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インド工科大学マミ先生の ノープロブレムじゃないインド体験記 [ 山田真美 ]価格:1,980円(税込、送料無料) (2024/10/19時点)楽天で購入 本書を読んでまず感じたのはインドのカオスぶりだ。とにかくインドの常識日本の非常識という感じなのだ。日本ならこうだという常識がまったく通用しないのである。 語り手は山田真美さん。インド工科大学ハイデラバード校の客員准教授だという。インド工科大学といえば理系の大学としてブイブイ言わしているというイメージがある。対して山田さんは、明治大学経済学部で学士を高野山大学で修士をお茶の水女子大で博士を取ったという文系の人だ。博士論文のテーマは「カウラ事件の研究」である。カウラ事件というのは第2次大戦中にオーストラリアのカウラにあった捕虜収容所から日本軍捕虜が脱走した事件だ。なぜそんな人がインド工科大学で教鞭をとるのだろうか。実はインド工科大学は学部こそバリバリの理系なのだが、大学院レベルでは文系研究もおこなわれているそうだ。 山田さんは、ひょんなことからインドと縁ができた。しかし、山田さんの紹介するインドはまさに異世界。例えば、サーバントを雇うように町内会長が言って来たり、フロアの半分を占める隣のテレビ番組制作会社の内装工事でアパートの壁をぶち壊されたり。この時の対応が面白い。向こうは全く悪びれずに笑いながら来週までに直すのでノープロブラムと言ったが、さすがに頭にきた山田さんが、自分が東洋武術の達人で、5分以内に直さないと実力行使に出ると言うと、先方は真っ青になりあっという間に壁が直されたらしい。実は山田さん、少林寺拳法は習ったことがあるものの、達人というのはハッタリである。日本人にありがちな謙遜も所による。異文化の人を相手にするときはハッタリも大事だということを教えてくれる。 また、ジープを盗まれて保険金を請求したときのこと。警察の担当官からは袖の下を要求されるし、保険の担当者からは保険金が下りた例を見たことがないと言われたり。この時は、保険の担当者に新聞に載せてもらうと脅したら保険金は無事下りたという。それでも1年超かかったらしい。この保険会社の男は「ヤマダさんのところは保険が下りていいなあ」と言ったというからあきれたものだ。コンプライアンスって何?それって食べれるの?と言った感じか。 インドと言えば悪名高いカースト制度。カーストを越えた結婚はものすごく困難だ。そもそも結婚相手を親が探すのは当たり前。インドでは家族関係は日本よりずっと濃いし、家族と見做す範囲もずっと広い。 この他、日本ではまず考えられないような出来事がいっぱい。でもどこか憎めないインドがそこにある。最後にこれだけは言っておきたい。インドで「ノープロブレム(問題ない)」と言われたら、問題ありありということのようだ。☆☆☆☆
October 19, 2024
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広電宮島線もっと魅力発見! [ 中田裕一 ]価格:1,870円(税込、送料無料) (2024/10/15時点)楽天で購入 広電と言えば、各地で廃線となった路線を走っていた電車を走らせており、動く路面電車の博物館としても全国的に有名だ。路面電車というのは街中の軌道線を走っている、俗に言うチンチン電車というやつだ。我が懐かしの京都市電も走っている。この会社の持っている鉄道線が宮島線である。鉄道線というのは、要するに専用の線路である。もっとも軌道線から鉄道線への直通になっているものが多いので、あまり鉄道というイメージはないかもしれない。広島に住んでいる人なら一度は広電に乗ったことがあるだろう。 著者の中田さんは、2022年に退職するまで、35年間宮島線の運転士を努めた方だ。私も昔宮島線沿線に住んでいたことがあるので、宮島線も何度も乗った。本書はこの宮島線沿線の見どころを紹介したものだ。昔の宮島線沿線がどうだったかもわかり、極めて興味深い。 この今の沿線案内も興味深いが、更に100年前の沿線案内を復刻して収録しているので、昔の姿もうかがえる。本書を持って、今の沿線を回ってみるのも面白いと思う。☆☆☆☆
October 15, 2024
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批評回帰宣言 安吾と漱石、そして江藤淳 [ 先崎 彰容 ]価格:3,080円(税込、送料無料) (2024/10/5時点)楽天で購入 私はあまり思想的なものは読まないのだが、今回は書評を書く一助になるかもと思い読んでみた。読んでみてまず思ったのは、「ソーカルさん出番ですよ」ということだ。(ソーカル事件を知らない人は、ネットで検索してみて欲しい。沢山でてくるはずだ。) 本書は、近代システムの矛盾を乗り越えるには批評が必要だといっている。それでは近代システムとは何か。次のような記述がある。「近代システム」とは「虚無」のことである。(p7)「近代システム」とは具体的には、資本主義のことであり、(p23)つまり「虚無」=「資本主義」という訳だ。この時点でイデオロギー的な臭いがプンプンしてきた。 また近代とは何か? 一般には日本においては、明治維新から太平洋戦争終結までらしい。それなら今さら昔のことを掘り返す必要はないのではないか。江戸時代の武士について、ここが良かったとか悪かったといってもどうしようもないからだ。ただ近代と言う言葉には現代も含むことがあるらしいのでちょっとややこしい。それに扱っているのが和辻哲郎だとか坂口安吾、江藤淳、中江兆民、福沢諭吉、夏目漱石といういわゆる昔の人を扱っているのも違和感がある。もし現代まで扱うのなら、現役の方の思想を取り上げるべきだろう。 本書を読んで、批評というものは、自分で枠をつくり、これにあてはめて色々なことを解釈しているということを再認識した。作品が先に来るのではない。自分の枠が先なのだ。例えばシェリー夫人の「フランケンシュタイン」に対する批評である。一例をあげると、なんと若干19歳の彼女の小説に対してマルクス主義批評なるものがあるようだ。(廣野由美子「批評理論入門」2005中公新書)そもそもこの小説が発表されたときマルクスはまだ生まれていないので、作者がマルクス主義者という訳ではない。マルクス主義の窓からみて、本書を批評するとこうなるというものだ。 このことを端的に示しているのが次の部分である。第二章の江藤淳論の一部だ。家族と敗戦は、彼の批評スタイルを決定してしまった。(中略)世界をもう一度自分なりの価値観で腑分けし、色彩を取り戻さねばならない。(pp110ー111)だから批評と言うものは決してニュートラルなものではない。評者の価値観から見てどう見たということだろう。批評をしようとするものは、自分の立場をはっきりさせておくべきだろう。 著者は巻末の著者紹介から判断すると日本思想史が専門のようである。それがどうしてガリレオとかケプラーを引き合いに出すのか。また流動する世界に魅せられ、探求しつづけたガリレオ・ガリレイやヨハネス・ケプラーの場合その変化の奥にある不変なもの、すなわち永遠に触れようとした。(p102)確かに物理学はなるべく少ない原理で世界を証明したいというところがある。しかしガリレオやケプラーが流動する世界に魅せられていたというのは信じられない。いろいろ調べてみたが、残念なことにそれらしきものを見つけることができなかった。まあ彼らがどう考えていたかを知るのは、今では悪魔の証明になってしまうのでまず無理である。ただ、信じられない理由として、彼らよりずいぶん後の人であるアインシュタインさえも、自身の一般相対性理論で「膨張する宇宙」という解が見つかったときに、宇宙は変化せず定常的なものとして宇宙項を付け加えたのは有名な話だ。(もっとも後で「人生最大の誤り」として撤回したが。)西洋はキリスト教などの影響が強い。だから流動する世界に魅せられというのはまずないだろう。 ところで、本書には批評だけでなく、著者の歩いてきた道も伺い知ることができる。私は伝記を読むのが好きなので、なかなか興味深かった。
October 5, 2024
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終生 知的生活の方法~生涯、現役のままでいるために [ 渡部 昇一 ]価格:935円(税込、送料無料) (2024/9/17時点)楽天で購入渡部昇一さんといえば、昔「知的生活の方法」で一世を風靡したことを覚えている。残念ながら渡部さんは、2017年に鬼籍に入られ、この「終生知的生活の方法」は遺著ともいえる作品である。 本書は、2004年に刊行された「老年の豊かさについて」(大和書房)に加筆修正をしたものであるが、原稿を出版社に渡して刊行の準備中に渡邊さんが亡くなられたため、刊行は死後の2018年となっている。 書かれているのは高齢者になった渡部さんの生活スタイル。本書には高齢者になっても知的活動をしている例が書かれているが、何をするにしても遅すぎるということはない。せいぜい私も見習って、死ぬまで知的生活にがんばりたいものである。かってインド独立の父と言われるガンジーは「永遠に生きると思って学びなさい」と言ったという。その境地に至りたいものである。 私の場合は積読本がものすごくある。最近はあきらめ気味だが、なんとか死ぬまでには全部読みたいと思う。ただ増えるスピードの方が読むスピードより速いため、なかなか難しいのであるが。 もっとも高齢者になると個人差がものすごく大きい。88歳で亡くなった私の父などは、最後まで頭の方ははっきりしており、パソコンなど私より詳しかったくらいだ。また90歳を過ぎても知的活動を続けられている人は結構おられる。願わくば私もそのひとりになりたいものである。☆☆☆☆
September 17, 2024
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買い物の科学 消費者行動と広告をめぐる心理学 [ 越智 啓太 ]価格:1,760円(税込、送料無料) (2024/9/15時点)楽天で購入 タイトルからは、消費者が買い物をするときの心の動きが書かれているように見える。企業と消費者は裏表の関係にあるので、広い意味ではそれでもいいのだが、マーケティングの教科書・参考書として読むとなかなか興味深い。書かれていることには売り方に関することの比重が高いように思う。 面白かったのは、以下の二点だ。まず写真の撮り方だ。例えばスープの写真を撮る場合右からスプーンを出した方や刺身に箸や日本酒を添えた方が食欲をそそるというのだ。なぜおいしそうに見えるかというと著者はこう書いている。これは頭の中でそれを食べるイメージがより簡単にリアルのシミュレートできるからだと思われます。これを「メンタルシミュレーション効果(あるいは運動流暢性効果)」といいます。(pp48-49)ということは、前者は左ききの人ばかり集めれば逆の結果になるんだろう。後者は私のようにアルコール類が嫌いな人を集めればかえって食欲がなくなるのかな。さすがにそこまでは書いてないが、実験をしてみれば面白いと思う。 もう一つは、ペプシコーラのコカ・コーラに対する比較広告。日本では比較広告自体は禁止されていないが、競争相手より著しく有利と誤認されるようなことをすると表景法違反として規制される恐れがあり、見た覚えがない人も多いだろう。しかし、アメリカは違う。比較広告は当たり前なのだ。ペプシコーラを自動販売機で買うために、コカ・コーラを踏み台にしたり、ペプシコーラとコカ・コーラの自働販売機があれば、UFOがペプシコーラのものだけ持って行ってしまう。(p178) なかなかユーモラスなので日本でも増えればいいと思うのは私だけだろうか。 ともあれ心理学的側面、行動経済学的側面、マーケティング的側面から販売戦略を立てようと思う人は一読しても損はないと思う。☆☆☆☆
September 15, 2024
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不自然な宇宙 宇宙はひとつだけなのか?【電子書籍】[ 須藤靖 ]価格:1,100円 (2024/9/8時点)楽天で購入 物理学の専門家以外はあまり気が付かないだろうが、我々の生きているこの宇宙はものすごく不自然なのである。それではどういったところが不自然なのだろう。本書に述べられているのは、 ・この宇宙は物理法則から予想される特徴的な大きさ(10のマイナス33乗センチメートル)に比べて、少なくとも60桁(1兆×1兆×1兆×1兆×1兆倍!)以上大きい・この宇宙には4つの異なる相後作用(力)が存在するが、その強さは約40桁も違っている・この宇宙を支配している宇宙定数の値は、物理法則から予想される特徴的な大きさに比べて、約120桁小さい(p22) しかし、それはこの宇宙を唯一無二なものだと考えるということも大きいのだ。もしこの宇宙以外にも、無数の色々な宇宙が存在して少しずつ物理法則が違っていると考えればいい。その中には色々な物理法則が成り立っている。そしてたまたま私達の生きているこの宇宙がそのような性質を持っていると考えれば良い。つまり宇宙はユニバースではなくマルチバースなのだ。 本書はこのマルチバースについて解説をしたものだ。もちろんマルチバースと言うのは今の科学では仮説にすぎないし、証明する手段もあるとは思えない。 でも、ラノベによくある異世界もの。本当にマルチバースがあるのならそんな世界もあるかもしれない。☆☆☆☆
September 8, 2024
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考えるレッスン (だいわ文庫) [ 外山滋比古 ]価格:748円(税込、送料無料) (2024/8/23時点)楽天で購入 本書は2020年に亡くなられた外山滋比古さんのエッセイ集である。外山さんは1923年生まれというから、享年96歳。そのお歳まで知的活動を続けられるのはうらやましくもある。 本書は2012年1月に集英社インターナショナルから刊行された「考えるとはどういうことか」を改題して再編集したものである。だから元の本は90歳近くで書いたことになり、その年齢になっても本を書くことができるというのは本当に頭が下がる思いで、私などまだまだひよっこのようなものだ。 ただ、外山さんの言われることが十分理解できるかと言われると良く分からないというのが正直なところだ。外山さんは知識を詰め込み過ぎるとクリエイティブでなくなると言っているが、これは人によるとしか言えないと思う。むしろ功成って研究や勉強をしなくなるというのが大きいと思う。教授になると学内政治にばかり精出し、研究や勉強をしなくなる人がいるというのはよく聞く話だ。 また、球面思考だとか第4人称と言うのも良く分からない。日本語が曖昧だと言うのも異論がある。日本語でも十分論理的なのだ。私のような理系人間からは、ロジックを記述するのに大切なのはアルゴリズムであり、プログラム言語ではない(もっとも使いやすいものと使いにくいものはあるが)と思う。だから論理的かどうかは言語に寄らないのではないか。あまり理解できないのは、文系と理系の差なのであろうか。☆☆☆
August 23, 2024
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知っておきたい地球科学 ビッグバンから大地変動まで (岩波新書 新赤版 1950) [ 鎌田 浩毅 ]価格:1,056円(税込、送料無料) (2024/7/6時点)楽天で購入 地球科学というとなんだかかっこいい気がするが、高校の理科の課目で言えば地学である。この地学、いまの高校生には人気が無いようで、かって行われた調査によれば履修率が10%以下であるらしい。その大きな原因は、大学入試の受験科目になっていないからだと著者は言う。 私は少し違う意見だ。一番の原因は文科省がやたら選択科目を増やしたことにあると思う。要するに地学を履修しなくても高校を卒業できるのだ。 私は工学部で電気工学を学んだ。私が受験した大学では、工学部の理科受験科目は物理と化学が指定されていた。それでも地学は履修している。私たちのころは、高校理科では地学が必修だったので、文理に関係なく1年の時はこの科目を履修していた。私の通っていた高校は1学年120人位しかいない、田舎の公立校だったが、全員が地学を学んでいたのである。 地学に関することはスケールが大きく、ロマンがある。私自身も大学・大学院修士と電気工学を学んだが、地学のロマンに魅かれて秋田大学の通信教育で地球科学を勉強した。 本書を読むと、私が通信教育で勉強したことも多い。もちろん本書は一般向けに書かれているが、本書を先に読んでおけばもっと通信教育の理解が進んだと思う。地球科学の入門書としてぜひ読んでいただきたい1冊である。☆☆☆☆
July 6, 2024
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今年からは手作り派 やさしい梅しごと [ 福光佳奈子 ]価格:1,870円(税込、送料無料) (2024/5/17時点)楽天で購入 「梅しごと」というのはあまり聞きなれない人もいるかもしれないが(私も知らなかった)、梅が旬なときに、梅を使った保存食を手作りすることのようだ(p12) 梅を使ったもので連想するのは、なんと言っても梅干し。次に保存食というのか、健康食品というのか、嗜好品というのか梅酒だ。その他梅シロップや梅を使ったレシピも収められている。 梅干しや梅酒といえば甕や大きなガラス瓶がないといけないと思うのだが、何と梅干しは、ジッパー付きの保存袋があればいいし、梅酒を作るにも必ずしも大瓶が無くても大丈夫だという。後者は何となく分かる気がするが、前者についてはまさに目から鱗である。 また梅酒を作るときに留意することは酒税法との関係だ。使える酒はアルコール度数が20度以上で酒税が課税済の者に限られる。また、米、麦、アワ、トウモロコシ、ブドウなどは漬け込むこと自体が違法になる。もちろん家庭で漬け込んだものを販売してもいけない。(p84) 梅には熟していない青梅と完熟梅がある。梅干しは完熟梅が向いているようだが、梅シロップや梅酒は青梅でも完熟梅でもいいらしい。興味がある人はぜひ両方使って、梅シロップや梅酒を作って、味の違いを確かめて欲しい。 私自身は料理はほとんどしないのだが、それでも本書の通りにやれば簡単に梅しごとができそうだ。これから梅が出てくるだろうからぜひやってみることをお勧めしたい。☆☆☆☆☆
May 17, 2024
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世界一やさしい! 微生物図鑑 [ 鈴木 智順 ]価格:1,320円(税込、送料無料) (2024/5/14時点)楽天で購入 一口に微生物といっても、我々にとって有益なものもあり、有害なものもある。要はいろいろ種類があるということだ。本書は、その微生物を擬人化したイラストで紹介したものである。 本書では微生物を細菌、古細菌、真菌、ウィルスに分けている。ウィルスを微生物といってもいいかは微妙なところであるが、「ウィルスは微生物よりさらに小さい」(p16)と言った記述もあるので、本書にはインフルエンザウィルスやコロナウィルスなどが出てくるものの、別扱いにはなっているようだ。 細菌や古細菌は原核生物と呼ばれ、細胞が原始的な構造をしており、細胞核を持っておらず遺伝子は細胞内内にあるが、真核生物は細胞核を持ち、その中に遺伝子を持っているものだ。カビやキノコなどは真菌と呼ばれており、真核生物に含まれる。 古細菌については名前は出てくるがその説明はほとんどない。これは、「細菌」と名前についているが「細菌」ではなく、細菌、真核生物と共に生物界を三分する存在である。古細菌の例としてメタン菌がある。 ひとつ改善を望みたいことがある。各微生物には擬人化されたイラストは掲載されているが、顕微鏡などで見たその真の姿が必ずしも掲載されていないのだ(掲載されているものもある。)。まさか微生物がイラストのような姿をしていると思う人はいないだろうが(除く小さい子)、一応図鑑と銘打っているからには、ぜひとも入れて欲しいと思う。☆☆☆☆
May 14, 2024
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天野為之 日本で最初の経済学者 [ 池尾 愛子 ]価格:3,080円(税込、送料無料) (2024/2/23時点)楽天で購入 本書を一言で表せば天野為之と言う人の伝記である。私は寡聞にして天野為之と言う人を知らなかったのだが、表紙カバーには「日本で最初の経済学者」とある。 私は電気工学が主専攻だが、放送大学で色々と勉強している。経済学についても副専攻くらいには勉強しており、有名どころの名前くらいは、一応押さえていると思う。しかし、どれだけ頭の中をひっくり返してみても天野為之という名前は出てこないのだ。だからどんな人だろうと興味が湧いたというわけである。 天野は佐賀県は唐津の人である。ただし生まれたのは江戸。つまり東京生まれという訳である。父が、唐津小笠原藩の藩医だったからだ。しかし、その後明治維新の頃に、父が病死したので、一家で唐津に引き上げ、その後東京大学(その前身を含む)へ入学するために再び上京することとなる。 天野は、東京大学の文学部に進んだ。当時は経済学部というのはなかったようだ。明治の初め頃の大学教育に活躍したのは、いわゆるお雇い外国人だ。天野もお雇い外国人から教わり、教科書には英語の本を使った。そのようなお雇い外国人の一人にあの有名なフェノロサがいる。フェノロサというと、私の記憶には、岡倉天心とともに、狩野芳崖の悲母観音を描く話くらいしかない。でも天野がフェノロサから学んだのは経済学。 そして、彼の学位は法学博士。経済学博士でないのは、当時は経済学と言う学問が独立していなかったためだろう。彼の文筆活動などが評価され、博士推薦会で博士に推薦されたようだ。これについては、現在の博士論文を出してそれにもとづいて学位が与えられるというシステムと大分違うと思ったが、近代日本の黎明期はそんなものかもしれない。 その他彼は教育の分野でも活躍した。東京専門学校(のちの早稲田大学)の設立に尽力し、初代商科長を務めている。 巻末には年表もあるので、いつ天野が何をしたのかが分かりやすい。 ここで持論を一つ披露したい。 博士、修士、学士などの学位は、各大学もしくは学位授与機構が与える。 教授、准教授、助教などの職位は各大学等で与える。 それでは学者という二つ名は誰が与えるものなのだろう。学位があるから学者なのだろうか。大学等で教えているから学者なのだろうか。どちらも満たしていなくても、あの人は学者だと言えるような人がいる。例えば、地方の非常にミクロな歴史などは、ほとんど注目されないが、地道に研究している人はいるのだ。要するに学者とはその人の生きざまにも大きく関わってくるのではないだろうか。もっとも、政治や経済に関するような社会科学の場合は、その判定はなかなか難しいのではあるが。ただそういった意味からは、天野は経済人・教育者かもしれないが「学者」と呼ぶことには「?」が頭の周りを飛び交ってしまう。☆☆☆
February 23, 2024
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はたらく物語 マンガ・アニメ・映画から「仕事」を考える8章 [ 河野 真太郎 ]価格:1,980円(税込、送料無料) (2024/1/7時点)楽天で購入 本書は、小説、漫画、アニメ、映画、ドラマなどを通じて、「はたらく」ということを考えていこうというものだ。そして、それらの視点は主に3つ。すなわち新自由主義、ポストフォーディズム。ポストフェミニズムである。本書中に、この3つの単語は何度も繰り返して太字で出てくる。「新自由主義」位は分かるが、この言葉も久しぶりに使われているのを見たような気がするのは私だけだろうか。こういった用語には複数の意味が有ることが多いので、補足的な説明を加えて、一応本書の中から定義を拾っておこう。 新自由主義というのは、複数の訳語として使われることがあるらしいが、よく目にするのは、ネオリベラリズムの訳語としてだ。本書もその意味で使っている。これは市場に任せれば何でもうまくいくという一部経済学学者の間にはびこる一種の信仰のようなものである。つまり福祉国家を否定し、規制緩和(もしくは撤廃)を前面に出し、小さな政府をつくって、市場に任せておけば、すべてうまくいくという思想である。 フォーディズムというのは、フォードシステムに由来するもので、人がベルトコンベアの前に並び、それぞれが、単純労働を繰り返し、その結果全体として製品が出来ていくというもの。労働者は単純繰り返し労働の苦痛に耐える見返りとして高賃金、短時間労働を手に入れた。要するに、大量生産・大量消費という現代資本主義の根幹をなす思想だ。 フェミニズムというのは聞いたことがない人は少ないだろうが、女性解放を旗印に性差別をなくそうという思想や社会運動のことである。 ポストというのは、思想関係の研究者などが好きな言葉で、それ以後という意味で使われる。つまりフォーディズムやフェミニズム以後ということだ。 新自由主義以外の言葉は、初めて目にする言葉だ。まあ、私は大学・職業とも特定の思想には関係のないところで育ってきたので、単にそのような素養がないだけかもしれないが。 分析の対象となっているのは、「3月のライオン」、「プラダを着た悪魔」、「マイ・インターン」、「宝石の国」、「機動戦士ガンダム 水星の魔女」など。私は、「宝石の国」を深夜アニメで視たことがあるくらいで、他の作品については全く知らない。 例えば、ポストフォーディズムの例であるが、将棋漫画である「3月のライオン」であるが、将棋は従来労働とは呼びにくかったが従来は賃金労働とは関係ないと思われていた生活や人間の能力の能力の側面が、賃金労働に組み込まれていく(p040)と著者は述べている。新自由主義との関係であるが、著者は福祉国家と新自由主義はほぼフォーディズムとポストフォーディズムに一致する政治・経済の体制です。(p030) 「プラダを着た悪魔」であるが、こちらは女性のお仕事映画である。この中でポストフェミニズムについては、経済成長に貢献する限りにおいて認められるフェミニズム(p067)と言っている。つまり、ポストフェミニズムとは、新自由主義(ネオリベラリズム)にフェミニズムの目的が簒奪された状況(p071)なのだそうだ。 廣野由美子さんの著作に批評理論入門―『フランケンシュタイン』解剖講義(中公新書)というものがある。これを読むと、一つの作品に対して、色々な視点があることが分かる。ある著作は、著者の手を離れたとたんに、その解釈は読者にゆだねられる。だから著者が思いもよらぬ解釈をされる場合もあるのだ。フランケンシュタインの作者のシェリー夫人も、まさかマルクス主義批評とかポストコロニアル批評なんてものをされることを予想していたかということは疑問だ。 これらの批評家にとっては、自分の主義主張が主であり、作品はその主義主張を補強するための従ということになる。もっとも、何か視点を定めて深読みしていくというのも面白い気がする。大切なことは、解釈はなにもひとつではないということ。もし答えがひとつだと考えるなら、完全に受験勉強に毒されているのだろう。だから、本書のように特定の思想を基準にして作品を評価するのも面白いと思う。ただ、それは評者がどういう思想を持っているかを明らかにすることになる。場合によっては、人から呆れられる諸刃の剣となるのだ。☆☆
January 7, 2024
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太田川恵みと営み[本/雑誌] / 中国新聞社/著価格:1,980円(税込、送料別) (2024/1/4時点)楽天で購入 太田川というのは広島市などを流れている母なる川だ。中国山地を源流として、広島湾に続いている。広島市内でいくつもの流れに分岐し、それぞれ名前がついている。本書は、広島市を中心にこの太田川流域を美しい写真で紹介するというものである。中国新聞とは広島市に本社を置く、中国地方のブロック紙だ。そのせいか、本書は2022年度の新聞協会賞を受賞している。 本書を読んでまず思ったのは、太田川にも色々顔があるんだなあということ。源流は中国山地にあるので、太田川は、広島市だけを流れている訳ではなく、季節だけでなく場所にもよって風景が変わるのである。季節を合わせて、本書に掲載されている場所を訪れてみるのもいいと思う。 ひとつ勉強になったのはアマゴのこと。同じ種類だが、一生を渓流魚として過ごすのがアマゴ、海に下る降海型の者をサツキマスというのだと思っていたが、実は海の代わりに湖に下る降湖型のサツキマスというのもいるらしい。例えばダム湖などでは、そこから容易に海に出られない。だから湖を終着点にするようになったのだろう。考えてみると生命の不思議さを感じる。☆☆☆☆
January 4, 2024
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アクティブ・ラーニングとは何か (岩波新書) [ 渡部 淳 ]価格:880円(税込、送料無料) (2020/8/16時点) アクティブラーニングとは何か。本書にはこう書かれている。ひと言でまとめると、プレゼンテーションやディスカッションのような様々なアクティビティ(学習技法)を介して、学習者が能動的に学びに取り組んでいくことを指す言葉である。(pi) 一時流行ったディベートなどもその一つであり、企業の研修にはつきもののグループワークもそうだと言えるだろう。 アクティブラーニングの事例として、アテネのアメリカ系インターナショナルスクール(国際学校)での取り組み例が紹介されている。もちろんプラスの評価事例としてだ。(pp27-30) しかし、本当にそうだろうか。インターナショナルスクールといっても、本書を読む限り、通っていたのはギリシア人が多いように取れる。もしアクティブラーニングが優れているのなら、ギリシアは人材を輩出しているはずだ。しかし実際は、ギリシアから人材が多く出ているという話は聞かない。経済はご存じの通りだし、ノーベル賞受賞者も文学賞以外は出していないし、フィールズ賞受賞者も出していない。ギリシアの人口が日本の10分の1以下ということを考慮しても、少し寂しい数字だ。 教育が有用なのは、おそらく普通の人々なんだろう。普通の人々を平均レベルに引き上げるのは教育が有効だと思う。ただしその手法に優劣があるという根拠はないことを指摘したい。一方、天才クラスになるとどんな教育を受けても、たとえ自学自習でも頭角を現すのではないだろうか。教師側に天才を教えられる人がそれほど多くいるとは思えない。実際天才と呼ばれた人の伝記を読むと、教師から何かを教わったというのは少ない。それどころか、学校時代の評価は決して高くはない。学校から教育を受けたというよりは、自分で才能を切り開いたのだろう。 教育の有効性を測るには、例えば、能力が同じような人を別々の教育法で教育し、ある期間の後に成果を比べるというようなことが考えられるが、実際には色々な問題があり、やることはできない。だから教育の世界では、フィーリングで「これ良さそう」だと思われれば、他に何の根拠もなく取り入れられる。ゆとり教育しかり、総合的学習の時間しかりである。それに付き合わされる子供たちにとっては、教育内容がころころ変わり、大迷惑なのだ。アクティブラーニングもこの流れの上にないことを願いたい。☆☆☆※初出は、「風竜胆の書評」です。
August 16, 2020
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バッタを倒しにアフリカへ [ 前野ウルド浩太郎 ]価格:1012円(税込、送料無料) (2020/8/7時点) 著者はミドルネームを名乗っているが、別に外国の出身という訳ではない。純粋の日本人だ。これは、著者がサバクトビバッタの研究で滞在したモーリタニアの国立サバクトビバッタ研究所のババ所長が、著者を称えて与えたものだ。但し、どこかが公式に認めた名称という訳ではなく、本書を読む限りは、あくまで研究所の所長が言っただけのようだ。 「ウルド」の意味は「~の子孫」という意味で、例えばババ所長の正式な名前は、モハメッド・アブダライ・ウルド・ババと言って、つまりはババの子孫だという。著者は、ババ所長に誠意を示すために改名した。 ここで、ツッコミをひとつ、その使い方なら、ウルド浩太郎とつけると浩太郎の子孫ということになり、著者の次の世代以降のことになる。「ウルド」を使いたければ、浩太郎ウルド前野とする必要があると思う。実際にババ所長から言われたのは、「コータロー・ウルド・マエノ」というものらしい。 ただし、この「ウルド」というのはモーリタニアでは法律が改正され廃止されたという。理由はみな誰かの子孫であるということらしい。だから、前述のババ所長は、「モハメッド・アブダライ・エッペ」に改名したという。「エッペ」はどこから来たんだと思うのだが、ババが無くなったので、かなり混乱を招いたようだ。 本書には、バッタとイナゴの違いが書いてある。群生相のような相変異を示すものがバッタで、示さないものがイナゴだという。だからオンブバッタやショウリョウバッタなどは、名前にバッタとついているが、厳密にはイナゴの仲間だという。 面白いのが、著者が京大の白眉プロジェクトに応募した際のエピソード。なんと、面接のときに、本当に眉を白く塗ったらしい。これが果たして、合格に役立ったかどうかは分からない。しかし、あの大学は、こういった茶目っ気は好きな人が結構いる(全員という訳ではないが)。 もう一つ面白かったのが、著者がサソリに刺されたときのエピソード。なんとババ所長も、著者のドライバーも、お祈りを唱えて、「これで大丈夫」。結局日本大使館で軟膏と鎮痛剤を処方してもらって、大事にはならなかったようだが。 本書は、ユーモラスな書きぶりで書かれており、著者のバッタ愛が至るところからあふれ出してくるようだ。どのくらいバッタ好きかというと、夢はバッタに食べられること。バッタを触りすぎて、バッタアレルギーになってしまったくらいである。また、ユーモアあふれる文章の中にも職業として研究者を続けることの厳しさが伺え、研究者を目指す人には一読することを勧めたい。 ちなみに、表紙のいかにも怪しげな写真が著者で、本書中にも、全身緑タイツでバッタの大群に向かっているというヘンなおじさん丸出しの写真がある。☆☆☆☆※初出は、「風竜胆の書評」です。
August 7, 2020
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完全マスター 電験三種受験テキスト 理論(改訂3版) [ 塩沢孝則 ]価格:2970円(税込、送料無料) (2020/8/3時点) 本書は、タイトルの通り、電験三種の理論のテキストである。著者の塩沢さんは、ネットで調べると、東大の大学院を修了して、中部電力の送配電部門に勤め、2018年には、同社の執行役員になっているようだ。要するに、理論面と実務面の両方を知っているということだろう。 本書の特徴を一口で言えば、電磁気、電気回路、電子理論、電気・電子計測など、電験3種の理論科目に必要な項目を網羅しており、例題や練習問題が豊富なことだろう。だから、電験3種受験者のみならず、高校、高専、大学などで電気工学を学んでいる人も、本書に書かれていることを理解すれば、その後の学びが楽になるものと思う。だから、ただ漠然と読むのではなく、手を動かして、自分で計算を追いながら、書かれていることを理解するようにすればいいと思う。 もちろん、電気工学のレンジはかなり広い。だからこそ基礎をしっかりつける必要がある。本書の内容を十分に理解すれば、電験のみならず、学校で単位を取るためにも有効だろう。電気工学を学ぶ人は、その第一歩として勉強するのもいいのではないだろうか。☆☆☆☆※初出は、「風竜胆の書評」です。
August 3, 2020
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雑草のはなし 見つけ方、たのしみ方 (中公新書) [ 田中修 ]価格:907円(税込、送料無料) (2018/8/16時点) 身の回りでよく見ることができる植物、一般には雑草と呼ばれるものについて解説したものである。本の構成は以下の通り。第1章 春を彩どる雑草たち第2章 初夏に映える緑の葉っぱ第3章 夏を賑わす雑草たち第4章 秋を魅せる花々と葉っぱ第5章 秋の実りと冬の寒さの中で 本書を読んでみると、身近な植物に関するいろいろなことが分かる。例えばタンポポ。日本古来のタンポポは少なくなり西洋タンポポばかり目立つようになった。その理由は繁殖力が違うことがひとつ。西洋タンポポは自分の花粉で受精できるが、日本のタンポポは自家不和合性があるので自分の花粉では受精できない。また西洋タンポポは種からすぐに芽を出すが、日本のタンポポは秋になるまで芽が出ないそうだ。しかし都会で日本タンポポが少なくなった本当の原因はそれまで生息していた場所をどんどん開発した結果だという。またタンポポの花の色に関して、次のような記載がある。<四国や九州の一部では、「タンポポの花は白いもので、黄色のタンポポの花はめずらしい」という。>(p42) 私の故郷は山口県でぎりぎり本州ではあるが、子供の頃はタンポポの花は殆ど白かった。だから黄色いタンポポの花を見つけたときはうれしかったものだ。しかし、今は黄色い西洋タンポポが多い。 その他、ハルジオンとヒメジョオンの違い、カブと大根の違いなど、身近な植物に関する蘊蓄でいっぱいだ。花はかわいいのに、酷い名前を付けられているオオイヌノフグリ、ヘクソカズラも出てくる。 一口に雑草と言っても、色々な種類があるものだ。一つ一つは小さな植物だが、生き残っていくために様々な工夫をしているのだ。よく見れば可憐な花を咲かせているものもけっこうある。本書を読めば、あまり目に留めることがなかった雑草でも、これからは違った目で見ることができるようになるのではないだろうか。※初出は、「風竜胆の書評」です。
August 16, 2018
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刑事ドラマ・ミステリーがよくわかる警察入門 (じっぴコンパクト新書) [ オフィステイクオー ]価格:822円(税込、送料無料) (2018/8/14時点) ドラマや小説などで警察官がメインのものが結構あるのだが、その設定にかなり無理があるものが目立つことにかなり前から気が付いていた。例えば本書によるとあの「太陽にほえろ」の七曲署藤堂係長の階級は警部だそうだ。しかし警部で所轄の課長なら分かるが係長というのはありえない。ユースケサンタマリアの演じる「踊る大走査線」の真下正義はキャリアという設定だが、入庁2年目で湾岸署の係長をやっている。所轄の係長といえば、階級は警部補だ。しかしキャリアなら入庁2年目だったら警部になってるはずだ。所轄の係長ということはない。このほかにもいろいろと警察を舞台にしたドラマや小説などにはツッコミどころがあるようだ。いくら娯楽作品でも設定がいい加減だとリアリティに欠けると思うのだが。 本書には掲載されていないが、この他、27歳警視で警視庁の参事官(管理官なら分かるが参事官というのは、課長より上のポストだ。いくらキャリアでも27歳警視でなれる分けがない。)をやっていたり、警視長で左遷されて所轄の署長をやっていたり(所轄署長は、警視か警視正のポスト。警視長なら小さな県警の本部長でもおかしくはない。)や果ては警視庁の50前後の警部補が「俺たちは国家公務員だ!」(正しくは地方公務員。警視庁って「庁」ってついているけど、東京都警なんだよね。都道府県の採用でも警視正以上に出世すれば国家公務員になるんだが)と叫んだり。もっとも設定が変なものでも、それなりに楽しんで視たり読んだりしているので、話の面白さ・痛快さとはあまり関係はしないことは一応付け加えておこう。でもできるだけ正しい設定でやって欲しいと思う。 私も別に警察に在籍したことはないのだが、ミステリーをよく読むのでこのくらいの知識はある。ちょっと調べればわかることをそうしないというのは、何らかの意図があるのだろうか。 本書は警察の仕事、階級と役職の関係、本部と所轄との関係、キャリア・ノンキャリアについてなど丸ごと一冊警察百科という感じだ。中の人には常識的なことかもしれないが、外から見た場合、警察というものはなかなか実態が分かりにくいものだろう。警察ドラマや警察小説が好きな方には、この程度の基礎知識を持っておくと、突っ込みながらも、より楽しめるのではないかと思う。ただ83ページに掲載されている階級と年齢との関係は古いんじゃないかな。今はキャリアの昇進はこれより遅れていると聞くし。※初出は、「風竜胆の書評」です。
August 14, 2018
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日本全国駅名めぐり [ 今尾恵介 ]価格:1512円(税込、送料無料) (2018/8/10時点) 本書は一言で言えば、駅名に関する蘊蓄を一冊に纏めたものだ。書かれているのは、どうしてそのような駅名になったのかという由来など。駅名と言えば、旧国鉄も含んだJRのものがまず考えられるが、それだけでなく私鉄や路面電車、果ては道の駅などにもレンジが広がっている。 本書によれば駅とは本来、鉄道の駅を指すものではないようだ。「そもそも駅という字は「早馬」を意味し、古代に官道の途中に伝馬用の馬を置く施設を指した。馬の乗り継ぎだけでなく休憩や食事ができる場所であり、後に宿場と呼ばれるようになるが、明治以降は宿駅の制度は廃止された。」(p76) 私が子供の頃には、近くにバスの駅があり、人もいて、売店もあったので、駅というものは鉄道だけではないというのはよく実感できる。 取り扱いも全国に及び、私の出身県や住んでいる県の駅名も結構ある。第一章の「変わった駅名」の中に「知らなければ読めない駅名」という節がある。全国的にも難読駅名として有名な山陰本線にある「特牛(こっとい)」は載っていたのだが、「厚保」はなかった。これはJR美祢線の駅で、「アホ」ではなく「アツ」と読むのだが、絶対に知ってないと読めないと思う。このように自分の知っている変わった駅名があれば本書に掲載されているかどうかを探してみるというのも楽しい。 全編、駅名に関する豆知識がいっぱい。読んでいると楽しくなり、各駅停車に乗ってのんびりと旅がしてみたくなってくる。鉄道ファンの人におススメの一冊。特に乗り鉄を自認する人にはいいかな。※初出は、「風竜胆の書評」です。
August 10, 2018
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地理 2018年 07月号 [雑誌]価格:1300円(税込、送料無料) (2018/7/29時点) すっかり嵌ってしまった月刊地理。今月号の特集は、「インド 変わる大都市圏」だ。インドというと多くの人は次のようなことを連想するのではないだろうか。仏教の古里。ヒンズー教とカースト制度、ヨガなど。インダス文明、ガンジス文明発祥の国。近年はIT大国として知られていることなどを思った人はかなり立派な人だ。インド出身の天才数学者ラマヌジャンを思い浮かべた人は稀有といってもいいだろう。かように私たちは、インドについて知っていることは少ないのである。 そのインドは、近年経済成長によりその姿をどんどん変えている。本特集はインドの大都市圏が近年どのように変わっていくかについて述べたものだ。例えば、インドでは、近年の急激な経済成長に伴って、都市圏がどんどん拡がっている。例えば、首都のニューデリーを含む首都特別地域であるデリーは、最初は都市面積わずか43.3平方キロしかなかったものが、どんどん拡大して、現在の1483.0平方キロになった。 消費市場も拡大しており、ショッピングモールなどの新しい流通システムも見られるようになった。eコマースも急拡大。かってはビジネス関係の講演会などに行くと、車の例がよく語られていた。日本は、インド向けのスペックで作らないから売れない。日本と同じように考えるとオーバースペックになってしまい高価なものになるからだと。しかし、今インドで一番車を販売しているのは日経企業のマルチ・スズキ社だ。時代はどんどん変わっている。 「アーバンビレッジ」というものもなかなか興味深い。「アーバンビレッジ」というのは都市計画区域から除外された農村集落で上下水道や道路などが未整備ではあり、多くの地域問題はあるものの、大都市圏への安い住宅の供給地として重要な役目を果たしているという。 ちょっと気にかかることがある。「デリー首都圏における市街地の形成と変化」では、同じ論文の中で、面積の単位に平方キロを使うだけでなく、エーカーを使ったり平方ヤードを使っているのはどうなのだろうか。普段からこの単位に馴染みがあれば、問題はないのだが、日本にはそれほど馴染みがないのではないだろうか(最も、ヤードはゴルファーなら馴染んでいるかも)また、インドの貨幣単位ルピーも分かりにくい。ここは注釈でも日本円で大体いくらくらいの記載をして欲しかった。(為替レートの変動があるので、正確にはできないが、〇月〇日で日付を限って換算すれば、不可能ではないと思う。) 兵法の一つに遠交近攻というのものがある。近い国とは争って遠い国とは親交を結ぶというものだ。この時代に、戦争をするというのは論外だが、私たちはもっとインドのことを知ってもいいのではないだろうか。インドは対日感情もいいと聞く。アジアで国として最も親交を結ぶべきはインドだろうと思う。 ところで、この号を読んでいる時に、たまたまテレビでインド版「巨人の星」を紹介していた。ただし野球ではなく、インドの国民的スポーツであるクリケットが対象だ。インドならではの変更点もいろいろとあるようだが、案外こんなところから相互理解が進んでいくのかもしれない。
July 29, 2018
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ラストサムライの挑戦! 技術立国ニッポンはここから始まった 明治日本の産業革命遺産 [ 岡田 晃 ]価格:2052円(税込、送料無料) (2018/7/25時点) 2015年に、「明治日本の産業革命遺産」が世界遺産に登録されたが、これは全部で23資産で構成されている。このように複数の資産が同じテーマを持って一括で認定される方式を「シリアル・ノミネーション方式」と呼ぶようだ。本書によれば、「シリアル・ノミネーション方式」で登録された世界遺産は他にもあるようだが、東は岩手県釜石から西は鹿児島までという、地理的に広範囲で構成資産も内容的に別々に見えるものは、珍しいという。 本書は、それらの構成資産についてそれに尽力した人の物語とともに一冊に纏めたものである。 明治維新の勝ち組は、俗に薩長土肥というが、直接描かれているのは、薩長肥で、それぞれ章を割いて解説している。土佐が直接出てこないのは、四国にこの産業革命遺産として指定されたものがないからだろう。しかし、間接的には、三菱の創始者である岩崎弥太郎を通じて語られている。岩崎弥太郎は、元々土佐の郷士が郷士株を手放して没落した地下浪人だった。ただし、彼が関連した施設は長崎に多い。 日本の近代化のため尽くしたのはなにも維新の勝ち組だけではない。幕臣である伊豆代官江川英龍やイギリス人でありながら長州ファイブや薩摩スチューデントなどを支援したグラバーの貢献を忘れてはならない。 西洋列強の力がちらつく中、幕末から明治にかけては多くの人材が国を守るために活躍したのだ。表紙にあるようにまさにラストサムライの挑戦。近代日本の成立には、このように多くの人々が関わっているということが本書を読めばよく分かる。当時は、国の力がなければ、他の多くのアジア諸国のように欧米の植民地にされていたような時代だ。彼らの働きがあったからこそ、日本は欧米の植民地になることなく明治の世を迎えられたのだろう。※初出は、「風竜胆の書評」です。
July 25, 2018
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『日本書紀』の呪縛 (集英社新書 0859 シリーズ〈本と日本史〉 1)[本/雑誌] / 吉田一彦/著価格:821円(税込、送料別) (2018/6/15時点)<『日本書紀』は日本の過去をありのままに記したような書物ではない。それは、権力の座についた氏族たちが自分たちの権力の根拠と正当性を神話と歴史から述べた政治の書物であり、過去を支配することを目的とした書物であった。>(p225) 本書の主張は、「日本書紀」とは、極めて政治的な書物であるというものだ。この書物は、過去の支配、勝者が自らの正当性を主張するために編纂され、我々は、今なお、この呪縛に囚われているのではないかというのである。 日本書記は、全30巻。神話の部分も含めて、戦前は金科玉条のように扱われていたが、戦後前半の3分の2は削除された。しかし、後ろの3分の1は残り、我が国の歴史のベースとなっている。まさか、この現在において神話部分を信じている者がいるとは思えないが、例えばアメリカでは今なお、キリスト教の影響で、進化論を信じない人が少なくないというから何ともいえない。 これまでの研究成果からは、日本書紀の内容はかなり盛られているようだ。それは政治的な書物であることから当然のことだろう。勝者が自分たちの支配を正当化するために作り上げた歴史。例えば、大化の改新や聖徳太子の話などである。 興味深かったのは、「天皇と皇后」の組み合わせについてである。「天皇」の概念は元々中国のもので、その対になるの概念は「天后」だという。つまり「天皇と皇后」の組み合わせが成立したのは、「皇后」のいなかった時代であり、つまりは、天皇号が我が国で成立したのは、天武の途中からではなく、女帝である持統から使われたというのが著者の推測するところだ。※初出は、「風竜胆の書評」です。
June 15, 2018
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日本史の謎は「地形」で解ける (PHP文庫) [ 竹村公太郎 ]価格:802円(税込、送料無料) (2017/5/25時点) 書評専用ブログ「風竜胆の書評」に、「日本史の謎は「地形」で解ける」(竹村公太郎、PHP文庫)のレビューを記載しました。人文系の学者のように、資料ばかり眺めているのではなく、地形というものに目をつければ、日本史に潜む様々な謎が明らかになるというものです。興味のある方は、覗いてみてください。
May 25, 2017
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最近少しフリーライター気取りで、ネットレビューなどを書いたりしていますが、「シミルボン」というサイトに2つばかり記事を寄稿しました。①セミからも学べることは多いものです②次世代火力発電について知ろう! もし、書評などのご依頼があれば、書評専門のブログとして運用している「風竜胆の書評」のメッセージ欄からご連絡ください。
May 2, 2017
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粘菌 その驚くべき知性-【電子書籍】価格:676円 「粘菌 その驚くべき知性」の書評を、風竜胆の書評に掲載しました。
November 23, 2014
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【楽天ブックスならいつでも送料無料】地震と噴火の日本史 [ 伊藤和明 ]価格:756円(税込、送料込)書評をアップしました⇒風竜胆の書評
October 14, 2014
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【送料無料】独学という道もある [ 柳川範之 ]価格:735円(税込、送料込) 柳川範之氏の、「独学という道もある」(ちくまプリマー新書)。 著者の経歴は、かなりの異色だ。現在は東大大学院教授(本書執筆時は准教授)だが、高校には行っておらず、大検を受けて、慶應の通信教育で学んだ後に、東大大学院に進んで学者になったのだから。 柳川氏が高校に行かなかったのは、父親のブラジル勤務について行ったためだ。ブラジルの学校に行くと言う選択肢もあったのだが、ポルトガル語の問題もあり、ブラジルで一生生きていくつもりもなかたので、日本から持ち込んだ参考書等で独学を始めたという。 大学についても、会計士になることを決めていたので、大学はどこでもよいからと、最初から通信制に決めていたそうだ。しかしそのうちに、経済学がだんだん面白くなり、東大大学院から学者の道に進んだ。 氏の勉強方法には、ノートは作らない、テキストは2回読む、問題集は、問題を解くためではなく、問題を把握するために使う等、色々と参考になることが多い。 氏は、独学のメリットとして、自分のペースで進められることと、あまり人に聞かないでまず自分で考える癖がつくということを挙げている。最初のやつは、ともすれば怠けがちになりやすいということの裏返しでもあるのだが、2番目のことは大切だと思う。 今はマニュアル人間が増えているという嘆きを聞く事が多い。マニュアルに書かれたことしかできず、応用が利かない。良く笑い話で出てくる、ファーストフード店で10人前くらいの注文をしても、「こちらでお召し上がりですか」と聞いて来るというのは、この典型例だろう。小さいころから塾に通って、自分の頭で考えるのではなく、何でもかんでも教えてもらう習慣がついてしまっているからだろうか。 実験など、設備がないと出来ないものはともかく、テキストを学ぶだけなら、大学学部程度の学問は独学で十分可能だと思う。しかし、世の中では、独学ということを少し大げさに考えているように思える。たとえ、学校に通っていたにしても、勉強の肝心なところを本当に会得しようと思えば、そこは所詮は独学でしかできないのだ。人から教えてもらった知識だけ身につけても、歩くノートブックみたいなもので、そこには殆ど価値はない。 日本では、就職の新卒優遇という変な風習があることもあり、学校を卒業して就職するまでは、多くの人間が決まりきったレールの上を走っている。しかし、人の生き方には、色々な道があるのだ。本書は、そのような人生の多様性に、改めて気づかせてくれる。 ※本記事は、「本の宇宙」に掲載したものの写しです。
February 2, 2014
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【送料無料】コメント力 [ 斎藤孝 ]価格:609円(税込、送料込) 三色ボールペンなどでおなじみの斎藤孝氏の「コメント力」(ちくま文庫)。ここで言うコメント力とは、<相手が話したことや映画、演劇、音楽を鑑賞したあとうや、事件などがあったあと、それに対してひと事、ふた言言う切れ味の良い発現>のことである。あまり長いものではなく、端的に本質をついたようなものでなくてはならない。そして、それは要約力とも関わってくると言う。⇒続き
June 4, 2013
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中公新書 1475【総額2500円以上送料無料】数学は世界を解明できるか カオスと予定調和/丹羽...価格:693円(税込、送料別) 「数学は世界を解明できるか カオスと予定調和」(丹波敏雄:中公新書)は、タイトルからでは分かりにくいが、「力学系」の入門書である。「力学系」とは、時間と共に状態が変化するが、そこに一定の規則があるようなシステムのことである。ただ本書では、理由は不明だが、「力学系」という一般的に使用されている用語ではなく、カタカナ語の「ダイナミカル・システム」という呼び方が一貫して使用されている。⇒続き
May 28, 2013
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【送料無料選択可!】個人情報保護オフィサー〈銀行コース・生命保険コース・消費者金融コース...価格:1,890円(税込、送料別) 昨日、(社)金融財政事情研究会の主催する「金融業務能力検定」のうちの「個人情報保護オフィサー 銀行コース」を受験してきたが、その対策に使ったテキストがこの本。⇒続き
May 27, 2013
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【送料無料】漫画描き方入門じゃありません [ 藤島康介 ]価格:830円(税込、送料込) 本書は、「逮捕しちゃうぞ」や「ああっ女神さまっ」等の作品で知られる藤島康介氏が、どのように漫画家としての道を歩き始めたのか、そして彼の作品はどのように制作されているのかということについて書いたものだ。講談社の漫画雑誌「月刊アフタヌーン」の編集部が企画した「アフタヌーン新書」の1冊として、作家の発想法や創作法を紹介する事により、読者には作品の新たな読み方を、クリエーター志望者には先達の知恵と経験を提供すると言う目的で作られたということである。⇒続き
May 17, 2013
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【送料無料】質量はどのように生まれるのか [ 橋本省二 ]価格:1,092円(税込、送料込) 質量という言葉を聞いたことの無い人はまずいないと思うが、それではどうして質量というものが発生するのかとなるとこれはなかなかの難問である。「質量はどのように生まれるのか」(橋本省二:ブルーバックス)は、質量が生まれる仕組みについて、素粒子論の立場から解説したものである。⇒続き
May 15, 2013
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【送料無料】絵を描く悦び [ 千住博 ]価格:756円(税込、送料込)⇒続き
May 9, 2013
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【送料無料】物理学と神 [ 池内了 ]価格:777円(税込、送料込) 近代自然科学、特に物理学は元々は神の存在証明のために始まった学問だという。神の教えは、文字で書かれたテキスト、すなわち「聖書」と、自然に書かれた自然法則によって理解される。⇒続き
May 6, 2013
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【送料無料】信長のおもてなし [ 江後迪子 ]価格:1,785円(税込、送料込) 本書、「信長のおもてなし」(江後迪子:吉川弘文館)は、食文化という面から中世を見ていこうというものだ。食生活が現在のように豊かになったのは、近現代になってからだと漠然と思ってたが、本書によると驚くべきことに、室町時代には既に現代の日本の食生活の基盤ができていたという。そして、室町時代のころから織田、豊臣に至るまでの中世の食生活を様々な記録から実証していく。むろん、中世においてこのようなものを食べることができたのは、一部の上流層だけだっただろうが。それでも、そのレパートリーの多さには感心する。⇒続き
May 3, 2013
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【送料無料】僕らが死体を拾うわけ [ 盛口満 ]価格:819円(税込、送料込) 「僕らが死体を拾うわけ」(盛口満:ちくま文庫)、ちょっと物騒なタイトルだが、別に殺人事件が起きるようなミステリーではない。それに「死体」といっても、もちろん人間のものではない。そもそも、そんなもの、そう簡単に落ちている訳はないだろう。表紙イラストから分かるように、拾うのは動物の死体。そんなもの拾ってどうするのかって。当然、教育のために使うのである。⇒続き
April 23, 2013
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「哲学」は、一体何の役に立つのだろう。学生時代、プラトンだとかアリストテレスだとかについて習った時などに、そんな思いを抱いた人も多いのではないか。「何の役に立つのだろう」と言う疑問を持つということは、その奥底には、何らかの有用性があるに違いないとの想いがあるように思える。しかし、哲学なんて何の役にも立たないと明確に言ってのけた人がいた。言ったのは唯の人ではない。ハイデッガー研究で有名な木田元氏である。木田氏は本書において、「哲学」とは、西洋と言う文化圏に特有の不自然なものの考え方であると述べている。⇒続き
April 22, 2013
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【送料無料】齋藤孝の速読塾 [ 斎藤孝 ]価格:630円(税込、送料込) 3色ボールペンで知られる斎藤孝氏による、「斎藤孝の速読塾」(ちくま文庫)。タイトルの通り、本を早く読むにはどうしたらよいのかということについて書かれた本だ。ただ、「速読」という言葉から連想するように、眼を早く動かすトレーニングをするとか、ページを写真のように頭に入れろとかいうようなことにページを割いているようなものではない。もちろん眼を早く動かすことは、速読のためには間違いではない。そのことは最初に斎藤氏も述べている。⇒続き
April 21, 2013
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【送料無料】生命は、宇宙のどこで生まれたのか [ 福江翼 ]価格:819円(税込、送料込) 生命に満ち溢れた星、地球。太陽から適度な距離にあり、生命が育つのに必要な大気や水が存在し、降り注ぐ宇宙線をオゾン層が防いでくれる。まさに奇跡のような惑星だ。しかし、生命に満ち溢れた星地球は、宇宙の中の孤児のような存在なのかだろうか。それとも、まだ他に生命の存在する星があるのか。このような疑問に答えようとするのが、本書、「生命は、宇宙のどこで生まれたのか」(福江翼:祥伝社)である。⇒続き
April 17, 2013
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【送料無料】はじめての〈超ひも理論〉 [ 川合光 ]価格:840円(税込、送料込) 現代の物理学は、私たちが持っていた素朴な自然観を根本から変えようとしている。その中でもとくに驚くべき世界の根本原理を提示するものが、物理学の究極理論とも目されている「超ひも理論」である。本書、「はじめての<超ひも理論>」(川合光:講談社現代新書)は、この理論を、その名の通り、初心者向けに解説したものだ。⇒続き
April 14, 2013
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【送料無料】「死体」を読む [ 上野正彦 ]価格:460円(税込、送料込) 元東京都監察医務院長の上野正彦さんによる、「「死体」を読む」(新潮社)。上野さんは、長年東京都の監察医として、死体の検案と解剖を行ってきた、有名な法医学者である。医者は医者でも、生きた人間は直せないが、死者の声なき声を聞くことができるという。⇒続き
April 12, 2013
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【送料無料】ナノテクノロジ- [ 川合知二 ]価格:735円(税込、送料込) ナノという単位をご存じだろうか。10のマイナス9乗を表す単位で、1ナノメートルと言えば、10億分の1メートルのことである。ちょっと想像できないような小ささであるが、現在の工学は、このレベルの物質を扱うまでに進化している。「ナノテクノロジー 極微科学とは何か」(川合知二:PHP新書)は、この極微な物質を扱う技術の現状と将来展望について記されたものだ。⇒続き
April 10, 2013
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【送料無料】宇宙「96%の謎」 [ 佐藤勝彦 ]価格:780円(税込、送料込) 人は、太古の昔から、宇宙に神秘を見出して来た。例えばホロスコープ。天体は、人の運命を支配し、星は人に加護を与えると考えられてきたのだ。今でも占星術を信じる人は多いし、星座や星が人に守護を及ぼすと言う設定の小説や漫画作品など数えるときりがない。しかし、現実には、そんなことがあろうはずもない。星は、人を守護なんてしないし、星座は、人の運命に影響を及ぼしたりはしない。そこにあるのはただ、物理法則のみである。⇒続き
April 8, 2013
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【送料無料】猫のように生きる [ 板橋興宗 ]価格:1,680円(税込、送料込) なんでも自分の思ったように人が行動しないと気にくわない。自分の基準で、物事を測り、それと合わない場合には、爆発してしまう。そんな人間は意外に多いのではないだろうか。世の中は、お釈迦様の昔から四苦八苦。思うようにいかないのが当然だ。自分の基準が絶対だという、自分中心の考えから抜け出せない限り、悩みも煩悩もどんどん積もっていくばかりだろう。 なぜ、人は自分中心の考えから抜け出せないのか。それは、物事に対して執着があるからだろう。何事にも囚われず、天地の間を自由に生きる。そんなことができたらいいだろうなあと思わないだろうか。なかなか難しい生き方なのだが、禅とは、そのような境地を目指すものだと思う。「猫のように生きる」(二玄社)は、元曹洞宗官長、元大本山總持寺管首の板橋興宗さんが、自らの修行人生、寺での生活や生き方の指南などについて語ったものだ。これを読んで、ただちに、禅の達人になれる訳ではないが、板橋さんの言葉には、自由に生きるためのヒントが多く詰まっている。 板橋さんは昭和2年生まれ。海軍兵学校から東北大学に進み、卒業後禅門に入る。その後宗派の中で頂点まで上り詰めた人なのに、いわゆる抹香臭さは感じられない。言われることも、なかなかお茶目だ。「どうして結婚したのか」という問いには、<がまんできなかったの>(←何を!?)と答え、「長いお経を覚えるのは大変そうです」ということに対しては、<私はまだひとつも暗記していないのです>と言われる。しかし、それこそが禅の本質なんだろう。 ああしなくてはいけない。こうでなければいけない。そういった考えは、周囲と軋轢を生み、悩みや苦しみを生みだす。誰のせいでもない。自分の心のせいだ。そんな考えは、禅の思想とは対極を成す。<仏に逢うては仏を殺し、祖に逢うては祖を殺せ>とは「無門関」に記された言葉だ。それがたとえ仏や祖師の言葉でも、そんなものに囚われずに、死と生との境も超えて、自然のままに自由に生きる。そんな生き方をしてみたいものだ。板橋さんは、<悩みはないねえ>、<悩みってどんなものなのかも、もう忘れちゃったね>とのことである。本書を読めば、そんな境地の入り口なりと辿りつけるかもしれない。※本記事は、「本の宇宙」に掲載したものの写しです。
March 31, 2013
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【中古】単行本(実用) 日本の大学 この国の若者は、こんなんでっせ!【10P19Mar13】【中古】afb価格:67円(税込、送料別) 桂文珍といえばもちろん落語家のあの人であるが、彼は昔大学で教鞭をとっていたことがある。関西では、4つの名門私大を一括して表す「関関同立」という言葉があるが、その一角である関西大学の文学部で、1988年から2003年までの間、非常勤講師として教えていた。「日本の大学 この国の若者は、こんなんでっせ!」(PHP文庫)は、その時の経験に基づき、大学や学生などをネタにしたエッセイ集である。⇒続き
March 26, 2013
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中公新書 1062【1000円以上送料無料】アーサー王伝説紀行 神秘の城を求めて/加藤恭子価格:693円(税込、送料別) 「ここに、かっての王にして未来の王なるアーサーは眠る」 上に記したのは、アーサー王の墓碑銘と伝えられる文章である。⇒続く
March 25, 2013
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レビューはこちら⇒本の宇宙
March 14, 2013
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【送料無料】本当は怖い百人一首 [ 日本博識研究所 ]価格:680円(税込、送料込) カルタで有名な百人一首は、京都嵯峨野の小倉山で余生を送っていた藤原定家宇都宮頼綱から、山荘のふすまに張るための和歌を古今の秀歌のなかから選定して欲しいと依頼された事に始まる。しかし、本書、「本当は怖い百人一首」(日本博学研究所:宝島社)によれば、この百人一首には「怖さ」や「謎」が潜んでいるという。⇒続き
March 12, 2013
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【送料無料】江戸奇人伝 [ 氏家幹人 ]価格:777円(税込、送料込) 本書は、雑誌「太陽」に1997年1月から18回連載された「江戸奇人伝」を一冊の新書として纏めたものである。当初の構想は、歴史に埋もれた異色の人物を紹介していくというものだったようだが、すぐに、もっぱら旗本川路左衛門尉聖謨(としあきら)の遺した詳細な日記に登場する人々の話題になってしまう。著者によれば、川路の日記が面白すぎたからだといる。確かに出てくる人は、なかなかにユニークで魅力的だ。⇒続き
March 4, 2013
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【送料無料】宇宙進化の謎 [ 谷口義明 ]価格:924円(税込、送料込) 我々の頭上にどこまでも広がるように見える宇宙。一体この宇宙はどのような構造になっているのだろうか。⇒続き
February 23, 2013
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