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2009/05/08
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ナンデモ法律時代3

今の裁判でも、法律通りにやっているわけでなく、検事、弁護士、裁判官の三者が法律を材料にして、いわば理性と正義で裁量を働かせてやっているわけである。
つまり、法律そのものはたえず社会が変わるから、実情に合わなくなり、その分、人間の理性を働かせている。陪審員制度になればそれこそ庶民感覚とか常識とかが、加わってくる。

ところが、小泉内閣になってから、コンプライアンスということが突然言われだした。つまり法律を遵守しましょうという運動。法律を守ることは誰でも異議はないから、反対する人はいないわけだ。
こういうことを言い出した裏には、規制緩和になり、お役人がいちいち監査したり、行政指導したりして未然にトラブルを防ぐということができなくなり、その代わり、法律を結果的に犯した悪い奴には法律を厳しく適用して、見せしめにするということがある。だから、民衆は自分から法律を守っていく意識と習慣をつけましょうというキャンペーンだった。

ところが、しゃくし定規に、法律をまちがった態度で守ったら何が起こるかと言うと、法律ファシズムである。メディアがコンプライアンスの推進役になり、検察みたいな摘発役をするようになる。大新聞の論説委員や記者たちは、一般国民(つまり大多数の購読者)が法律解釈していることと違うようなことを反論・異論として書くことは困難になる。そこに思考停止が起こる。

郷原氏が著書「思考停止社会」(講談社現代新書)であげているたくさんの事例からひとつとれば、2008年10月25日、伊藤ハムが工場で使用している地下水からシアン化合物が検出された。これは水道法の基準値(1リットルあたり0.01ミリグラム)を上回る0.02ミリグラムだったので、大慌て。地元の保健所と相談したところ、公表しなさいと命じられ、ただちに自主公表して、謝り、商品の自主回収を行った。記者会見して公表した結果、大大的に報道され、世間から指弾された。商品回収のコスト、売上減、会社の信用の喪失など考えると莫大な損失をした。
ところがである。極めて微量のシアン化合物が検出されたといっても、そのまま飲むわけではなく、ソーセージやハムなどの製造に使われて、薄められ、製品からはシアン化合物は全く検出されなかったのである。製品を食べてお腹をこわした報告などなかった。だから健康被害などなかった。


シアン化合物が水道法の基準値から若干多く、「違法」したかもしれないが、こういうのは、会社の人間も保健所もメディアの人も知恵を働かせれば、世の中を騒がせないで処理できたはずである。
まず、「法律の遵守」の前に理性を働かせばならないことを教えるひとつの事件である。(つづく)





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Last updated  2009/05/08 05:53:05 AM


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