渦巻き鳥の行く末は?

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hajime1017

hajime1017

Mar 9, 2005
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カテゴリ: カテゴリ未分類
『そんな馬鹿な』

僕は思わずつぶやいていた。
流れてくる涙を必死にこらえながら、
もう一度つぶやこうとした。

『……』

駄目だ。口を開くと涙がこぼれてしまう。

何故だ。何故そんなコトになってしまったのだ。
事の発端を考えようとしたが、やがて僕はどうでもよくなってしまい
溢れ出す涙を我慢するのを止め、僕は久しぶりに人前で泣いた。



徹夜明けの僕は、昨晩から今までジンワリと傷んでいる腰をさすりながら、
ホームに流れ込む電車を目で追っていた。

『疲れた…』

我知らず言葉になってしまい、その僕の独り言に振り向いたサラリーマンの奇異な顔を見て、
自身が独り言を言ってることに気づいた。

回りくどい言い方はやめよう。
僕はごく控えめに言って、文字通り疲れていたのだ。
昨晩からmacの鍵盤、そして小動物をグリグリと虐めながら、
僕は映像の編集に夢中になっていた。

最も、それは徹夜仕事になる予定はなかったのだが、
macのテクニカルなことで知り合いのデザイナーに助言を仰ぐ電話をすると、

一周半した頃に、お互いが仕事をしながらの電話で上の空調子に拍車が掛かってきたので、
週末に飲みに行こうと、言ったまま叶う事のない、何時もの挨拶、
正にお約束を行い電話を切った。
そこで時計を改めてみて、徹夜を覚悟したのだ。

自業自得だ。

とにかく疲れていた。

それは肉体的な疲れではなく、精神的に憑かれてもいた。

僕はとりあえずイヤホンから流れる、リップスライムのリズムに身を任せながら、
開いたドアから降りる人を待ち、電車に乗り、開いてる席に腰を下ろした。

しばらくは目を瞑り、瞼の裏にうつるモニャモニャを万華鏡のように見ていたが、
飽きてしまい、ポケットからiPodを取り出し
メニュー → エクストラ → メモ と順番に選び一つの小説を選び出した。

それは僕がずいぶん前、間違いなく中学生以下だったと思うが、その頃に読んだ小説だった。
主人公の激怒から始まり、そして主人公の裸で終わる小説だった。

そして読み終えた僕は、冒頭のように涙をこらえていたのだ。

あの頃、昔読んだあの頃に感じなかった何かが、僕には感じ取れた。
やっと、僕にも古典、または文学というものが分かるようになってきたのか?

そう思いながら、帰り着いた今、ビールを飲みながらこの文章書いている。

明日は、『富岳百景』でも読んでみようかな。

そんな感じで。





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Last updated  Mar 10, 2005 01:32:57 AM
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G.D @ あえてこちらに…。 ツルモクのやつは mixiの あれ、僕です(…
hajime1017 @ どうでしょ。 &gt;&gt;としきぴ さん 僕が思うに、顔を…

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