本作以前の Primal Scream については、フロント・マンの Bobby Gillespie が Wake や Jesus & The Mary Chain のメンバーだったと言うこともあり、John Lennon を想起させるバンド名とも相俟って興味半分で聴いてはいましたが、なんともゆるーい感じのガレージ・ロックだなぁ、と言う程度の感想しかなく、のめりこむまでには至りませんでした。それが・・・。
それが一体どうしたことでしょう。前 2 作の余りの不発振りにキレてしまったのか、突然の大変貌。キーワードは Rolling Stones とハウス・ミュージックでしょうか。"Beggars Banquet" ~ "Let It Bleed" 辺りの Stones の楽曲にゴスペル・コーラスをぶち込んでハウス・リミックスしたようなオープニング "Movin' On Up" がいきなり強烈です。"Come Together" はタイトルは Beatles ですが、1 曲目同様コーラスを配して静かな出だしから徐々に高揚し圧倒的な絶頂へと向かう様は正に Primal 版 "Salt Of The Earth"、もしくは "You Can't Always Get What You Want" とでも言った趣き。普通の(?)バンドならばアルバムのフィナーレに持ってきそうな曲なのになぁ、とその捻くれ具合に妙に感心。"Loaded" はまんま "Sympathy For The Devil" だし、続くピアノの響きが印象的な、 "Exile on Main St." に入っててもおかしくなさそうなバラッド "Damaged" では、当のアルバムのプロデューサーでもあった御大 Jimmy Miller を担ぎ出してくると言う念の入り様。
このように各々の楽曲も面白いのですが、オリジナル・アルバムでありながらリミックス・アルバムでもある、と言う凝った趣向がロックでありながらダンス・ミュージックでもある本作の成功の鍵なのではないでしょうか。一方で女性ヴォーカルをフィーチャーした "Don't Fight It,Feel It" やインストゥルメンタルの "Inner Flight" を聴くに及んで、プロデューサーたる Andrew Weatherall や The Orb の手腕は認めつつも、果たしてバンドとしての実体はあったのか、とやや疑問も残りますが。
【Track Listings】 01. Movin' On Up 02. Slip Inside This House 03. Don't Fight It,Feel It 04. Higher Than The Sun
06. Come Together 07. Loaded 08. Damaged 09. I'm Comin' Down 10. Higher Than The Sun - A Dub Symphony In Two Parts - 11. Shine Like Stars