日記

PR

Free Space

Calendar

Keyword Search

▼キーワード検索

Category

September 25, 2016
XML
テーマ: TVドラマ(108)
カテゴリ: ドラマ
American Horror Story (Hotel)
アメリカンホラーストーリー シーズン5

第12話「血の歴史、再開」(原題:Be Our Guest)





あらすじ




バトル・ロワイヤル事件から一年後。リズとアイリスは客室を清潔で近代的な雰囲気の内装に変えコルテスのイメージチェンジを図る。改装後初の客が旅行ブロガーだと気づいたふたりはシャンパンを出してもてなすが、コルテスの住人がゲストを殺してしまう。リズとアイリスに嘆願されても、自身の惨めな人生と向き合いたくないサリー、殺しの快楽を知ったウィルに殺人をやめる気は無い。そこでアイリスはサリーにWiFiコネクションの付いた携帯情報端末を贈った。SNSに居場所を見出したサリーは注射器を窓から投げ捨てた。

デザインの仕事に誰も関わらせなかったウィル亡き後、彼のファッション帝国は崩壊寸前の危機に陥っている。香水とサングラスだけでかろうじて生き延びているブランドの取締役会に姿を現したのはリズだった。ウィルから全権委任された彼女は、世間に姿を表さないミステリアスなウィルのイメージを利用しファッションショーを成功させた。ショーの光景に死んだ恋人との思い出が蘇ったリズのためにアイリスはコルテスに霊媒師ビリー・ディーン・ハワード(サラ・ポールソン)を招く。ビリーを通じてドノヴァンは母に愛情を伝えたが、トリスタンからの応答はない。

孫娘の誕生に立ち会い家族と喜びを分かち合ったリズは末期の前立腺癌を患っていることを知る。ラモーナから、吸血鬼に転化する道も示されたがリズの希望はコルテスで死ぬことだった。伯爵夫人に喉を切られ泉下の客となったリズはトリスタンとの再会を果たした。

2022年10月30日 デビルズ・ナイト
7年前の訪問でコルテスに死者の気配を感じ取ったビリーはその後も度々撮影クルーを引き連れ、切れ目なく心霊特番を中継するようになる。それは、リズの目標とする「孤独な人が心慰められるような家族的なホテル」とはかけ離れた客層を呼び寄せ、アイリスは発端となった自分を責めていた。幽霊目当ての客を追い払いたい彼女にジョンも同意し、殺人鬼たちとの晩餐の席でビリーを脅かし、二度とコルテスの名を口にしないことを約束させた。

ジョンは、吸血鬼となった妻と子のため、住居となったコルテスに生き血を運ぶ途中警察に撃たれて死んだ。家族と一緒にいたいと願ったジョンは懸命に走ったが、ホテルの一歩手前で息絶えたのだった。それ以来、大人になったスカーレットや妻子と数時間過ごすためジョンは毎年デビルズ・ナイトを訪れている。

ハロウィンの夜コルテスに幽霊が出ると聞いて来た若者の隣にエリザベスが座った。「明日友達と楽しむ」のは無理だと微笑む彼女は彼の首筋を撫でた。







(終わり)





感想


『ホテル・カリフォルニア』 イーグルス


ようこそ ホテル・カリフォルニアへ
素晴らしい場所 ステキな場所
大いに楽しんで ホテル・カリフォルニアを
なんてサプライズ 好きなだけ言い訳を

天井にある鏡 冷えたピンクのシャンパン
誰もが自ら捕らわれると彼女が言うんだ
大広間では 皆が祝宴に集まる
冷たいナイフを刺すが 獣は殺せない
最後に覚えてるのは 扉に向かって逃げたこと
戻る道を見つけなきゃ 前にいたあの場所へ

チェックアウトは自由だ だが二度と出られない





最後の「チェックアウト」はスラングで「自殺する」という意味があり、ジョンもホテル内で自殺を試みたことがあるけれどマーチに助けられ、結局ホテルの外で死んだのでした。それ以外にもこの曲は「かわいい男の子たち」に囲まれた「ティファニーのよう(に洗練されていて)、メルセデスベンツのよう(に大胆で美しいボディラインのゴージャス)な彼女」が君臨しているホテルを舞台にしており、おそらくこの曲にインスパイアされて選ばれたところもあるんだと思うけれど、この「彼女」のイメージにレディ・ガガはぴったりでした。「1969年以来スピリット(酒・魂)は置いていません」のところもバーテンダーのリズのセリフとしていかにもありそう。

登場人物のほとんどが最新の機器を使いこなす中、リズだけは「新しいものは色あせるのよ」と言って本を読んでいたのも良かった。リズのドレスやメイクは20年代ハリウッドへの愛情に溢れていて、生き方にもブレがない。

ダーティハリー症候群 に陥ったジョンの勤務先の警察署、映画『ダーティハリー』に出てくる庁舎と同じでした。第1話から、この人クリント・イーストウッドなんですよ、というヒントが出ていた。

サリーのモデルは映画『ミスター・グッドバーを探して』(1977年)のテレサ・ダン(ダイアン・キートン)だと思います。DVD化されていないので内容を私なりに説明すると、

goodbar であればあとはどうでもいい、というような相手の人格を無視した考え方になっていきます。テレサの欠点も含めて愛してくれる真面目な青年ジェームズが現れますが、テレサには彼の保守的なところが父親を想起させ、どうしても好きになれない。セックスしようと試みたこともあるが、ジェームズがコンドームを取り出した途端テレサは笑い出してしまう。「今更どっちの何をプロテクトしようっていうの?」と。テレサにしてみれば余命いくばくもない(と彼女が思い込んでいるだけなのだが)自分に対する自嘲の笑いであったのかもしれないがジェームズにそれが伝わるはずもなく、彼は深く傷つく。テレサはジェームズを避けるため、ある男性を家に入れる。自分がゲイであることをカミングアウトできないコンプレックスを抱えた彼はテレサの何気ない一言に激情し彼女を殺してしまう。

という話です。
実話を元にした映画なのですが、ホラーに分類してもいいくらい恐ろしいシーンの連続で、リチャード・ギアの履いているパンツまでもが恐ろしく見えた。テレサの全てが嫌な女だったらこんなにハラハラしないのだろうけれど、昼間彼女は小学校教師をしていて、聾唖の子どもたちから慕われる熱心な良い先生なんです。生活保護家庭の子どもがなんとか教育の機会を得られるようスラム街に足を運んだりもする。だから、この映画を単なる教訓話とするのはあまりに惜しい。人間とは複雑で弱いものである。
テレサとよく似たサリーは、テレサのようにタバコを吸い、バーで男漁りし、麻薬に溺れ、常に痛みを訴えるけれども、愛情を求めていたという一点においてテレサとは違っていました。
サリーとジョンがエレベーターで降りるシーン、かすかに照明が明滅していたのも『ミスター・グッドバーを探して』のオマージュだと思う。

改装後初のゲストがフロントを訪れた際、香りについて訊かれてアイリスが「セージです。除霊の効果がある」と答えるシーンがありました。これはシーズン1でコンスタンスが妊娠中のヴィヴィアンに手渡すお守りと一緒です。これの元ネタは『ローズマリーの赤ちゃん』。
あと、霊媒師のビリー・ディーン・ハワードもシーズン1に出てくる人。ビリー・ディーン役のサラ・ポールソンはシーズン2ではジャーナリスト役を演じているのですが、シーズン2のときは宗教組織の不正を暴くため活躍していましたが、今回のビリー・ディーンは胡散臭くて怪しい感じだった。本物なのに嘘くさい。守護霊も全然守ってくれないし。昔心霊特番でヨーロッパの古城を訪れた新倉イワオが「こわいこわい!!」と騒ぎ出し、宜保愛子を押しのけて自分だけ助かろうとしていたことを思い出しました。

ジェームズ・パトリック・マーチが殺人をやめるよう亡霊たちに呼びかけ、「ホテルがなくなったらどうなる?」と言うシーンがありました。あれには理由があって、マーチのモデルになった殺人鬼ヘンリー・ホワード・ホームズ(H・H・ホームズ)の家が絞首刑の前年、火事で跡形も無くなっているためです。ホームズの3階建ての「マーダー・キャッスル」の内部は入り組んだ迷路のようになっており、行き止まりの階段、外側からのみ開けられるドア、レンガに覆われた出入り口・窓、窒息させるためのガスラインを取り付けた防音ベッドルーム、「吊り下げ容器」と呼ばれる絞首刑ができるよう作られた部屋などがあり、27名を殺害したと自供しています。その内、警察が確認できたのが9件、実際の数は200名に及ぶのではないかと推察されている。(ホームズは遺体を焼却できる炉が2基持っていて、そこから遺髪や靴など見つかっています)

名前について
エリザベスはハンガリーのエリザベス・バトリー( バートリ・エルジェーベト )から。吸血鬼伝説のモデルになった人。
ホールデンは『ライ麦畑でつかまえて』の主人公から。作者のサリンジャーは人嫌いで公の場に一切出なかった(ウィルのように)ため、ファンはせっせとファンレターを書いたと言うことですが中でも日本からのファンレターが一番多かったそうです。
スカーレットは『風と共に去りぬ』の主人公から。ドラマのスカーレットは父親が殺人鬼で母親と弟は吸血鬼。育児放棄までされて......過酷な運命すぎる。強く生きて欲しい。「明日は明日の風が吹く」のだから......




これでシーズン5はおしまい。シーズン6はすでにアメリカで放送が始まっていますが、「アサイラム(シーズン2)以来の良作」という声もあり期待できそうです。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  September 25, 2016 03:10:33 PM
コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: