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写真の日記です

2023年01月15日
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テーマ: つぶやき
今から20年くらい前、生死を彷徨いながら心を閉ざして生きていた頃、わたしを拾ってくれたよーくんと横浜で暮らすようになりました。

見知らぬ街で自分を誰も知る人のいない生活は、異世界に放り出されたような感じで、自分が今を生きている実感はありませんでした。
そんな時にアパートの近くで酒屋さんを営まれていた大家さんご夫婦に、わたしはたくさん助けていただいていました。
人を信じる事もできなかったわたしが、新しい世界で初めて信頼できた方でした。
ご夫婦には息子さんがいらっしゃり、女の子はいなかったせいか、わたしを娘のようにかわいがってくれました。
毎日のように酒屋さんに寄り、大家さんの顔を見てちょっとお話をする事でとても安心できました。
カラダの不具合も多かったわたしに、整体院を教えてくださったり、お酒についてるノベルティをくださったり、いろんなお話をたくさんしてくださいまいした。
奥さんのしずこさんは、たまにアパートに寄って下さって、だんだん植物だらけになっていくベランダとお部屋を眺めては、ご自分も植物がお好きな事を話してくださいました。

時が流れて酒屋さんはコンビニになりました。
その頃にはわたしもこの街にずいぶん慣れて、ご近所の方とご挨拶もできるようになっていて、どうにかパートで働けるほどに心身が回復してきていて、大家さんとお会いする機会も少なくなっていきました。
ご主人はその頃から糖尿病を患っておられ、ご実家で高齢になったご両親と住むことになり、遠い千葉へ引っ越されました。
いつしかご夫婦二人暮らしになられ、ずっとお会いしたいと思っていたわたしは、一人で千葉のご自宅へ伺える機会がありました。
ご主人は透析をされていて少し認知機能も低下され、しずこさんの負担はとても大きかったご様子でしたが、その日は三人でお蕎麦を食べに行って楽しい時間を過ごす事ができました。
日帰りでほんの少ししかお話しする時間が無かったので、次はよーくんと二人で泊りがけで行く約束をしていましたが、その後すぐにコロナ禍になり約束は叶わなくなってしまいました。
それからも電話やお手紙でしずこさんとはずっとやり取りをしていました。
にぎやかな横浜でお店をしていた頃を思い出すと、周りに何もないところで一人でご主人のお世話をしながら毎日を過ごす事は大変な事だろうと思っていました。
ご主人を看取られた後、息子さんが一緒に住まれるようになり、ご自分も癌治療を続けられていました。
息子さんは毎日毎日、食事を作って身の回りの世話をしておられたようで、電話でいつもやさしい息子でありがたいと仰っていました。
息子さんとわたしは直接お話しする機会はありませんでしたが、ご主人の後を継がれて大家さんになっていらしたので、わたしの電話番号はご存じのようでした。

わたしはZOOMの研修中でしたが、「わたしもお話したいです」と返事を送り、息子さんとラインでお友達になり、電話を待ちながら研修を受けていました。
そして研修がちょうど終わる頃、ラインの着信があり、息子さんのお顔を拝見しました。
しずこさんは息を引き取った後でした。
静かに眠っていらっしゃり、息子さんは気づかれなかったようでした。
ラインをつなぎながらふたりで泣きました。

きっと最期にしずこさんが、息子さんとわたしを繋いでくださったのだと思います。
この冬はかなしいことが続き泣いてばかり。
そしてまたお一人、お手紙を書ける方がいなくなってしまいました。
年を取って泣いてばかりいるのは、若い頃に命を粗末にしたわたしに、カミサマが命の重さを教えてくださっているのかもしれません。





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最終更新日  2023年02月14日 09時59分08秒


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