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八木哲郎

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2006/10/11
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カテゴリ: カテゴリ未分類
この前の日曜日、群馬県の藤岡で行われたNHKの素人歌謡番組で目の不自由な若い男性が歌ったとき、思わず心を揺り動かされた。会場の前列の人たちは目にハンケチを当てていた。ゲストのプロ歌手も激賞していた。目の不自由なことからくる悲しさ、切なさ、悔しさが洗われたようになって歌にこめられていたのである。この人は予想通りその日のグランプリを受けた。


歌謡曲のテーマは、聞いていると、大半は男女の愛である。とりわけ日本人は盲目の愛にしびれる。切ない、好き、死んでも離さない、いつまでも騙し続けていてね、影のようにどこまでもついて行くわ、あなた好みの女になりたい、と歌う奥村チヨの歌は最近の女性にとっては噴飯物かもしれないが、相変わらず男の本音はこんな女が好きだ。男は度胸、腰に腹巻、アイクチ一本下げて真一文字に敵に斬り結んで行く高倉健のやくざに女がぞくぞくするのと同じだ。昔から手鍋下げても好きな男に入れ込んでゆく女の可憐さは近松以来の文学の主題になっている。これってなんていうのだろうかな、不幸や落魄を予感させるあやふい純粋さ、、、善悪とか倫理とか言うのと違う、盲目な愚かさ、常軌を脱した美とでも言うのだろうか。
最後にわかった。これは信仰である。神は赤子のような存在を好む、理性や常識を拒む、鴻毛のごとく命を絶つ、こういう存在を何千年もかけて文学作品が書き、詩や歌謡曲が歌い続けてきた。





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Last updated  2006/10/12 02:26:16 AM


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