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August 9, 2017
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平成28年9月2日(金曜日) 

ホスピス11日目

夜11時半に目が覚めたが、点滴眠剤を注入してもらい、また朝までよく眠る。
5時半「おはよう」を交わす、朝の洗顔を自分から求め、蒸しタオルを渡す。


M看護主任の昨夜からのお世話を頂き安心する。歯磨き、洗浄、唇の薬をつけてもらう。
夫はM看護師を全面的に信頼し、心穏やかに安心してすべてのお世話をしてもらう。


先日の遺言を気にしており、書き直すと言う。「 大丈夫、きちんと読めるから 」というと
読めるならこれで安心、mawakoのところで保管しておいて欲しい 」と言う。







思うことが出てきたらメモを残したい 」という。ベッドの脇に紙とボールペンを吊り下げる。
早速、書きだした。

「一日24時間がいかに短いものであることがわかったのは、
恋を知りはじめの頃でした。」


「一日24時間がいかに長いものであることがわかったのは
病気で寝たきりになり動けなくなってからでした。」



「mawakoと一緒に居ると、どうしてこんなに時間が早く経ってしまうのだろう」 と言って
いた若い頃のことを思い出していたのかもしれません。

そして今は、ただただ天井を見て動けない体を横たえ一日を長く感じて生きている。
同じ24時間なのになんという違いでしょう。夫の悲痛な叫びです。


ミミズの張ったような文字でこの言葉を書いています。
仰向けになったまま書くのですからいくら達筆(文字が綺麗、美しい、上手と皆さんが
いつも言ってくださいました。)の夫であってもこれが精いっぱいの文字なのでしょう。







此処まで書いたら自分で書くのは大変なので「 mawakoが聴き取り書いて欲しい 」という。



「一本道を迷わず歩むのは難しい、だがその一本道を見つけ出すのはなお難しい。」

親や周囲に勧められ求められ、将来の期待を背負わされ幸せな生活が用意されていた彼、
若さゆえにその道を辿ることにいささかの疑問も感じなかった彼が、次第にその一本道を
生きることに悩み苦しんだ。
そして自分の信じる一本道を見つけることの難しさに一層悩み苦しんだ。
彼の生涯の苦しみが病に伏してなおも続いていたのでしょう。





「病窓の景色は無機質で私は生活感覚から遠く離れた別世界に置かれている。、
mawakoが居なければ死の世界だ。」


窓に映る空を見て私はよく声を掛けました。
「今日の青空はどこにも雲が見えないくらい」
「今日の空にはきれいな白い雲がいっぱい」
「入道雲のような雲が出てきたね」
夫のベッドの位置から見える空は小さな狭い視界でしたが、夫にはそこには生の歓びは
なくなっていました。


「9時半になったら月を眺めてデートしようね。」約束を交わした別離の生活が続いた頃から
空のこと、雲、月、星のこと、レター、会話の中によく出てくる言葉でした。
「上弦の月が美しい夜です」
「どこまでも広がる紺碧の空が美しい、そちらの空の色とは違います。」
必ず彼のレターには空、月、星、雨、雪、風、のフレーズがありました。

そのフレーズは結婚してからも私たちの生活の中に生きていました。
それらの自然は私たちの生活感覚を豊かにしてくれるものでした。
それなのに、空や雲を眺めてもそれは無機質でありすっかり生活感覚もなくなってしまったと
いうのです。妻が居なければそこは死の世界だというのです。




「mawakoがミカンを食べるのを見て私も体中、
全身幸せいっぱいになった。」


お見舞客が「本人は食べられないのに、持ってきてごめんなさい。」と恐縮しながら置いて
いってくださる果物やお菓子を喜んでくれました。

自分では口から何一つ体に取り入れることができなくなっており、水さえ飲めない状況で
ありながら妻がミカンを食べるのを見て幸せいっぱいになってくれているのです。

rainこの続きはまた次回にします。rain



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Last updated  August 9, 2017 02:08:43 PM
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