October 26, 2005
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２０００年 日本
僕は急いでいた
取引先のトラブルで納期までに商品の数が揃わないとの連絡を受け
急遽 熊本から大阪の本社へと車を走らせていた。
台風の影響で空の便も陸路も多大な被害を受けており
復旧のめどはいまだたっていなかった。
不眠不休で車を走らせて
スムーズに行っても往復12時間。
なんとか間に合うかギリギリのところ
なのに 高速道路は渋滞していた。
さっきからのろのろ運転もいいとこ
これなら車を降りて走った方が早いくらいだ
ﾗｼﾞｵから事故の為渋滞とのﾆｭｰｽ
最悪。
よりによってこんなときに。。。
少しイラついて
普段めったに吸わない煙草に手を伸ばしたその時
勢い良く視界に飛び込んで来たのは
純白のウェディングドレスに身をつつんだ女の子
突然のことに僕は急ブレーキを踏んだ
僕があっけにとられている間に
彼女は助手席にすべり込んできた
「お願い！！ かくまって！！」
？？？？？？？
その途端車が流れ出す
「早く車出して！！！」
鳴り響くクラクションで我に返り
とりあえず車をスタートさせた
バックミラーに黒服の男達をかすかに確認したものの
状況が飲み込めず
僕はただスピードを上げていった
バックミラーと助手席を交互に
横目でチラチラと見ながら
黒服の男達が乗っているらしき車が追ってこない事を確認すると
なぜかほっとして
火をつけずくわえたままにしていた煙草の味がよみがえった
ひと息つけてもう一度助手席に目をやる
彼女はだまりこんだままで
そして少し震えているようだった
一瞬
この状況は夢なのかと思ったが
会社からの電話で
一気に現実に引き戻される
どうやら納期に少し有余が取れたらしい
電話を切るや
すぐさま彼女が口をひらいた
「お願い。。。このまま このまま 一緒につれて行ってください。。。」
祈るように僕をみつめ
そして涙声だ。
僕は正直いってめんどうな事には首をつっこみたくなかった
誰だってそうだろう。
高速道路で
しかもウエディングドレス姿の女の子
その彼女を追う黒服の男達
なんて
ちょっと
いや
かなり尋常じゃない
ドラマや映画じゃあるまいし
どう考えても
ふつうじゃありえない
そもそもなんでこの子追われてるんだ？
社長令嬢か？
それともやくざの女とか？
そんなつまらない想像しか浮かばない自分に
少しイラついていると
また 携帯が鳴った
大阪の本社からだ
準備が整ったので急いでほしいとのこと
しかたなく僕は
「ひとまず 仕事あるし かなり急いでるからあとでちゃんと説明して？」
とだけ告げた
彼女はだまったままうなずき 聞き取れないほどの小さな声で
「ありがとう。。。」
とだけ言って窓の外に目をやった
台風のあとの晴れ間に
夕日が一層まぶしく輝く中
僕は更にスピードをあげた。
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