少年犯罪と毒親の影響 ~私の知り合いの刑務官の悩み~
とても真面目で気さくな方でしたが、凄く仕事に対して情熱を持っていました。
少年が犯罪に走ってしまう原因の大半は家庭環境にあります。
両親が不仲だったり、子供に関心がない、逆に過保護すぎたりと…
本来、家庭とは心が安らげる“ホッとできる場所”だと私は思います。
しかし、家に居場所がないと感じる子は外へと居場所を求めるようになり
過保護すぎる親の元で育った子供は家の中で殿様になります。
少年犯罪の再犯率は成人より高い
私が子供の頃に住んでいた家の近所にいた男の子の話をしたいと思います。
その男の子(仮称A君)は私の2つ下で、6歳上の姉と両親の4人家族でした。
A君は子供の目から見ても両親に甘やかされていたと思います。
子供同士の喧嘩(どう見てもA君が悪いのですが…)
「うちの息子をいじめるな!」
と怒鳴りこむ。
まあ、今で言うモンスターペアレントて奴です。
こうして育ってきた子供は我慢を知らず、狡さが際立ってきます。
そして、両親が思い通りに動かないと殴る蹴る。
成長してガッシリした体格になった息子に両親が勝てるはずもなく…
母親が肋骨骨折で入院したこともありました。
親子間の暴力は例え警察を呼んだとしても、親自身が被害届を出さない限り逮捕されることはありません。
でも、親の方は『自分の子供を犯罪者にしたくない』という思いと
『釈放された時に報復されたら…』という思いから被害届を出さないのです。
このA君の場合
の元で育っています。
でも、前の投稿で話した4タイプの毒親を持つ子供とは自己肯定感の低くなり自分に自信が持てずに苦しんでる人が殆どです。
しかし、A君の場合は自己肯定感しかありません。
悪いことしたら𠮟る
これがなかった彼は自分のやることは全て正しいと思い込んでしまいます。
中学卒業後は家に籠って親にお金をせびる生活を送っていましたが、50半ばを過ぎた現在は未亡人の姉と30代の甥の稼ぎをあてにして…
というか、姉と甥の稼ぎを自分のものとして使ってのです。
給料日には姉と甥の家へ行き、給料を全額差し出させます。
差し出さなければ殴る蹴るを繰り返す。
A君は自分が世間に受け入れられていないことは分かっているようで、自分のやってることを正当化するために噓を重ねます。
ちょっとした知識を持っていれば直ぐにバレる噓なんですけどね(笑)
彼が生きてきた人生の中で先生や近所の大人などがA君を𠮟ったことは過去に何度もありました。
それこそがA君を更生させるチャンスだったと私は思います。
それをことごとく潰したのは他ならぬ両親。
昔のことですから自衛隊が迎えに来たこともありました。
この時には既に両親に手を挙げていて、A君を持て余してしたので両親は送り出したようです。
しかし、ぬるま湯の中で育った彼は勝手に戻って来てしまいました。
その度に上官が迎えに来て連れ戻します。
そうこうしているうちに3年間を自衛隊で過ごし19歳で除隊。
自宅に戻ってきました。
A君が留守の間に両親も彼がどうしてああなってしまったのかを考え自分たちの行動を省みていれば、その後の彼の人生は変わったかもしれません。
しかし、A君が自衛隊から帰ってきた後も以前と同じように接していたようです。
A君が元の暴君に戻るのは『あっという間』でした。
そして今は姉と甥からお金を巻き上げているのです。
あるイベントで知り合った少年院の刑務官が嘆いていました。
犯罪を犯して少年院へ来た子の殆どが家庭に問題を抱えているそうです。
刑務官は少年院に来た子供たちを更生させるべく、真剣に1人1人と向き合い、話を聞いて寄り添うようにするそうです。
そして更生プログラムを元に再犯を防ぐようにしています。
自分の過ちに気づき「もう悪いことはしない」と約束をして出所するのですが、未成年が戻る先は家しかありません。
刑務官も受刑者の気構えは変えられても受け入れる家の中までは変えられないのが現状です。
とても『もどかしい』と悩んでいました。
A君のことも同じだと思うのです。
自衛隊から帰って来る時までに親の心構えを変えられていれば彼の人生は違ったと…
現在のA君は自分で働かずにお金を得る方法だけを考えています。
例えそれが世間的に見れば間違っていても彼にとっては正解。
そのように歪んだ常識を誰も正さなかった。
誰もが腫れ物に触るように接し、報復を恐れ見て見ぬふりをする。
A君の両親は幼い頃から部落差別による迫害を受けてきました。
その背景から『子供をバカにされるてはいけない』と彼らなりに必死になって守ってきたのでしょう。
毒親の背景には根深い時代背景も関連していると私は思うのです。
A君と会う機会があれば彼と話して、少しずつでもいいから歪んだ彼の常識を変えてあげたいと思っています。
彼自身も過保護な毒親の被害者ですから。
最後まで読んでくださりありがとうございました。
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