姫君~家族
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今日は「パーク・ライフ」吉田修一/文春文庫です。 この作品は第127回芥川賞作品です。 物語の展開は単調で特段盛り上がる場面はなかった。 しかしながら、こういったおとなしい小説も人の心に何かしら訴えかけてくるものがあれば、小気味よく何かが響くものです。 舞台は日比谷公園。ベンチに座っていると一人の女が話しかけてきた。「あなたには何が見えますか?」。 その女は僕が地下鉄の中で何気なく話しかけてしまった女だった。 …ここから日比谷公園が舞台の二人の男女のささやかな物語がはじまります。 前述のようにダイナミックな展開はありません。 でも、実にいい感じ。 むかし、僕は新宿区の下落合にある宮田橋公園というところで、この物語と似かよった経験をしたことがある。 その公園は神田川沿いの本当に小さな公園で地元住民のとおり道となっているようなところ。 あんなに小さな公園だったが、春には桜が咲き乱れ、夏にはセミが騒ぎ、秋には枯葉が舞い、冬は寒風吹きすさび、毎日行っていても目に見えて四季の変化を感じることができる公園だった。 その公園にはノラ猫が10匹ほど住み着いていた。 猫たちを快く思わない住民もいたが、毎日えさをやり、猫が汚したものを掃除し、決して付近住民に迷惑がかからないように日々活動している人達がいた。 僕はその一人だった。 ある年の4月半ば。僕が勝手に決めた僕の指定席のベンチに一人の女の子が座っていた。 …かわいいなぁ。でも邪魔だなぁ…そんな勝手なことを思いながら、指定外のベンチに座り、病気の猫に薬を飲ませるため餌の中に薬を埋め込んでいた。 視線は感じていた。僕は、女の子が僕の様子を伺っていることに気がついていた。 チャンス!ナンパしちゃおうかなぁ…と思う反面、ノラ猫に餌をあげることに反対する人も多かったことから、何か聞かれたら嫌だなぁ…そんな気持ちにもなっていた。 予定通り病気猫に薬入りの餌を食べさせたあと、思いがけず女の子が声をかけてきた。 「いつも猫の面倒を見てるのですか?」 そこからその子と僕の物語ははじまった。 これは実話です。果たして結末はどうなったでしょうか。 今回採りあげた「パーク・ライフ」のようになったのでしょうか。 それとも…。 僕の話はいいとして、機会があったら「パーク・ライフ」を読んで、心を茜色にしてください。【楽天ブックス】パーク・ライフ
2005.04.09
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