千曲川が育んだ深い谷・・・



青春旅行のつづき・・・

野沢温泉では街中を散策しながら立ち寄った民芸茶屋?で、イオウの臭いがプンプンする『温泉たまご』を食べました。

「おにいさん、一人かい?」

物珍しそうに、一口かじってはたまごを見つめる。そんな青年をカウンター越しに見ていた民芸茶屋のおばさんが・・・話しかけてきたんです。

「ええ・・・」
「地元の息子さんじゃぁ、なさそうだねぇ」
「はい、静岡から来たんです」
「そう そんなに遠くから・・・」
「そりゃー 大変だぁ」
『た、大変?』(^^;

民宿のおじいさんや、温泉の湧き出る共同の洗い場で野菜を洗うおばあさん達、民芸茶屋のおばさん・・・ みんなきさくに話しかけてくる♪

自分探しの旅の二日目に『人』の温かさを感じた散策でした。

午後は遅いお昼に『信州そば』を食べました。静岡生まれの青年には『信州』と『そば』の響きにいたく惹かれ、パイプイスがとっても似合う食堂でお汁が少しぬるい延びたそばを啜りました。

『これも旅の思い出になるのかな?』なんて考えながら、越後湯沢へ向かうため千曲バスに乗って飯山線は戸狩野沢温泉駅へと向かいました。

鈍行列車の中は平日ということもあって、閑散としていました。ただ、人気の無い駅から腰の曲がった老人や学校帰りの子供達が、列車のドアを手で開けて乗り込む姿をじっと見ていたんです・・・。

飯山線の列車は、その扉は自動では開きません。これは季節の関係からか室内の暖気を逃さないために自動で開かないようです。
これは信州へ越してきて分かったことなんですが、こうした冬時期の列車はどこの線路でも飯山線同様、自動で開かないようです。因みに飯田線(豊橋~辰野)もそうでした。

曇りガラスを手で拭う・・・

拭った先に見える外の景色は眼下に千曲川が流れ、雪深い谷間を縫うようにディーゼル列車は静かに走ります。

『気さくな人達だったよなぁ・・・』

曇りガラスに頭を預け、そんな『人』の温もりを思い出していた17歳の青年はレールの継ぎ目を通る規則的な音を子守唄に、いつしか深い眠りについたのでした・・・。

どのくらい寝ていたのか・・・


ほんの少しの時間だったかもしれない・・・

静かに目を開けた青年は再び窓ガラスを拭った後、その先に見える風景に圧倒されたのでした・・・

それは先が見えないほど降りつづく 雪、雪、雪・・・

もうしわけない程度に見ることのできる山々は、沢山の雪で覆われていました。(@ @;

『あぁ これだ、この風景が見たくてここまで来たんだ!』
『・・・・・』
『・・・・・』

言葉をなくし、じっと外を見つめる青年・・・

「森宮野原~ 森宮野原~」
「次は森宮野原~」

と車掌のアナウンスが車内に流れます。そうここは日本有数の豪雪地帯、長野県下水内郡栄村・・・

新潟県との県境に位置する雪深い静かな駅・・・



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