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2005.06.13
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カテゴリ: 邦画
ローレライ




 ガメラの特撮スタッフや、有名なアニメ作家など、様々な才能が集結して製作された映画。

粗筋

第二次世界大戦末期。広島に原爆が投下された。次の原爆投下も間近だという。
 日本政府は、それを阻止する為、ドイツから密かに運び込まれた索敵システム「ローレライ」を搭載した潜水艦を送り込むことに。ローレライというシステムは、ほぼ完璧に敵艦の位置を捕捉できるという。しかし、ミッションに使われる艦船は潜水艦一隻のみ。この無謀ともいえるミッションに任命されたのは、はみ出しものとして左遷されていた者ばかりだった……。


感想

このローレライという索敵装置の中枢については、散々語られているので、隠す必要はない。だから言ってしまおう。
 超能力を持った美少女だ、と。
 この「オタクアニメかよ?」と疑いたくなってしまう設定については、劇場に入る前に知っていたので、覚悟はしていたんだが……。
 本作品の最大の問題点は、製作スタッフ全員の「面白い映画を作ってやるぞ!」という意気込みが開始時点で銀幕からビンビン伝わってきて、観客側に「さあ、面白い映画を観てやるぞ!」という気にさせるものの、開始からたった数分で製作スタッフの意気込みが空回りしているのが発覚してしまうこと。
 最初に、日米の海戦のシーンが流される。ここの米軍側の船員の台詞(無論英語。字幕になっている)は、日本人スタッフが準備した日本語の脚本を下手な翻訳家が翻訳し、それを三流外国人役者らに棒読みさせている、といった感じで、物凄く不自然だった。普通の日本人には「さすが外国人が喋る英語は凄い!」と映るのだろうが、個人的には「英語圏の連中には恥ずかしくて見せられやしない」といった演技だった。
 原作は文庫本で4冊にもなる大作。映画は2時間程度。当然ながら、無理が出る。
 本作は、米軍による原爆投下を阻止する為だと思っていたミッションが、実はローレライをアメリカに引き渡す陰謀だった、ということになっているが、この部分が説明不足で、何が何だか分からない。ミッションを計画した浅倉大佐という人物は、ローレライをアメリカに引き渡すのだから、アメリカ側についているのか、と思いきや、アメリカに降伏しようと考えている軍上層部には反発していて、アメリカと交渉しようと考える者を殺害してしまうのだ。しかもアメリカ軍による東京の原爆投下を容認しながら、「新しい日本の為なのだ!」と力説する。結局浅倉大佐は何を考えていたのか。正直、この陰謀部分を完全に割愛し、「潜水艦が原爆投下を阻止する!」という単純明快なストーリーにしていたら、迫力あり、分かり易い作品に仕上がっていたのに。
 また、登場人物の大半は省ける。妻夫木聡演じる潜水艇操縦士の友人で、なぜか犬死にする若者は結局何だったのか。そもそも妻夫木聡もストーリー全体に貢献すると思えず、単に女性客の呼び込みを狙って加えられたと思われる。
 必要とされるキャラも、印象付けの為か、小物がやたらと多い。艦長の腕時計、機関士の酒、軍医のライカ、副長のあやとりなど。役者の顔立ちが似ていて見分けが付き難い、というのならそれらもいいが、見分けが簡単に付くので、演出臭くなってしまっているだけ。
 第二次世界大戦末期、という設定になっているが、クルーの髪型や服装はどう見ても昭和っぽくない。それは超能力少女パウラの顔立ちや服装も同じ。時代考証が水戸黄門並みなのだ。
 最大の見所である海戦シーンも、明らかにCGと分かる代物で、映画というよりパソコンRPGの映像を観ていた気分。安っぽかった。潜水艦からの魚雷一発で駆逐艦一隻が航行不能になり、速度が激減。後続の駆逐艦はそれを避け切れず、激突。これも航行不能に……。この冗談みたいな戦法で艦隊が壊滅状態に陥る。本物の艦隊はこのような密集体制は当然取らない。
 クライマックスシーンである原爆を搭載した爆撃機を阻止するシーンも、物凄く嘘っぽかった。「アメリカの爆撃機を阻止するぞ!」という艦長の発言を聞いた時、潜水艦は空軍基地付近に浮上して離陸態勢にある米爆撃機を基地諸共破壊するのか、と思っていたが、そうでなかった。離陸して基地から離れるところだった爆撃機を、急浮上した潜水艦が主砲の二連斉射で仕留める、という到底有り得ない結末。潜水艦がどうやって原爆を搭載した爆撃機を特定したのか分からないし(爆撃機は数機あった)、当時の軍艦が飛行中の機体を撃墜できるほど正確な射撃制御が可能だったとは思えない(現在の艦船は全てコンピュータ制御で即座に対応できるが、この頃の日本海軍艦船は全て目測で、たった数秒間で測定・射撃するのは無理だった筈)。その意味でもアニメっぽかった。
 終わり方もイマイチ。爆撃機を仕留めた潜水艦は米艦隊に包囲されていた。この危機をどう切り抜ける? ……と思っていたら舞台は「現在」に移動。この潜水艦について調べている作家が退役米海軍船員にインタビューしている場面になる。船員は「日本の潜水艦がどうなったか分からない。見付からなかった」と話し、「魔女」と恐れられたローレライの中枢が少女だったと知って驚く、という結末になっている(この退役軍人役の演技もまるで「在日外国人を適当に採用しました」といった感じで、まさに大根)。最も手に汗に握るであろう場面を飛ばしてしまう映画も珍しいのではないか。
 また、日本の映画製作者は「日本人は戦争アレルギーが強い。単に戦闘を描くと『戦争を賛美している』と糾弾される!」と考えるらしく、「戦いは何も生み出さない。互いに理解し合うことが大事なのだ」というメッセージを捻り込もうとする。本作品も例外ではない。メッセージを捻り込むのは結構なんだが、もう少し上手くできないのかね。
 本作品のやり方では、製作者側が画面上に登場して、「本作品は戦争を描いていますが、我々は戦争を賛美している訳ではありません。これだけは信じてください! お願いです! 我々が圧力団体などから非難されないよう、このメッセージだけは受け取ってください!」と客に向かって懇願しているかのよう。
「平和メッセージ」のない映画を製作して公開したところで国民が「戦争はいいんだ! 戦いはいいんだ! 戦争しよう!」なんて考えるとは思えないし、仮に国民がそう思ったとしても、政府がそれに応じてどこかを攻める、なんてアホなことをするのは有り得ない。
 いい加減に「平和メッセージを捻り込まないと公開できない!」なんて思い込みは捨てたらどうか。
 本作品は、評判だけが先行していた小説の力不足をあえて露呈してみました、て感じ。
 この原作者の作品を映画化したものがこれから続々と公開されるということだが、特に観たいとは思わない。当然、原作を読もうという気も起こらなかった。


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Last updated  2005.06.13 14:47:44
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