Happy child happy life

桜島

桜島

 故郷には今でも地球の鼓動を感じる
桜島
という、活火山がある。

 海の近くに住んでいて、
いつでもこの山に見守られて成長してきた。

 誰かに優しくできたとき、
文化祭が成功して喜びを噛みしめたいとき、
お付き合いしている相手と静かに語り合いたいとき、
必ず、桜島の見えるテトラポットまで行った。

 受験に失敗したとき、
友達のお父さんが亡くなったとき、
あたしの未来が深い霧で覆われたとき、
必ず、自分と向き合うために海辺に行く。

 ここから昇る朝日に勇気付けられ、
この山に照らされる夕日に未来を夢見た。

 あたしが、呼吸をするように、
桜島は毎日異なる噴煙を上げ、
あたしの心臓が動くように、
桜島は爆発を繰り返す。

 あたしはきっと一生この山に見守られ、
思い続けて生きていくのだろう。

 家から歩いて20分。
本当の自分でいられるときは、
桜島と向き合っているときだけなのかもしれない。


郵便ポスト

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