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八木哲郎

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2009/01/17
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カテゴリ: カテゴリ未分類
水野和夫の『人々はなぜグローバル経済の本質を見誤るのか』(日経)を本ブログで取り上げてきたが、この本を書いた時点ではまだ今の金融危機は触れられていなかったが、最近の同氏の『金融大崩壊』(NHK出版生活人新書)はこの続編だとみていいだろう。

95年のルービン財務長官の強いドル政策→輸入が増える→貿易赤字が出てもかまわない→アメリかに輸出する周辺国にドルがたまる→アメリカの景気を良くする=金利を上げる→周辺国のドルをアメリカに還流させる→そのドルをつかってBRICsなど新興工業国に投資して儲ける。
この結果、水野はアメリカは金融資産を100兆ドル増やしたとしている。この儲けの源動力になったのが、普通銀行は12.5%のレバレッジしかできないが、投資銀行は30倍~40倍のレバレッジができたからという。

1973年の石油ショックをどうして日本は克服したかというとひたすら省エネ技術で克服したが、アメリカではスタグフレーションが起きてインフレになった。それでマネーサプライ(通貨供給量)を減らすことで、克服し、金利も下げた。
この頃は資本主義が円熟期に達し、実体経済では何をやっても儲からなくなった。そこで実体経済で儲けることをやめ、金融経済で儲けることに方針を切り替えた。しかし、自分の国には貯金がないから外国の貯金を利用しようと考えた。外国の貯金を利用するには、前もって道ならしが必要である。それが、IT革命と時価会計システムの他国への普及だった。
IT革命でアメリカはずいぶん経済成長し、双子の赤字をゼロにすることができた。しかし、ITバブルが崩壊した。アメリカはデフレに向かうことを極度に恐れ、膨大な財政出動と金融緩和を行った。この結果、ずっと上がっていた住宅価格が上昇をやめず、金利も下がらなかった。企業収益も下がらなかった。ドルの信認が増し、世界中からドルが集まってきた。アメリカに投資すればこんなにもうかりますよという客寄せが時価会計システムだった。株式や証券を期末決算の時点で時価評価したものが企業の収益に加わるシステムにすると、経常利益を総資本で割った総資本事業利益率(ROA)が大きくなるから、経営者は株価を上げることに専念する。配当をできるだけ高め、その代わりに労働分配率つまり給料を下げる。あるいは低賃金国で製造し、コストを下げる。BRICsのような新興工業国に投資してキャピタルゲインを上げる。アメリカの赤字以上の金を集めさえすればアメリカ経済はまわっていけるという冒険が成功したから、どんどんもうかるという観念が生じ「バブルはその中にいるときはバブルだとはわからない」(グリーンスパン)となった。
水野は言う。日本にもこの手が使えたはずだと。日本のほうがアメリカより貯蓄が多く1500兆円もあった。この金をアメリカの国債など買わないで、政府ファンドか何かにして、レバレッジさせて中国、インドなどの新興工業国(これこそ実体経済で成長している)に投資すれば、2000兆円くらいになったという。だが遅かりし、日本にはそういう構想力のある人がいなかった。

今日の朝日はトヨタの国内生産半減を伝えている。これは30年前の第一次オイルショック直後の生産量であるという。これ以外にも自動車各社の生産量削減が報じられ、派遣労働者はほとんど全員切られることになった。


水野は、日本の企業をグローバル圏企業とドメスティック圏企業に分け、後者のグローバル経済に依存しない国内需要だけに頼る企業は成長がなくなり、だんだんどん詰まりにおちていくと分析しているが、この本では、ドメスティック企業もグローバルに市場を広げないと生き延びれなくなるとしている。
国内中小企業がどうしてグローバルするか。ヒントは韓国、中国などの市場への参入しかない。若い人が円高を利用しておおいにアジア諸国、ユーラシア地域を旅行してユーラシア感覚をつけるときだろう。





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Last updated  2009/01/17 12:08:07 PM


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