眉毛に掛かる前髪



 そんな祖母は私たちが小学生の間、どんなに嘆願しても決して前髪を伸ばさせなかった。後ろは刈り上げ。まさに「わかめちゃんカット」を貫かせた人物だ。
 当時は長い髪に憧れ、何度も何度も散髪を拒もうとしたが、結局引きずってでも散髪屋さんへ連れて行かれ、店から出る時にはさっぱりとわかめちゃんになっていた。

 しかし、「三つ子の魂百まで」とはよく言ったもので、そんな子供時代をすごしたせいなのか、この年になって、眉毛に掛かる前髪が私にとっては大きなストレスの素となる。
 視界に前髪が下がってくると、立っていても座っていても、食事をしていても事務仕事をしていても、トイレで用を足していてもくしゃみをしても、とにかく何をしていても前髪が気になり物事に集中できない。

 前髪が伸びてきて眉毛に掛かる不快感は、とにかく私をひどくイライラさせる。だから、眉毛は自分で手入れしない私だが、散発のインターバルの間に数回、必ずはさみを持ち出して前髪を切る。夫は私の切った前髪を見て、必ず爆笑する。私はそれをむしろ楽しんでいる。
 さて、この次はいつ切るか。かなり視界を遮っているので、私のストレスもそろそろ頂点に達しようとしている。

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