ホスピスの日々を共に生きて～ひとり遺す家内の相談に乗ってやって欲しい

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August 4, 2017

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カテゴリ：ホスピスの日々を共に生きて～

平成２８年８月２９日（月曜日）　

ホスピス７日目（午後）

午後１時過ぎkikoちゃん来室

午前中、看護師さんとかなりの時間お話したのに、午後の見舞客のkikoちゃんとも

よくおしゃべりしました。それは会話を楽しむという感じではなく、話しておかなければ、

頼んでおかなければならない、そんな決意を感じさせるおしゃべりでした。

４回の入退院を繰り返す期間中、来てくれるという時になると入院という事になってしまい
長いこと、会えなかった事。（夫は病院で誰かに合うことを拒みました。いつも退院したら
お見舞いに来てと言っていました。）

救急車で搬送入院した時もすぐ退院できると思っていたけれどそれが長引いてしまった事。

だんだん痛みがひどくなって苦しくなってきたこと、

倒れてしまったこと、自分に対して自信が持てなくなってしまった。

高熱を出すようになって、急にホスピス転院が決まってここに来たこと、

万が一悪化がストップしたり、治ったりしないかと思ったけれど
非情だよね、だんだん病気は進む、腹も背中にも癌が広がり、腹膜、脊髄骨への転移した。
背骨の痛みは激しくなり、これだけは嫌だとおもっていたの。ストマの袋にも転移することも
在るというしね。外来の診たてもその時その時で違っていてね、表情もいいし歩き方もいいし
きっと大丈夫だよ、Ｍさん、そんなに心配することはなくてもう少し長生きできるんじゃないか
と言われて家内とふたりで喜んで、１カ月も経たないでこんなことになったものですから、・・・

（略）
ここ（ホスピス）での生活、転院するときの医者の感じではこれから、いいところ2,3カ月、
今年一杯持てば儲けもの、そういう感じかな、そういう時期に来ていて、その期間、
自分でコントロールしていけるか、自分でも情けないし、不安だけれど
そういう状況で皆さんとお別れしたいと思っている。

（略）
kikoちゃんにも大変お世話になったけれど、何のお返しもできないでね、
このままお別れするのは申し訳なんだけれど。一つだけお願いがあるの。
家内が一人ぼっちになってしまうのがそれが一番僕にとって辛いことで。心配でね。　　　
この人は強いんだか弱いんだかわからない人だけれど、これからいろいろなことで
耐えられないことがたくさん出てくると思うのだけれど、それはともかく家内の相談に
乗ってやって欲しいと思う。僕がいなくなったら相談に乗ってやって欲しい、
それだけお願いします。
この人ね、僕の前でも人の前では泣かないようににしているけれどね、毎日泣いているの・・、

（略）
キチンと正式にお願いしたいと思っていたのだけれど何かもう追いつめられる状況になって
しまい、病院から出られないんじゃないか、出かけられないじゃないか、
もう動けないんじゃないかという感じがするんだよね、

でも、此処へ来てから楽になったの、食べていないので便もガスも出ずにお腹が張って
苦しんだけれど、痛みがないという事は楽なんだよね。本当に楽でこうしてお話もできる。
でもほんとに情けない、２，３０分話すと疲れる・・・・

かなり疲れが出てきました。休むように促しました。

「あなた、少し休みましょう。おやすみなさい。kikoちゃんに一応死ぬ前のご挨拶が
きてよかったですね」と。私は冗談ぽく、明るく声を掛けましたがまた話し続けました。

「１回は退院したいし、退院できなければ２泊３日で外泊してもう少し細かなことを
片づけたいと思うのだけれど、病気はどうなるかわからないし、
外泊中に具合悪くなるという話も聞くしね。」

長い時間かかって、今までの経過と今後の私のことをいろいろ頼んでくれました。

kikoちゃんとのおしゃべりに疲れ、彼女が帰った後、しばらくふたりで休みました。

ＰＭ　５:53

目覚めるとお話ができるうちに声を録音したいと言い出しました。

「mawakoおはよう、今日も元気で過ごそうね。」　　なんか元気のない声だねといっている。
「mawako、おはよう、元気で過ごそうね。」を繰り返す。

「mawakoおやすみ、今日もありがとう。ゆっくり休もうね。」
「mawakoおやすみ、今日もありがとう。ゆっくり休もうね。」　なんか元気ないないな～。
「これで３つ入ったのか？欲張りするといいことないから」ここ迄にしておこう。

発音も昨日よりはず～っと良くなっています。唇が良くなっているので口の開閉がうまく

いくようになってきたからだと思います。

「元気ないな～」と呟きながらも今日はかなり明瞭で、挨拶の言葉を話すことができて

挨拶の言葉を残してほしいとお願いしたのですが、夫は自分の死後に妻がきく言葉として言って

いるのだろうか、それとも、今日、こんにちの二人が交わす挨拶としての言葉なのだろうかと

思いつつ聴いていました。　眠ってしまったのかと思いボイスレコーダーを片付けようとした

とき、夫が何かを言っています。

「なに？・・・」　「必ず守ってあげるから安心しなさい。」

ここ（ホスピス）では決して泣くまいと思っていたのに、私はその日も泣いてしまいました。

深夜、「mawako！」と呼んで何やら話す。声も小さく、不明な言葉が続きました。

顔つきのむくみがとれてきたためか少しやつれてきて今までの表情と違うことに気が付きました。

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