GOlaW(裏口)

2006/03/01
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カテゴリ: 西遊記
 牛魔王が妻子を持つのは、明の時代の小説からである。

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 それではまずは『紅孩児』の存在から、『西遊記』を含む『西遊物語』の変遷を考察します。

 この回はある意味では最強ですよね。
 例え細かい破綻がゴロゴロしていても(『何故、悟浄と八戒は刺繍の一件を知っていたのか?』など)、『タイム・パラドックス』の一言で済んでしまうのですから(笑)。
 そして物語のオチも、この物語に相応しい形にはまりましたし。プチ総集編としても楽しめました(ただ、過去映像を単に纏めただけの部分もあり…)。

 何より、『時間遡行ネタをやってしまおう!』というスタッフの気概に、ちょっと彼らを見直しました。

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 『Sma-Station5』の西遊記特集(06'2/07)では、“三蔵の偉業からずっと後世の明の時代、呉承恩が登場人物たちから創作したもの”という風に解説していました。
 しかし、注意してください。この解説は間違っています(キッパリ)!

 この辺り、 『中国妖怪伝-怪しきものたちの系譜』 のP67-73に解説があります。


 しかし、それ以前(宗や元の時代)にも『西遊記』の原型となる物語は『雑劇』などの形で存在し、現在にもその痕跡が残っています。呉承恩はあくまでそれらを変遷した人物であり、全てを創作したわけではないんです。
 これら、『西遊記』を含めた『西遊物語』群は、既存の仙人伝説や妖怪物語をその中に取り込みつつ、何度も“リメイク”してきた作品です。

 そしてこの“リメイク”は、現在では世界中で行なわれているとも言えるでしょうね。

 フジテレビ版ドラマ『西遊記』も、また現代に新生した『西遊物語』のひとつです(…その一列で胸を張るためにも、もうちょっとは完成度を上げて欲しいんですけどね…。苦笑)。

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 私達が良く知る『西遊記』の物語では、牛魔王一族の重要性は非常に高いですね。
 今回のドラマでも、第一話では牛魔王が、第八話に紅孩児が登場します。
 しかし、彼らは元々家族ではありませんでした。


 “牛魔王と鉄扇公主の息子”紅孩児は、本来は炎と煙を操る妖怪。悟空同様、禁錮児を嵌められた挙句に天界で働く事になるのでも有名ですね。
 しかし、もっとも古い形の『西遊物語』が反映されているという楊景賢の戯曲『西遊記雑劇』では、少々様子が異なります。
 この『西遊記雑劇』では、牛魔王は出てきません。そして『紅孩児』は鬼子母の息子と設定され、鬼子母神の絡む説話に登場する事になるのです。

 牛魔王の妻、鉄扇公主も『西遊記雑劇』に登場します。

 また『西遊記』と同じ『四遊記』の一つ、『南遊記』では主人公の華光の妻になっているんです。

 一方、牛魔王も古い『西遊物語』には出てきたようです。『朴通事諺解』という書物にも古い『西遊物語』が反映されていますが、こちらには載っています。

 元々は牛魔王はナタク太子(←漢字が出ない)と因縁が深い妖怪です。その説話を、ある時期の『西遊物語』の作者が取り入れたのだろうと考えられます。

 つまり彼らは、繰り返されるリメイクの中で家族になっていったもの。
 今回のドラマで“家族でなくなった”のは、ある意味では『過去への回顧』なのかもしれませんね。

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 その中で胸が張れるように、これからもクオリティをあげるように頑張って欲しいと思います。





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Last updated  2006/03/01 08:53:38 PM


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