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2007.05.25
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カテゴリ: ★★★★☆な本



<感想> ★★★★☆

本書は、ローレンス・ブロックが描くマッド・スカダーシリーズの15作目です。

ネオ・ハードボイルドに分類される本シリーズの特徴は舞台であるニューヨ

ークと主人公の内省がよく描かれている点だと思います。 

ただ 「私はアル中です」 のひとことで終わった三作目の『八百万の死にざま』

をピークにマンネリ気味の感が否めないのも事実です。 

個人的には、元警官のアル中探偵だった主人公が健全になるに連れて、



うな気がします。 少し高いところに身を置けば、俯瞰で全体像が見えて

くるわけですが、逆に言えばその街角で暮らす人々の息づかいを感じること

は不可能になってきます。 

さて、そんな読者の嘆きを知ってか知らずか、本書では今まで読者の唯一の

視点だった主人公の一人称語りに加えて、犯人の一人称語りが度々出てきま

す。 後者の一人称語りが秀逸で、このシリーズでは皆無だったサスペンス

の度合いが強くなっています。 ちょっとと言うか、かなり中途半端なカタ

チで終わっていますが、昨冬に翻訳版が出た16作目の『すべては死にゆく』

に続いているようです。 

今までの作品と比較すると若干色合いが違いますが、及第点をつけて差し支え

ないと思います。 






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最終更新日  2007.05.26 00:02:59 コメントを書く


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