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コック氏とは、職場で挨拶をすっる程度、
仕事はホールと厨房とで何時も協力しあう体制のまま日々は過ぎた
回数は減ったとは言え
時たま向けられる他のコック等からの冷たい態度に
まごつく私を何かと気を掛けてくれる事だけは感じ取っていた
やっぱり良い人・・思いは募って行った
有る日帰りのバスに共に乗り合わせていると、
一つ早い停留所で彼は下車した。
走り去る車中から目で追うと、とある喫茶店に入っていった
その後も、時折そこに行っているようなので
休日、その喫茶店に何気を装い入ることにした
果たして、、見回すと、入り口から右に入った突き当たりの
幅広い壁の前のテーブルで文庫本に目を落としていた。
狭い喫茶店だ、、駅前のせいか?人はひしめいていた
私はそこより比較的出口よりのカウンターに席を見つけ
人と人の間に肩を沈め、同じく文庫本を小さく広げた
コック氏は、長いこと本を読んでいた・・・
私は気が落ち着かず、字も目で追えなかったので
少しも楽ではなかった、
気づかれたい、気づかれたくない、相反する思いに
胸は締め付けられていた・・
そのうち、コック氏は店を出て行った
長い間丸めていた背を伸ばし、緊張を解きながら
一抹の 寂しさを味わっていた、この先どうしよう・・
次の週も、次の週も休日はそこにコック氏はいた
何時も見慣れた白衣ではなく、ぴっちりとしたスラックスにブレザー姿
ど近眼のような眼鏡、仕事の時ははずしているのね、
休日行って、コック氏が居ない時もあった
そんな時はリラックスして、店のウエイトレスさんと
会話をするようになった、有線でよくカーペンターズが流れていた
私もファンでレコードを持っていたので私が此処で過ごす時
レコードを掛けさせてもらえないでしょうか?とお願いをすると
快諾してくれた、優しいお姉さん、髪型からメイクの感じは
クレオパトラのような人でした。
有る休日もお忍びの忍者よろしく出没した私・・
店内を見回したがコック氏は居なかった、
その日は何故だか、グーと思いが募り
どこかで出会うかもしれないと思うとじっとしているのも
もどかしくそそくさと店を出てしまった
大きな、大きな、本川越駅前スクランブル交差点
人々は足早に縦横無尽に歩き大きなうねりが出来ていたが
私は、向かう場所もなくその中をとぼとぼと歩いた
何歩か歩いては、ひょっとして入れ違いになったのかもと
恨めしそうに、喫茶店の入り口を振り返り、
また前を見てと言うような歩き方をしていた
交差点を渡りきった時、気持ちはもう家に帰るつもりになっていた
振り返る事ことなく前を歩き出した時、
肩に痛いくらいの衝撃があり 反射的に振り返る
私の肩を叩いた主は、コック氏であった!
私の行動の何処からを知っているの?!
固まってしまったが、やっと思いを遂げたと言う安堵感も感じていた
時間も早かったので、池袋へ行こう!と連れ出された
電車の中でコック氏は私に無遠慮な大あくびを繰り返し
私に女性としての興味の無いそぶり丸出しであった
池袋東口に着くと丁度昼頃だったので
洋食レストラン、アマエリエンボーンと言う所に連れて行ってもらった
そこで、仔牛のステーキのご馳走を振舞われたが
慣れぬテーブルマナーに気をとられ味の記憶は残らなかった
その後、池袋の街を歩き、地下喫茶店に入り(今は無き蔵王)
また街を歩いた後、
東口の寂れた小さな公園のブランコに二人腰掛けていた。
ふと、見上げるとビル郡の中に、いわゆる連れ込みホテルが!!
ほとんど目の前であったので、思わず息を呑んでしまった・・
その様子を見て、すかさず、一言 コック氏は言った
行ってもいいんだよ・・・
それは、何も、いかにも早すぎた言葉で、
私が悲しい顔をしたのかな?
コック氏はニヤッと笑ってさあ帰ろうといった
時間は、まだ 2時ごろであった
帰りの電車に中でも、交わす言葉は無く
コック氏は大あくびを繰り返していた・・
私のほうが、二つ三つ降りる駅が早かったので
ちょこんと挨拶をして電車を下車した
最悪な初デートに私は泣いて家に着いた
しかし家につく頃は、
男性と外出だなんて家族に知られたくない一心で
頬に涙は無かったはずであった。
【2007年05月14日原文のまま】
http://www.youtube.com/watch?v=b2O9jL034ik&feature=related
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