October 28, 2005
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「ほら これに着替えて
そんな格好じゃ目だってしょうがないよ」
僕は高速道路を降りて、最初に見つけたショップに立ち寄った
このままあと数時間
ウェディングドレス姿の女の子と行動を共にする勇気は
とてもない。
「とりあえず時間もないし なんでもいいよね？」
僕は適当に選んで会計をすませ
彼女をフィッティングルームにおしこめた
その間 僕が、 店員をはじめ まわりの好奇の目にさらされたのは
言うまでもないが。。。
着替えながら彼女は
「このドレスどうする？ ここにあげちゃう？」
ちょっと楽しげだ
僕の気も知らないで。。。
「いいから 急いで！ それは君のだから好きにしてかまわないよ」
カーテンの間から顔をのぞかせて彼女は
「じゃまだから このままおいてく！！」
それだけ言うとさっさと着替えを済ませて出てきた。
「この服に この靴は変だよ ね？」
いたずらっぽく笑って彼女は
ドレスを抱えそのままﾚｼﾞｶｳﾝﾀｰに進んで
なにやら交渉を始めた
僕が後を追って着く頃には
新しい靴を片手ににっこりと彼女は振り返った
「ドレスと靴と交換ね♪」
「行きましょう」
店長らしき女性にありがとう！！と愛想よく言って
僕の手を引き店を後にした彼女は
「おなかすいた よね？」
と満面の笑みで覗き込んで
そのまま通りの向かい側にあった定食屋に。
席につくなりお冷を注ぎながらさっさと僕の分も注文をすませ
「さっき あなたが服を選んでるときにここに決めてたんだよ」
「そ そう。。。」
「それと これも♪」
言いいながら周りを見渡して
誰も僕たちを見てない事を確認すると
彼女は少しまとまったお札の束を差し出した
「これ。。。どうしたの？」
あっけにとられる僕に
「さっきのドレスね あそこの店長さんがお気に入りのブランドの
１点もののアンティークだったらしくって♪」
「これも僕が服を選んでる間に？」
「そう！」
強く何度もうなずく彼女
「そうって これ かなりな額だけど。。。」
「これでわたしを数日かくまってください お願いします」
両手を顔の前で合わせるしぐさをして。。。
強く目を閉じた
考え込んでしまって
だんまりの僕に
しびれを切らせたのか
彼女は片目だけ開けて僕を覗き込んできた
そのしぐさと、彼女の表情が
まるでゲームを楽しんでいるだけのような
そんな錯覚に僕を落とした
そして、僕には拒否権はないのだな
そう思わせるには充分だった
コップの水を一気に飲み干して僕は
「わかった
でもそのお金はしまって きみのものだよ
早くしまって ほら
もう 料理が来るよ」
言い終わるや否や
彼女はこれ以上にないくらいの笑顔で
席を立って僕に抱きついてきた
「カムサハムニダ！！！ ありがとう！！！」
彼女の勢いにつられて僕も思わず立ち上がってしまった
って え？！
今 韓国語 じゃなかったか？
その思いをかき消すように
ありがとうと何度も繰り返す彼女
聞き違いか？
それよりも
また
店中の注目。。。。。
１組の親子と２～３人の男性客しかいなかった事が救いだ
ちょうど料理を運んできたおばちゃんに
「仲のええことで こんなかわいい彼女大事にせな あかんで！」
とにっこり笑ってぽんぽんと肩をたたかれてしまった。。。
そこへ店のご主人までが「おめでとう！！兄ちゃん！！！」
なんて言うもんだから 数人いた他の客までもが拍手＆声援
彼女も調子にのって
僕に抱きついたままﾋﾟｰｽｻｲﾝで答える始末。。。
何か誤解が生じているのは一目瞭然だったが
もう否定する気力もなく
「ど どうも。。。」
それだけ言うのが精一杯だった
「わかったから ほら 食べよう！ 冷めてしまうよ？」
彼女を席につかせ
「いただきます！！」
といつも出さないくらいの大声で言って
恥ずかしさと
大変なｺﾄに首をつっこんでしまったんじゃないかという
不安を打ち消すため
僕は食事に集中した
僕が 食べた気がしなかったのは言うまでもない。
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