に。ダンサーとして大成できなかったちっぽけな人生を恨みながらも、子どもたちに踊る楽しさを教える心意気、ビリーを見出す瞬間、家でやさぐれる様子、すべてが素晴らしかった。そして華があった。彼女の代表作になると思います。
2017.09.01
コメント(2)
今月は歌舞伎が6(2回行ったものがあり回数は7)、バレエ1、演劇2で9(10)、映画は試写が3でした。 【歌舞伎】七月大歌舞伎(昼の部)「矢の根/加賀鳶/連獅子」@歌舞伎座七月大歌舞伎(夜の部)「駄右衛門花御所異聞」@歌舞伎座七月大歌舞伎(昼の部)「夏祭浪花鑑」@松竹座七月大歌舞伎(夜の部)「盟三五大切」@松竹座歌舞伎鑑賞教室「歌舞伎のみかた/一條大蔵譚」@国立劇場小劇場曳山まつり子ども歌舞伎東京公演「長刀組太刀渡り/伊勢音頭恋寝刃/本朝廿十四孝」@国立劇場小劇場 【ダンス・バレエ】石神井バレエアカデミー「トリプル・ビル」@文京シビック 【演劇】「子午線の祀り」@世田谷パブリックシアターオーパーツ「天国への階段」@池袋サンシャイン劇場 【その他】歌舞伎座ギャラリー玉三郎x土屋恵一郎対談「演じるということ」@明治大学駿台キャンパスアカデミーホール 【試写】「関ヶ原」「米軍がもっとも恐れた男~その名はカメジロー」「夜明けの祈り」今月の最優秀作品賞は「子午線の祀り」に。朗読劇というより、もはや普通の演劇でして、平家物語を文語で朗読する難解さから現代人を救う手立てとしての体の表現がとても素晴らしかったです。「敦」の「名人伝」を彷彿とさせました。俳優では村田雄治がよかったです。今月のMVPは石神井バレエアカデミーの「トリプル・ビル」から、「パ・ド・カトル」。吉田都、酒井はな、西田佑子、沖香菜子の4人でパ・ド・カトルですよ。夢のようでした。この公演では、男性陣も高岸直樹、秋元康臣、浅田良和、池本祥真、細野 生、土橋冬夢という布陣で、特に元Kバレエの3人は久々にパフォーマンスを見られてうれしかったです。最優秀男優賞には、尾上松也を。一寸徳兵衛が髭を抜いているところ、惚れ惚れしました。番外ですが、坂東玉三郎丈の「演じるということ」という講演・対談は充実していて、質問コーナーでは学生たちの純粋な質問に真摯に答える姿が素晴らしかったです。本当に勉強になりました。あと、今月は、私の大好きな片岡仁左衛門丈の「盟三五大切」がかかったので、大阪まで行ってまいりました。もちろん素晴らしかったですが、以前観たときほどの衝撃はありませんでした。以前より、わかりやすく演出を変えたような気がします。その分説明的になってしまったのではないかと。だからこそ、無言で暗闇の中押し入り、五人斬りを行う場面が飛びぬけて美しかった。歌舞伎は理屈じゃない。そう思った次第です。とはいえ、充実した公演であったことはたしか。息をつめて観ていました。2回も!
2017.08.01
コメント(1)
今月は歌舞伎3、文楽2、演劇1、バレエ・ダンス3で舞台が9、映画が2でした。平成中村座は、ずっとチケットがとれず、最後に夜だけおさえることができました。「仇ゆめ」よかったです。【歌舞伎】名古屋平成中村座(夜の部)「義経千本桜(川連法眼館)/弁天娘女男白浪/仇ゆめ」@名古屋平成中村座六月大歌舞伎「名月八幡祭/浮世風呂/弁慶上使」(昼の部)@歌舞伎座六月大歌舞伎「鎌倉三代記/御所五郎蔵/一本刀土俵入」(夜の部)@歌舞伎座【文楽】6月文楽鑑賞教室「二人禿/解説 文楽へようこそ/仮名手本忠臣蔵(三段/四段)」(午前の部)6月文楽鑑賞教室「二人禿/解説 文楽へようこそ/仮名手本忠臣蔵(三段/四段)」(午後の部)【演劇】六月花形新派公演「黒蜥蜴」@三越劇場【バレエ・ダンス】Noism1「Lievestod―愛の死」@彩の国さいたま芸術劇場大ホール横浜バレエフェスティバル2017@神奈川県民ホールKバレエ「ジゼル」(荒井/山本/堀内)@東京文化会館【映画】「海辺のリア」@スバル座「20センチュリーウーマン」@丸の内ピカデリー最優秀作品賞再演ですが、Kバレエの「ジゼル」にあげたいと思います。なんといっても荒井祐子のジゼルが素晴らしく、これが一夜限りというのがなんとも惜しい気がしました。出てきたその瞬間から、ジゼルはもう命が燃え尽きそうな運命を背負っている。楽しそうに笑うその微笑みの中に、悲劇が見える。なんてすごいんだ、この人! と思ったわけです。山本雅也のアルブレヒトも王子としての気品と傲慢がきちんと表現されていて、うっとり。熊川/ヴィヴィアナのコンビのときは、ジゼルが死んだ後、家臣を振り切って戻ってくるのですが、山本アルブレヒトはうろたえて、気持ちはありながらもそのまま去る。彼にとって、それが自然です。Kバレエの、そうした柔軟性というか、心理描写の機微が光りました。ラスト、朝日の中で消えて行くジゼルで初めて泣いた。アルブレヒトの腕をぐっと握って離さず、この世に気持ちをおいて昇天するジゼルに、前の晩逝ってしまった真央さん(海老蔵丈の奥様)の「愛してる」が重なって、泣けて泣けて。最優秀主演女優賞そんな荒井祐子をさいおいて、私は中村雀右衛門にあげたい!(女優じゃなくて女方だけど)弁慶上使のおわさ、御所の五郎蔵の皐月、鎌倉三代記の時姫、と大車輪だった歌舞伎座、本当に充実で、弁慶上使や鎌倉三代記はわかりにくい演目の最右翼だけど、彼女の仕草や科白がちゃんと浄瑠璃に乗っていたので、物語がそこから紡がれていった。今回「なるほど」と心情が納得できた部分がたくさんありました。とくに弁慶上使は、おわさがよかったからこそ吉右衛門の弁慶が引き立ったし、物語の奥行きがきちんと伝わって素晴らしかったです。最優秀主演男優賞新派「黒蜥蜴」の喜多村緑郎に。私の中ではまだ段治郎さんですが。声の良さはいうまでもありませんが、明治の錦絵から浮かび上がったようなお顔!そして、宝塚の男役か?っていう背広の着こなし。一枚の絵の中に、憂いをとどめられる役者であることを証明していました。新派でのますますの活躍を期待します。敢闘賞文楽「仮名手本忠臣蔵」の「城明け渡しの段」で無言でほとんどまわるこの段の雰囲気を壊さず、最後の一言「はったと睨んで」をしっかり語った豊竹咲寿大夫に。
2017.07.01
コメント(1)
今月は歌舞伎が4(回数は5)、文楽2、バレエ1、ライブ1、その他1で9(10回)でした。映画は1回。歌舞伎は珍しく(笑)5回のうち3階が1階席というぜいたくだったので、気分的にはものすごく充実していて5回以上見ている気がする。【歌舞伎】團菊祭五月大歌舞伎(昼の部)「梶原石切/吉野山/魚屋宗五郎」@歌舞伎座團菊祭五月大歌舞伎(夜の部)「壽曽我対面/伽羅先代萩/弥生の華浅草祭」@歌舞伎座五月花形歌舞伎(昼の部)「戻駕色相肩/金幣猿島郡」@松竹座五月花形歌舞伎(夜の部)「野崎村/怪談榎木乳房」@松竹座【文楽】5月文楽公演(昼の部)「寿柱立万歳/口上/菅原伝授手習鑑」@国立劇場小劇場5月文楽公演(夜の部)「加賀見山旧錦絵」@国立劇場小劇場【ダンス・バレエ】Kバレエ「海賊」(矢内/杉野/益子)@オーチャードホール【ミュージカル・ライブ】「ソニンライブ―faithー」@Bar Rhodes【その他】「氷艶hyoen2017―破沙羅―」@国立第一代々木体育館【映画】「美女と野獣」(吹き替え版)@MOVIX柏の葉・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・今月のMVPは、やはり「氷艶」でしょう!世界初のエンターテインメントは、本当に完成度が高く、ワクワクし、歌舞伎界、フィギュア界、プロジェクションマッピング、TAO、ワイヤーアクション機材やスパイクシューズというすぐれもの、と現在の日本がこれだけの宝を持っているからこそできたこと。染ちゃんの妄想が形になった中でも、これは相当でっかい妄想でしたね~。「歴史の証人」になってとってもうれしいです。最優秀主演男優賞は、「怪談乳房榎」の中村勘九郎に。早替わり、すごかったです。こなれてきました。自分のものになってきましたね。最優秀主演女優賞は、「海賊」の矢内千夏に。特別賞に同じく「海賊」の益子倭に。「海賊」についてはレビューを別に書いています。敢闘賞は「野崎村」でお染を演じた中村児太郎に。「野崎村」はいわゆるスピンオフであって、母屋は「お染久松」。お染のキャラがちゃんと立っていなければ、お光の物語は浮かび上がってきません。児太郎は、野崎村にたどり着くまでのお染の人生をちゃんと背負って演じていました。
2017.05.29
コメント(1)
序曲が始まり、紗幕の向こうに海賊たちの揺らぎが出現。半裸のアリの胸板の陰影が目に留まり、そして彼が前方に何かを発見すると、いよいよ物語が始まる。私たちはすでに、冒険の渦の中……。熊川哲也が「海賊」を再振付し全幕ものとしてKバレエ版を披露してから、もう10年が経つ。この「海賊」で熊川は大けがをした。この「海賊」で活躍した多くの男性ダンサーの中には、すでにバレエ団を離れている者も多い。それでも次から次へと新しい星たちが表れ、コンラッドを、アリを、ランケデムを、ビルバントを、魅力的に演じ、踊る。今回は男性陣だけでなく、洞窟でのヴァリエーションなども音楽と調和して見応えがあり、改めて見どころ満載のよいプログラムであることを実感した。中村/遅沢/井坂、浅川/宮尾/山本、矢内/杉野/益子の3クルーのうち、益子倭のアリが見たくて5/27(土)の昼の部を鑑賞。益子は自ら「(熊川)ディレクターと体格が似ている」ことを自覚し、彼の体型に合わせた振付をそのまま自分に移せるメリットを最大限に利用している。そう。私はそこに熊川の幻影を見る。もちろん、同じではない。宝箱を運ぶ仕草や刀を振るっての殺陣などを見れば「まだまだ」はおのずと知れる。けれども、ここぞアリの踊り、というところでは、ジャンプの高さ、滞空時間、動と静のメリハリ、行くところまで行くぞというピルエットなど、申し分のない出来である。バレエユースの第一回公演パンフレットのプロフィールには「いつか熊川さんの息の根を止めるダンサーになりたい」と大胆発言。先日バレエGentsにインタビューする機会に恵まれ、そのことに触れたら「逆に息の根止められそう」とか他のメンバーに茶化されていたけれど、その志やよし。彼は昨年「ラ・バヤデール」でのブロンズ・アイドルとしてのデビューを怪我によって棒に振っているが、その直前に観たソロルの踊りに比べ、格段に踊りの精度が増したように感じるのだ。ひどい怪我でなくてよかったと思うと同時に、休養期間、頭を使ってしっかりと過ごしたんだな、と非常に満足している。技術だけではない。私は「アリ」という人物造形にうなった。「ラ・バヤデール」の白眉は何といってもグラン・パ・ド・トロワ。海賊のアジトである洞窟に、キャプテンであるコンラッドの賓客(にして妻)のメドーラを迎える踊りだ。ここを、ガラ公演ではメドーラとアリのみのグラン・パ・ド・ドゥとして切り取ることが多い。そのため、そこだけ見るとアリとメドーラが相思相愛の仲だと誤解してしまうことがある。しかしアリは、あくまでしもべなのだ。自分が心酔し尊敬し、どこまでも忠誠を誓っているコンラッドの大切な人を全力でお守りするという気持ちで迎え入れ、そしてコンラッドに引き渡す。そういう踊りである。だから、メドーラと対等の気持ちで踊ってはいけない。野心はない。あくまでコンラッド命。だから最後に身替りとなって命を落とす。忠誠の男なのだ。そこがぶれずによく表れていたアリだった。そうした「コンラッドとメドーラ」より一歩引いた存在でありながら、弾けんばかりの身体能力と常にフルアウトの気概と活躍、そしてキャプテンの一番の腹心であるというプライドによって、舞台でもっとも輝く。そういうアリに、益子はちゃんとなっていた。アリが観客を沸かせるから、コンラッドも負けてはいられない。コンラッドは演技部分が多いので、あまり踊れなくていい、みたいに思われがちだが、そんなことはない。杉野のコンラッドはソロもトロワもそしてその後のメドーラとのパ・ド・ドゥも若々しい中にキャプテンとしての大きさを感じさせるコンラッドだった。そしてメドーラ!矢内千夏は完璧。出てきただけで光り輝く。スターのオーラ。演技ではない。技術に演技が融合している。踊りに喜怒哀楽を背負わせることができるプリマなのだ。これだけ踊れる矢内がまだソリストだという驚異!ていうか、コンラッド杉野、メドーラ矢内、ランケデム篠原、ビルバント石橋、全部まだソリストでっせ。そして益子アリに至ってはいまだファーストソリストなのであった!3ヴァリエーションでも柱はソリストの井上とも美だが、大井田百と岩渕ももはファーストソリストだ。若手を起用したたった1回の公演でも、これほど完成度が高いというKバレエの層の厚さに、私はもう、感無量なのでありました。
2017.05.28
コメント(6)
4月は歌舞伎6、演劇3、ミュージカル1、バレエ・ダンス2で舞台は計12でした。映画は試写のみで3。【歌舞伎】四月大歌舞伎(昼の部)「醍醐の花見/伊勢音頭恋寝刃/熊谷陣屋」@歌舞伎座四月大歌舞伎(夜の部)「傾城反魂香/桂川連理柵/奴道成寺」@歌舞伎座こんぴら歌舞伎大芝居(第一部)「神霊矢口渡(頓兵衛住家の場)/忍夜恋曲者/お祭り」@金丸座こんぴら歌舞伎大芝居(第二部)「葛の葉/口上/身替座禅」@金丸座赤坂大歌舞伎「夢幻恋草紙~赤目転生」@赤坂ACTシアター曳山祭り・山車上の子ども歌舞伎のうち「紅葉狩/花祭長浜城(フィガロの結婚より)」@長浜市【演劇】「エレクトラ」@世田谷パブリックシアター「ハムレット」@東京芸術劇場プレイハウス「フェードル」@シアターコクーン【オペラ・ミュージカル】「王家の紋章」(浦井/濱田/宮澤/平元)@帝国劇場【バレエ・ダンス】イゴール&モレノ「イディオット・シンクラシー」@伝承ホール(渋谷区文化総合センター大和田)セルゲイ・ポルーニン「Take Me to Chrch」@東京芸術大学奏楽堂【試写】「アンジェイ・ワイダ~残像」「ダンサー~世界でもっとも華麗な野獣」シネマ歌舞伎「東海道中膝栗毛」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・今月は盛りだくさんで、MVPを決めるのは本当に難しいですね~。MVP曳山祭りの山車上子ども歌舞伎古典の「紅葉狩」、システィナ歌舞伎の「フィガロの結婚」をご当地ものに書き換えた「花祭長浜城」、いずれも子どもたちのパフォーマンスとは思えない出来で、ただの可愛さや素人であることを差し引いて、私たちに感動をもたらす芸域だった。春休みからの稽古でここまでもってくる大人たちの努力、プロ顔負けの浄瑠璃語りや鳴り物の素晴らしさ。いつまでも続いてほしい至芸です。(ほかにも異なる山車で上演されたものがありますが、 時間と場所の都合で私が拝見できたのはこの2つのみでした)最優秀作品賞「身替座禅」@こんぴら歌舞伎仁左衛門の山蔭右京と彌十郎の玉ノ井、松緑の太郎冠者のバランスが最高によく、金丸座という小屋の雰囲気や規模も手伝ってか、仁左衛門丈の右京がこれまで観た中でもっとも楽しそうにはじけていたように思います。最優秀主演男優賞平岳大(イポリット@「フェードル」)これまでに見たどんなイポリットより清々しく、そして説得力があった!彼が誰かに語りかけることで、ありとあらゆる背景が浮かび上がってくる。「フェードル」は大好きで、舞台にかかるたびに観ているが、こんなに物語全体が見えたことはない。イポリットが置かれた状況こそが、物語の支点であると納得!できすぎの父親を観て生きるイポリットの葛藤は、彼自身、自分と重なる部分もあったのだろう。素晴らしい役づくりだった。最優秀主演女優賞片岡孝太郎(お舟@「頓兵衛住家の段」)女優でなくて女方ですが、この枠で。前半の目がハート娘のコメディエンヌから必死の形相の後半まで、お舟という女性が自分の恋心にまっすぐ向き合うさまを至芸で見せてくれました!5/6(土)、KSB瀬戸内海放送でこんぴら歌舞伎の特集番組が放送予定ですが、その中で歌舞伎ビギナーのガイド役として辻アナウンサーのお供をさせていただきました。「頓兵衛~」は辻アナにとって初めての歌舞伎でしたが、それがこの孝太郎さんのお舟だったことは、本当に幸せだったと思います。舞台全体もよく締まり、見事な舞台でした。敢闘賞イゴール&モレノ(「イディオット・シンクラシー」@伝承ホール)「ダンスで世界を変える!」と銘打ってチャレンジングなダンスをひっさげ初来日の2人。休みなく続く正確なジャンプは、最初少年の遊びのようでいて、次第に重低音が混ざり、魂の響きへと連なっていく。ジャンプのリズムは心臓の鼓動であり、鼓動の高鳴りは魂をシェアできる存在と共鳴し合う。技術と体力、そして志、いずれも高い二人に。
2017.04.29
コメント(2)
初演に比べ、あんなところこんなところがかなり変わった、というウワサはいろいろ聞いておりますが、私は初演を観ていないのでその点についてはなんとも言えません。逆に、なぜ初演に行かなかったか、といいますと、「王家の紋章」というマンガにあまり心を惹かれたことがなかったからです。すごい人気だったし、もともとエジプト文化とかにも興味がある方なので、チャンスがあるたび何度もトライしましたが、キャロルにまったく感情移入できなかったのでそのたび断念。だから、大好きな浦井くんがメンフィスだとか聞いても心が動かなかったんです。昨日、午前中と夜に所用があって、一度帰宅するのは中途半端な時間が空いてしまったので、劇団四季の「ノートルダム」か滝沢歌舞伎でも(でも?)観ようかと調べたらすみません、「でも」とか舐めててすみません、チケット入手が困難で「王家の紋章」はゲットできたので行ってまいりました。予備知識なく、ある意味、本当に「素」のまま劇場に行ったのですよ。以下、ネタバレしますので、これから行く人は、観劇なさってからお読みくださいませ。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ネタバレしますよ!・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・辛口ですよ!・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ミュージカルですから、まず楽曲が大切ですよね。「屋根の上のバイオリン弾き」でも「レ・ミゼラブル」でも「オペラ座の怪人」でも、「ミス・サイゴン」でも「キャッツ」でも、タイトルを聞けばその場面と旋律が思い出されるような、そんな魅力的な歌がこのミュージカルにはありませんでした。リーヴァイさん、どうしちゃったの?って本気で思った。「モーツァルト!」とか「エリザベート」とか作った素晴らしい方なんですが、これは自己模倣の寄せ集めとしか思えん。短調から長調への転調コード進行とか編曲とかまったく同じだから、別の作品の名曲のサビが頭に浮かんできてしまうほど。あと、歌手の音域や生理を無視してるように思う。もちろん、それを凌駕する歌手ばかりであれば気にならないのかもしれないけれど。でも、どの歌手にも自分の良さがもっともよく出る音域というものがあって、そうでない音域だとたとえ楽に出る音域でも、魅力が半減してしまうのですよ。有名なミュージカル歌手たちがこんなにたくさん出ているのに、皆低音をうろうろしたり、音程が定まらなかったり、今までに比べなぜかヘタに聞こえてしまって、才能を生かし切っていない、もったいないと思いました。曲調に感情と一体になる抑揚がなく単調。ピアニッシモは声が詰まり、フォルテッシモはがなるばかり。豊かな声、というものに出会う回数が少ない舞台でした。歌手の音域や生理を無視してる。ということは、聴衆の生理も無視しているということで、歌を聞いている気持ちよさが理屈なしに心を洗うというような現象がまったくなかった。歌詞も頭にすっと入ってこない。心情と歌詞が旋律に乗って初めてアタマとココロがシンクロするというのに、そういう歌い方ができていたのは、女官長ナフテラ役の出雲綾のみでした。この前、トニー賞コンサートin Tokyoに行ってきましたが、ケリー・オハラの歌声は本当に素晴らしかったです。そのうえ井上芳雄もそれに負けないくらい心が揺さぶられ、それからディズニーコンサートで海宝直人の歌声にも感動し、ああ、日本のミュージカルもここまで来たんだ、と思ったばかりだったので、余計悔しくてなりません。浦井君、下手になったんじゃないの?ってほんと思ったよ。大好きな浦井君、がんばれって思った。他の人たちも、みんなこんなもんじゃないはず。そう思いたい。ストーリーに関しては、先ほども言ったように原作自体に無理があるので、あまりツッコミたくないのですが、それにしても、一人ひとりの心情の掘り下げ方が浅すぎる。そして衝撃のラスト!「えっ、これで終わり?」キャロルがメンフィスと生きることを決意するのはわかる。だけど、「エジプト上下を二分することがあってもそれはあなたのまいた種」と言っていた姉のアイシスが、メンフィスの姉にして弟を異性としても愛しているアイシスが、なぜ最後に唱和して大団円?彼女はどこで恋をあきらめた?どこでキャロルと身内になることを受け入れた? わからん。そもそも冒頭、現代エジプトで王家の墓に来たキャロルが墓の中の花束を手にした途端「封印が解かれた」と言ってキャロルを古代に誘ったのはアイシスだよね?どんな封印だったのか、封印されるようなものがあったのか、封印したのはアイシスなのか、ていうか、あの墓はあのあとどうしたんですか?キャロルが古代で命全うした証拠とか出てくるんですか?出てこないんですか?ナゾすべて放置??古代に生きることにしちゃった妹を探し続ける兄のライアンもあとは野となれ山となれ状態?王家の墓をあばいたら呪いがかかるって言われて、そんなの迷信だって言ってたら妹がいなくなって、と思ったらみつかって、でもまたいなくなって、ってどんだけトラウマなんだ?「俺のせいで愛する妹がいなくなった」ってきっと思ってる。せめて最後の場面の片隅に出して「キャロル~!」って叫ばせてあげたかったよ。そうなんです。伏線がまったく回収されていないんですよ、このお話。筋の展開に説得力もないし。なぜキャロルが古代から現代に帰ったあとに、また古代に戻ることができたのか。現代に戻ったのは命の危険とかそれなりに納得できるんだけど、問題は二度目に古代に行くきっかけ。キャロルが「行きたい」と思うといつでも行けるの?とか。ご都合主義だな~、と思ったわけです。だいたい、鉄の刀を持っているヒッタイト軍団に、エジプト軍はどうやって戦ったのか。「鉄の文化が世界を制するのよ!」ってキャロルが言ってたんだから、勝つにしても引き分けるにしても、「うう、ヒッタイトの鉄の剣、すごい!」みたいな描写がないと。そのヒッタイトのイズミルに斬られちゃったキャロルがあのまま死なないってどうよ?ハリボテといえ、メンフィスの剣が一番切れそうってどうよ?作り物のお話しだからこそ、細部のリアリティがないとウソくさくなる。そこでつまずくと、お芝居って楽しめなくなっちゃう。これが初演だったらこれほど辛口に書かないんですが、手を加えて再演してこれって、修正の方向が間違っているんじゃないかと思うんです。ミュージカルといえば劇団四季、と言われていた時代から帝劇ミュージカルが日本の最高峰と謳われるようになって久しい。何度心を撃ち抜かれ、何度涙し、胸熱くしたことでしょう。たくさんの名作、名歌手に恵まれてきた帝劇ミュージカル。大好きです。ここ数年、意識して世代交代に取り組んでいることはわかっています。それは大切な取り組みですし、そこから城田優というスターも生まれました。でも、この「王家の紋章」を見ると、作品・歌手ともに次世代への発展の方向性を定めあぐねているようにも見えてきます。恐れずに新人起用するのは大切なことですが、宮澤佐江さんは、まだミュージカルの主役には早いと思いました。歌がうまいとか声量があるとか、そういう才能に恵まれていたとしてもそれだけでは務まらないのが「主役」というもの。圧倒的なオーラ。観客を魔法にかける力がないと、なれないと思いました。少なくとも、主役でないところからミュージカルやクラシックの発声の勉強をされたほうがよいと感じました。出雲さんの歌が一番よかったって思ったということは、いいことじゃなくて悪いことなんだと思う。出雲さん「も」よかった、じゃなくちゃ。宮澤さんだけじゃなくて、他の人たちももっと奮起してもらわなくてはならないと思っています。奮起に足る作品であってほしいと心から思います。
2017.04.28
コメント(4)
蓬莱竜太が歌舞伎の本を書く、と聞いた時、最初は行くのをためらった。暗い舞台になるだろうから。心が痛くなるだろうから。モダンスイマーズの「凡骨タウン」を見て以来、蓬莱の才能と社会の底辺をみつめる鋭い眼力に感服しながらも、彼の突きつけるものを最後まで見届ける気力と体力が自分にあるのか、いつも迷ってしまう。(「凡骨タウン」のレビューはこちらから)お恥ずかしいことに今回も勇気がなく、チケットを取らずにいました。初日をご覧になった人のレビューを見て少し前向きになり、「やっぱり見ておこう」「見ておかねば」という気持ちになったのです。のっけから蓬莱ワールド全開で、子どもたちの話から始まったときはもう「この後この子たちにどんな運命が待ってるんだ??」とドキドキ。でも、市川猿弥、中村いてう、中村鶴松の3人がとてもうまくて、そんな私の不安を取り除いてくれました。ハムレットではなく、太郎が転生する物語。いつもなら、生まれ変わることもできず朽ち果てていく蓬莱チルドレンが、今回は何度も生まれ変わって、それも太郎は「今度こそ、今度こそ」と人生を切り拓こうと一生懸命生きていく。それがときに空回りするんだけれど、「今度こそ」と思う気持ちも「大切な人を大事にしたい」気持ちも、「それがなかなか伝わらない」歯がゆさも、そして「あの人の幸せのために自分の幸せはどうするのか」葛藤する辛さも、私たち誰にでもある願いや迷いなので、とても考え深い作品になっています。中村勘九郎、七之助の兄弟以下、歌舞伎役者は技術があるので、蓬莱さんは思ったとおりの仕事ができたのではないでしょうか。これをきっかけに歌舞伎という劇作に深く触れたことは、今後の蓬莱さんにとって素晴らしい経験でしょうし、それは日本の演劇界にとっても財産になると思います。では、これは新作歌舞伎として成功したのか?歌舞伎役者がやればなんでも歌舞伎、とはいいますが、役者の肉体だけでなく、歌舞伎の文法というものがあります。文法をしっかり身につけていればこそ、歌舞伎俳優は3日稽古しただけで本番に臨めるのです。「あらしのよるに」や「ワンピース」は、一見歌舞伎とかけ離れているようで、その文法にのっとって作られていました。それで昔からの歌舞伎ファンからの評価も高いのだと思います。私は、この作品は歌舞伎というより新派の匂いがするような気がします。歌舞伎役者でもできるけど、女優も含め、他の俳優でもできる。必ずしも女方が必要でもない。でも、底辺の人間の叫びのようなものは、歌舞伎の大切なテーマです。今回は蓬莱さんが蓬莱さんの文法でそれを描きましたが、きっと次回作は、歌舞伎の文法にもっと慣れ、より歌舞伎らしいものをつくってくれると思っています。宮藤官九郎も「大江戸りびんぐでっど」の次に「天日坊」を作ったんです。自分の文法から歌舞伎の文法へ。彼らにはそれだけの才能があります。またその才能を信じて、「思ったとおりに書いて」と言う度量もすごいものです。クドカンも蓬莱竜太も、10年後20年後、黙阿弥や南北に匹敵する大戯作者になるかもしれません。そうやって歌舞伎がずっと愛され続けることを私は望んでいます。また、彼らが自分たちのテリトリーで現代劇を書くときも、きっと歌舞伎が400年培ってきた演劇の粋を学んで、さらに味わい深いものに変容すしていくことでしょう。古典は最高の教師です。異種文化の交流とは、ケミストリー。歌舞伎は生き物です。
2017.04.25
コメント(1)
いったい何種類の「ハムレット」を観てきたことだろう。最初に観たのはテレビ。何もないスタジオの中で、「尼寺へ行け!」の部分だけを一人芝居のようにやっていた。黒のタートルセーターを着たあの人は誰だったか。若き近藤正臣だったような、違ったような…以来50年くらい経つ計算となる。蜷川幸雄が鬼籍に入った今、これからのシェイクスピア劇はどうなっていくのか。ジョン・ケア―ドの「ハムレット」を見に来た人は、みなそんな「ポストNINAGAWA」を占う気持ちを少なからず持って劇場に集まってきたのだと思う。ジョンの演出が、俳優たちに「考えさせる」演出であることは、よく知られている。ワークショップを通して自分の演出プランを丁寧に説明するが、基本は役者に任せる。役者はジョンの意図を理解しながら、役者としてシェイクスピアのセリフと向き合う。セリフの向こう側に生身の人間の感情を見出し、汲み取れるか否か。それを今生きる観客の人生と共鳴させられるか。それは、役者の力量にかかってくる。シェイクスピアはコトバ・コトバ・コトバだ。今回、全体的に俳優たちはセリフに追いかけられ、早口に詰め込むのが精いっぱいな人が多かった。冒頭、輝きを放っていた内野ハムレットも、後半は疲れて来たのか何度も言い直す場面があった。言い直してしまうと、観客はそこにハムレットではなく内野聖陽という役者を感じてしまう。(「ガラスの仮面」風にいえば、「仮面がはずれる」??)観客の緊張の糸がそこでふと緩んでしまうのは、非常にもったいなかった。クローディアスの国村隼、ボローニアスの穣晴彦という2人のベテランが、期待に反して存在感が薄かったのも残念だった。政争の泥の中を泳ぎ進む鉄の鎧に覆われた狡猾な外の顔と、ナイーブで子煩悩、あるいは愛を求めて迷う内面と、二面性は際立たず、善人なのか悪人なのか、どっちつかずになってしまった。その分ベテランで気を吐いたのが村井国夫だ。役者としてギリシャ悲劇の一節を語るところは、ハムレットに「to be or not to be」を突き付ける非常に大切な場面。ここからすでに威厳に満ちている。そしてクローディアスの悪事を暴くための劇中劇で、クローディアスにあてつけた王の役。彼がクローディアスの方がよかったのでは?と思うくらい。そして墓堀り。セリフの中のウイットをしっかり自分のものにしてから声に出している。セリフが示す情景をしっかりと落とし込んでいた俳優がもう一人。レアティーズ役の加藤和樹だ。オフィーリアに恋の危うさを説くときの心配な様子。家族3人で幸せに笑う様子。妹がなぜ正式に埋葬されないのか。くってかかる抗議と哀しみの爆発。それは「レアティーズ」ではなく「今そこにいる妹思いのお兄ちゃん」の姿だった。だから心に沁みた。「僕を殺したことがハムレットの罪になりませんように」心から神に願う最期の美しさが際立った。ところで、ジョンの今回の演出の特徴として、「一人何役も務めること」が挙げられている。しかしこれは演劇ではよくあることで、演劇ファンなら折り込み済み。とはいえ「ヘンリー六世」で大竹しのぶが前半ジャンヌダルクとして死んだのに、後半王妃マーガレットとして元気に登場したときは、わかっていても「え…?」って思ってしまったのだが(笑)。蜷川にとって最後の「ハムレット」となった藤原竜也の2度目の「ハムレット」でも、平幹二朗が先王とクローディアスの二役をやった。それと今回と、どこが違うのだろう?ハムレット役の内野がフォーティンブラスも演じる。ここだろうか。パンフレットを読むと、これは単なる「二役」ではない。「ハムレットは自分がなるべきだった王=フォーティンブラスになって蘇り、 オフィーリアは浅はかなオズリックとなってハムレットの死に立ち会うのです」これがジョンが仕掛けた「二役」の意味なのである。……それがどのくらい、俳優たちに伝わっていたのかどうか。フォーティンブラスの最後の演説に、私はハムレットを感じなかったし、オフィーリアに至っては、「なんでこんな一本調子のオズリックなんだろう?」が頭について離れなかった。たしかに、通常のオズリックのように愚かな追従者の道化役をやったしまってはジョンの演出に反する。オズリックの姿をしたオフィーリアでなくてはならない。オズリックの瞳の中には、オフィーリアがいなくてはならない。ハムレットが「暑い」といえば「暑い」、「寒い」といえば「寒い」というオズリックは、オフィーリアとしてハムレットと対峙した長い廊下の問答のときと同じように、ハムレットの言っていることがよくわからない、不安の中での受け答えを彷彿とさせなければ!貫地谷しほりのオフィーリアは出だしがとても素晴らしかっただけに、その後の不安→狂乱→オズリックという変化を深いところで演じきれなかったうらみが残る。まあ、オフィーリアは本当に難しい役なので、初役の人については次に期待です。皆、蜷川さんに演出「される」ことに慣れちゃったのかもしれないね。彼がイギリスRSCの役者たちと「リア王」をやったときに、とにかく彼らがセリフにこだわり、論理的に、言葉で役を理解しようとしていたことにカルチャーショックを受けていたっけ。ジョンもイギリス人。そしてシェイクスピアはイギリスの文化。彼と何度も仕事をした村井国夫がもっとも彼の元で自分が何をすべきか、彼の演出の中で俳優のなすべきことの大きさをわかっていたのかもしれない。パッションを引き出されるのを待っているのではなく、テキストから自分で像を結んでいく真の本読みの力が役者には必要なのだとつくづく思いました。
2017.04.19
コメント(0)
今月は歌舞伎が5、文楽・素浄瑠璃1、演劇1、ミュージカル・コンサート5で舞台が12本、映画が2本でした。今月の舞台について、MVPなどは最後に書きますが、一番衝撃的だったのは文楽シネマでした。人形の足遣いの確かさ、主遣いの胴串の使い方、今の文楽とくらべものにならない!この前「冥途の飛脚」を観たばかりだったこともあり、愕然としました。自分の中のスタンダードが初期化された思いです。【歌舞伎】東農歌舞伎中津川保存会吉例歌舞伎大会@東農ふれあいセンター三月大歌舞伎(昼の部)「名君行状記/渡海屋・大物浦/どんつく」@歌舞伎座三月大歌舞伎(夜の部)「引窓/けいせい浜真砂/助六」@歌舞伎座通し狂言「伊賀越道中双六」@国立劇場俳優祭(昼の部)「二つ巴/石橋/月光恋暫」@歌舞伎座【文楽・素浄瑠璃】KAAT駒之助「熊谷陣屋」@KAAT神奈川芸術劇場【演劇】NODA・MAP「足跡姫」@東京芸術劇場プレイハウス【ミュージカル・オペラ・コンサート】「コメディ・トゥナイト」@新橋演舞場トニー賞コンサート in TOKYO@東京フォーラムA北翔海莉コンサート(with島田歌穂)@東京フォーラムCディズニーコンサート@東京フォーラムA越路吹雪トリビュートコンサート@日生劇場【映画】「ミスサイゴン25周年記念コンサート」@TOHOシネマズ有楽町文楽シネマ「冥途の飛脚」@東京写真美術館・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・最優秀作品賞「絵本太功記」「茜の隠れ井」@東農歌舞伎これほど物語に没入できたことが今までにあったろうか、と思うほどリアルな感情が揺さぶられた舞台でした。後で聞けば、彼らはほとんど歌舞伎座の大歌舞伎などをご覧になっておらず、役作りは誰かの演技を真似るのではなく、本読みによって行われているということです。だから登場人物の心情がうかびあがってくるのですね。「道八芸談」を読んでいても真の「本読み」こそが芸の基本とありました。歌舞伎は人から人へ芸が伝わるものですが、最近はビデオで済ます場合もあり、そういうお手軽な時代にあって「本読み」を中心に据えた舞台づくりをずっと続けているこうした地歌舞伎の精神は、きっとこれまでも歌舞伎文化の傍流のようでいて、常に本流を刺激し、支えてきたのだと感服します。中津川の芝居小屋での歌舞伎は、三代目市川猿之助(現・猿翁)にも大きな影響を与え、スーパー歌舞伎を立ち上げる源の一つとなっています。MVP中村吉右衛門&中村雀右衛門@「伊賀越道中双六(岡崎)」雀右衛門のお谷「坊の顔、見てくださいましたか?」吉右衛門の政右衛門「うん、見た。見た」これだけで、2人の愛のすべてが理解できた。この後、その「坊」を奇声を上げて殺す政右衛門の苦しさに、涙を流した。最優秀主演女優賞ケリー・オハラ@トニー賞コンサート in Tokyo文句なし。彼女の歌声そのものが人々に幸をもたらす。自在の音域、潤いのある声、そして囁いても胸に響く歌詞、表現。脱帽の3時間でした。最優秀主演男優賞井上芳雄@トニー賞コンサート in Tokyoトニー賞コンサート生放送の成功は彼あってこそ。軽妙なトークで他の出演者たちをリラックスさせながら自分も「サークル・オブ・ライフ」熱唱など。絶対王者のケリー・オハラがいるコンサートで日本のミュージカル界もやるじゃないかと思わせてくれました。(追記)ディズニーコンサートで「ノートルダムの鐘」のカジモドの歌を歌った海宝直人も素晴らしかったです。敢闘賞中村鷹之資@「二つ巴」(「俳優祭」)まず「二つ巴」という演目自体が素晴らしかった。仮名手本忠臣蔵の七段目から討入りまでの世界観を舞踊にまとめた作品。(「二つ巴」とは赤穂藩の紋で、討入りの陣太鼓のマークとしてよく知られる)一力茶屋の由良之助に密書を届けに来た力弥の役の鷹之資は、花道に出たその瞬間から客席のジワを発生させる!端正な所作、かつ花のある大きな踊りは明るい未来を予感させた。
2017.03.31
コメント(0)
二月は歌舞伎4(回数的には5。2度見たものがあります)、文楽3、ミュージカル1で舞台が8本(9回)、映画は試写を含めて3本でした。【歌舞伎】猿若祭二月大歌舞伎(昼の部)「猿若江戸初櫓/大商蛭子島/四千両小判梅葉/扇獅子」@歌舞伎座猿若祭二月大歌舞伎(夜の部)「門出二人桃太郎/絵本太功記/梅ごよみ」@歌舞伎座二月花形歌舞伎(午前の部)「義経千本桜(渡海屋・大物浦)/三人形」@松竹座二月花形歌舞伎(午後の部)「金閣寺/連獅子」@松竹座【文楽】近松名作集・第一部「平家女護島(俊寛)」@国立劇場小劇場近松名作集・第二部「曾根崎心中」@国立劇場小劇場近松名作集・第三部「冥途の飛脚」@国立劇場小劇場【ミュージカル・オペラ】「ロミオ&ジュリエット」(大石/木下)@赤坂ACTシアター【映画】「この世界の片隅に」「未来を花束にして」【試写】「トンネル」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・MVP尾上右近@連獅子(二月花形歌舞伎)圧倒的な身体能力。六代目菊五郎の芸の高みを目指す気概。若さとはかくありたい。今月松竹座で、彼の仔獅子に会えた人は幸せである。最優秀作品賞「梅ごよみ」菊之助の仇吉、勘九郎の米八、染五郎の丹次郎、サイコー!何度でも見たい!舟遊びのクローズアップから隅田川全景に背景を広げる舞台演出もgood。最優秀主演男優賞尾上松緑@大商蛭子島女好きな幸左衛門実ハ源頼朝という役どころが新鮮かつ軽妙。新境地ではないだろうか。「寺子屋」のパロディである前半と、頼朝という本性を現わす後半とをきっちり演じ分け、いずれも役の性根がしっかり見えた。あまりかからない作品だが面白く観られた立役者の一人である。最優秀主演女優賞中村時蔵@大商蛭子島こちらも同じ演目で、前半は悋気な女房お藤、後半は政子に頼朝を譲る辰姫。世話物典型の女房だったお藤から後半、襖が開いて辰姫として出てきた瞬間から立女形として匂い立つ。「黒髪」の舞踊が素晴らしく、他の女との初夜を過ごす夫を思うやるせなさを全身で表して秀逸。さすがである。敢闘賞木下晴香@「ロミオ&ジュリエット」私はこのプロダクションをあまりいいと思ったことはなかったが、今回の公演はとても満足した。チームワークもよく、大変楽しめる舞台に仕上がっていたと思う。何が違うのかを考えた結論は、「ジュリエットがよかったから」だ。他の人物は「若さ」で乗り切れるが、ジュリエットはそれだけではダメ。幼さも女としての芯の強さも、無謀さも弱さも、いろいろな面を「歌で」表せる力が木下にはあった。
2017.03.02
コメント(0)
長らく書けてなくて申し訳ありません。遅ればせながら、1月のカンゲキのまとめをば。とにかく歌舞伎・歌舞伎・歌舞伎! なんでこんなに、っていうほど各地各会場で歌舞伎が行われました。歌舞伎9、文楽2、バレエ1、お笑い1で13本です。【歌舞伎】壽新春大歌舞伎(昼の部)「将軍江戸を去る/大津絵道成寺/沼津」@歌舞伎座壽新春大歌舞伎(夜の部)「井伊大老/越後獅子・傾城/松浦の太鼓」@歌舞伎座壽新春大歌舞伎(昼の部)「吉例寿曽我/梶原石切/新口村」@松竹座壽新春大歌舞伎(夜の部)「鶴亀/口上/勧進帳/雁のたより」@松竹座壽新春大歌舞伎(昼の部)通し狂言「雙生隅田川」@新橋演舞場壽新春大歌舞伎(夜の部)「義賢最期/口上/錣引/黒塚」@新橋演舞場新春浅草歌舞伎(第一部)「傾城反魂香/義経千本桜(吉野山)」@浅草公会堂新春浅草歌舞伎(第二部)「角力場/鈴ヶ森/棒しばり」@浅草公会堂新春歌舞伎公演「通し狂言 しらぬい譚」@国立劇場大劇場【文楽】新春文楽公演(第一部「寿式三番叟/奥州安達が原/本朝廿十四香」@国立文楽劇場新春文楽公演(第二部「於染久松・染模様妹背門松」@国立文楽劇場【バレエ・ダンス】都民芸術フェスティバル「ラ・バヤデール」@東京文化会館【その他】年末年始特別興行@なんば花月・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・MVP長田佳世@「ラ・バヤデール」のニキヤ別にレビューを書いていますが、引退するのが惜しまれる長田さんのニキヤでした。プリマとは、かくありたいものです。最優秀作品賞通し狂言「雙生隅田川」(新橋演舞場)市川右團次襲名披露狂言としては、これが一番右團次のよさが出ていました。梅若丸/松若丸の二役を演じた幼き新・市川右近が、天才ぶりを発揮。大物です。最優秀主演男優賞中村梅玉@「将軍江戸を去る」(歌舞伎座)一月の歌舞伎座は華やかさに欠ける、と散々言われていましたが、ふたを開けたら地味の最たるものである、音曲なしの真山青果作品が大当たり。すべては将軍役の梅玉の、懐の深い、しかしわがままさも炸裂する将軍ぶり怪演の賜物。最優秀主演女優賞片岡孝太郎@「新口村」(松竹座)私ゆえにあなたの息子をこんな目に合わせてしまいました、という申し訳なさとでも私はあの人の妻、舅のあなたに心から仕えたい、という思いと、懐紙を出すとき、こよりを作るとき、演技のかたちの中に心がこもる梅川でした。敢闘賞坂東巳之助@「傾城反魂香」(浅草公会堂)表情豊かで何も語らなくても思いの伝わってくる世又平。壱太郎のおとくのコンビもよく。
2017.03.01
コメント(0)
毎年、1月には都民芸術フェスティバルがあり、日本バレエ協会主催でオールスターのバレエが観られます。私にとっては、熊川哲也が「ドン・キホーテ」全幕を初めて日本で演じた1996年が忘れ難いですね。今回は、長田佳世さんがラストステージになるので1/22(日)のソワレに行ってまいりました。Kバレエの草創期をずっと支え、プロダクションになくてはならない存在としてじわじわと実力を上げ、そして次のステップへと飛躍するために、新国立劇場へと移籍した。Kバレエを辞めるちょっと前から本当に技術と表現力がマッチして光り輝くバレリーナとなったので、私としては退団は非常に残念でした。新天地の新国立でもプリンシパルとしてたくさんの作品に出演、大きな花を咲かせたのはさすがですね。そして、昨年退団・引退を表明したのです。やっぱり見届けてよかった長田さんのニキヤ。素晴らしかったです。一つ一つの所作というか、手や足、指、爪先の置き所にまで神経が行き届いていている。音楽とのシンクロを大切にしている。ここぞというところで表情を変化させる。音楽の粋を、自分の体を通して引き出してみせるんですね。そこが、他のダンサーとまったく違いました。別格の神々しさ。今回の「ラ・バヤデール」はニキヤ、ソロル、ガムザッティそれぞれトリプルキャストで、3チームで。ソロルは浅田、芳賀、橋本。って、全員元Kバレエじゃないですか。そこに長田さんはいる、輪島さんはいる、副さんはいる、ブーベルくんはいるで、ちょっとしたKバレエ同窓会でしたね。ガムザッティの馬場彩さんはかわいくて華やかでよかったです!橋本くんのソロルは精彩を欠いたな~。まあ、プロダクションの構成が、ほんとにソロルがダメダメな二股男なので、ストーリーとしてソロルをカッコよくすることはできないのは橋本君のせいじゃないけど、だからこそ、ソロではガッツリ魅力的に踊ってほしかったし、ニキヤに対するほとばしるような愛を感じさせてもらいたかった。まあ、それだけに最後、「あなたは~、私に~、愛を~、誓ったでしょ~」と、うらめしや~、で化けて出て僧院を壊してしまうニキヤがオソロしくて当然だったけど。芳賀くんや浅田くんはどうだったんだろう。見てきた方、書き込んでくださったらうれしいです。神像は、最初のジャンプの着地でつまずいちゃったのがいただけなかったですね。まあ、求めるものが高すぎるので、これ以上はノーコメント。初日マチネのブーベルはどうだったんだろう。(やはり3チームもあると、他が気になります)太鼓の踊りは、いつも盛り上がりますね。今回もよかった。私は桝谷まい子さんの壺の踊りが、表情豊かで踊りが丁寧で、引きこまれました。いろいろな演出方法があるけれど、今回ほど大僧正の性格が矛盾だらけだったのは初めて。この前のKバレエのときも、バラモンが単なるスケベ親父みたいで私の思ってるバラモンと違うー、とは思っていましたが、今回はそれに輪をかけまして、ラスト、僧院が崩れ果てた後に残った聖なる火の前で一人拝むわけですが、「あんたのせいでしょ」「なに祈ってんの? 詫びてんの?」と突っ込みを入れてしまいそうです。ニキヤが大好きで、告白して、「あなた、聖職者でしょ」と拒否られたから「聖職者やめてもいい」といえば、「私は巫女だから」と拒否られ、がっかり。そしたら「巫女」なのにソロルとよろしくやってるのを目撃しちゃったんだから、そりゃ怒って当然なわけです。ガムパパのラジャだって一目おいてる大僧正ですよ。その怒りを、もっともっと大きなものにしてもらいたかったし、ニキヤへの愛憎をもっとこまやかに演じてほしかった、というのが私のバラモンへの思いです。(彼の精神は、「ノートルダム・ド・パリ」のフロロにつながってる、 すごく普遍的なものなんだよね。いくらでも掘り下げられる)演奏は、影の王国のときのニキヤとソロルのアダージオにかかるバイオリンソロが、本当に繊細で美しく、感謝! 私のハンドルネーム「ガムザッティ」の由来となる「ラ・バヤデール」なので、かかるとすぐに行ってしまうけれど、やはり自分の中のベストは熊川哲也がブロンズアイドルを踊った頃の英国ロイヤルバレエのもので、(1991)私がバラモンに固執するのも、このときのダウエルの演技のせいだとおもうし、ムハメドフのソロル、アシムラートワのニキヤ、バッセルのガムザッテイは最強だった。あとは、ロパートキナがニキヤを踊ったマリインスキーのもの。このニキヤは本当に度肝を抜かれた。最後に。長田さんのフィナーレを東京文化会館での素晴らしいパフォーマンスで飾れたことは、本当によかったと思います。でも、もっと「お、この人は??」と思うようなダンサーを随所に見たかった。影の王国のコールドがバランスを崩したのは、見苦しかったですね。長田さんがいかなる着地のときにも音一つさせなかったのに比べ、全体のレベルが少し低かったように思います。辛口ですみません。バヤデールLoverなので。悪しからず。
2017.01.23
コメント(2)
「べっぴんさん」について書き出して、9日が経ちました。第6回は「知らない人は入れたくない」だったんですが、今週の「べっぴんさん」を観ると、いよいよキアリスも「知らない人」を採用することになったみたいですね。
2017.01.15
コメント(0)
朝ドラはけっこう見てるほうですが、「べっぴんさん」なかなか感情移入できず、早期離脱しそうになりました。が!このお話、起業女子NG集として見ると、すごーくためになるということを発見。ということで、何日か連続で、いろいろ書いていきたいと思います。まずはこちらからどうぞ。http://progresswriting.nakanomari.net/kigyojoshi/beppinsan-watching/
2017.01.09
コメント(2)
全2002件 (2002件中 1-50件目)


![]()