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2006.02.12
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カテゴリ: ★★★★☆な本
モルヒネ
会うべきではなかった。再会は私とって過ちでしかない。彼は私を求めた。恋人としてではない。死の伴侶として自分によく似た女を誘いに来た。彼を殺して、私もあとを追えばいい。ふたり分、たった二〇〇ミリのモルヒネと一本の注射器をたずさえ、どこか、誰も私達に干渉しない土地に行き、少女の頃からの念願をかなえたらいい。ヒデと手をつなぎ、やすらかな死者の列に連なるためー


<感想> ★★★★☆

著者の安達千夏さんは、98年『あなたがほしい』ですばる文学賞を受賞。

時々アンソロジーで作品を見かけますが、出版されている本は本書を含めて

三冊、寡作の作家さんです。

さて、作品の方ですが、冒頭から児童虐待で姉が父親に殺されてしまうとい

うショッキングな幕開けです。 主人公は医師夫妻の家に引き取られて医師

になりますが、そこに余命いくばくもないかつての恋人が現れるという筋立

てです。 こう書いてしまうと陳腐でご都合主義に感じるかもしれませんが、



死という概念が作品全体に緊張感を与えています。 加えて独特の静謐な文

体。それらが相俟ってベタな筋立てを一級の文学作品に仕上げているのは見

事です。 死を目前に婚約者までいる主人公のもとを訪れるかつての恋人の

真意がなかなかつかめませんが、最後まで読むとその真意がなんとなくつか

めるようになっています。 一人称語りなので、心を揺さぶられる主人公に

感情移入して読むのが王道だと思いますが、男性(恋人)の立場に立って読む

とこの作品の良さが理解できると思います。

ただ、すげぇ~暗い作品なのであんまりオススメはしません(汗)





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最終更新日  2006.02.12 17:20:38 コメント(12) | コメントを書く


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