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忘 れてしまってはいませんか? あの日、あの場所、あの人の、かけがえのない思い出を。東京・下町にあるアカシア商店街。ある時はラーメン屋の前で、あると きは古本屋の片隅で----。ちょっと不思議な出来事が、傷ついた人々の心を優しく包んでいく。懐かしいメロディと共に、ノスタルジックに展開する七つの 奇蹟の物語。
<感想> ★★★★☆
著者は、昨年 花まんま
で直木賞を受賞した朱川湊人さんです。 もともとは
ホラーの作家さんらしいのですが、私が読んだ二冊に関してのみ言うなら人
情系ホラーファンタジーというところでしょうか?ヘタな説明で申し訳ありませ
んが、やはり直木賞を受賞した浅田次郎さんの 鉄道員(ぽっぽや)
をイメージ
していただければ間違いないと思います。
さて、本書は連作短編で時代背景は多少前後しますが、昭和39年~50年ご
ろだと思われます。 狂言まわし役である古本屋のオヤジさんのキャラも立って
いるし、音楽や風俗など時代がたっぷり折り込まれています。 この時代背景に
ピンと来た方ならページをめくるたびに懐かしいあの日に帰れるはずです。
『花まんま』では大阪が舞台になっていましたが、本書の舞台は東京下町です。
舞台を丁寧に描くというのもこの二作の優れている点ですが、それこそがこの
二作の最大の違いだと思います。 音楽にたとえれば『花まんま』が南部黒人
の悲哀から生まれJAZZやR&Bの基礎となったブルースで、本書は民俗音
楽から派生して都会人好みの音楽に変化して行ったフォークソングという感じ
です。 読む比べてみると面白いと思います。
涙腺のゆるい方はハンカチのご用意をお忘れなく・・・・(笑)
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