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2006.01.01
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カテゴリ: 邦画
YAMATO浮上!-ドキュメント・オブ・『男たちの大和/YAMATO』-

 戦艦大和の最期、そしてその乗組員の生き様・死に様を描いた大作。
 本作の制作をきっかけに、日本は「大和ブーム」になったという。


粗筋

2005年。
 九州を一人の女性が漁村を訪れ、太平洋のある海域にまで連れて行ってほしい、と頼み込んできた。
 その海域とは、戦艦大和が沈没した場所だった。
 漁村からその沈没場所まで、船で行くとなると十数時間。荒れ易く、頼まれたくらいで行く訳にはいかない。
 漁協組合の者は当然ながら断った。
 女性が途方に暮れているところ、ある老人が女性の頼みを引き受ける。その老人は漁師で、実は戦艦大和の生き残りでもあった。老人はこれまで大和が沈没した場所を訪れたことはなかったが、今回初めて行くことに。
 女性の為というより、自分自身の為に。
 老人は、航行で、戦艦大和で過ごした過去を思い出す……。


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感想

 大和の実物大セットだけで数億円かけたという超大作。
 そんな訳で、戦闘シーンなどの迫力は抜群。
 まず、戦艦での戦闘、てこんなに悲惨で原始的なものだったのか、とびっくりさせられる。対空機関砲を操縦する船員は敵機からの機関砲襲撃に殆ど無防備で、艦を敵機から守る重要な存在にも拘わらずバタバタと死んでいく。機関砲の照準合わせも目視によるもので、敵機の確認も双眼鏡を持った船員に頼っている。こんな非人道的・原始的な兵器でよく戦争ができたな、と思ってしまう。
 戦時の昭和の再建も、かなりリアルに仕上がっていて、金と手間がかかってるんだな、と感じる。
 そういう意味では、見所の多い作品ではあるが……。
 一方、「もう少し金をかけられなかったのかね」と思いたくなる場面も多い。
 金をかけてはいるもののかけ切れなかった、と感じるのが、戦艦大和の全体が映るシーン。
 見るからにCGっぽい。
 パソコンゲーム並み、というほど酷くはないが、一目で「ああ、CGが使われてるな」と気付かれてしまうようでは困る。

 役者の台詞も、台本を読んでます、というのが分かるもので、映画というより舞台演技のよう。「役者を喋らせることが演技」という思考を、脚本家は捨てるべき。
「現在」のシーンでは、鹿児島の漁業組合の者が登場するが、どれも方言を無理矢理喋らされているようで、何となく不自然に感じた。鹿児島人も、あそこもまで訛りがあるのはもはやいないと思うが。

 本作品の最大の問題は、「日本の戦争映画」から脱していないこと。
 反戦団体から「戦争を美化するな!」と抗議されるのを恐れているからか、とにかく「戦争は悲惨なんですよ!」というメッセージを観客に捻じり込もうとする。
 戦争が悲惨だ、なんて大抵の人は本作を観なくても既に知っている。映画制作者が叩き込む必要はない。
 また、本作は大金をかけた映画の例に漏れず、「大作=感動作」の方程式から外れていない。「さあ、泣きましょう!」というシーンがいくつも盛り込まれている。一回や二回ならいいんだが、五回も六回もあると「またか……」と白けてしまう。
 ストーリー構成にも問題が。
 現在と過去に場面が頻繁に入れ替わり、それだけでだれてしまう。
「漁村を訪ねた女性は、生き残った大和乗組員の養女。亡くなった養父は、自分の遺骨を大和に帰してほしいとの遺言を残していた。だから女性は何が何でも大和の沈没海域に行きたがっていたのだ……」
 ……この部分は省いてもよかったと思う。最初から終わりまで過去を舞台にした方が、すっきりした作品に仕上がっていたと思う(現在で始まり、過去に舞台を移し、時々現在に戻り、ラストを現在で迎える……、という手法は、「タイタニック」の焼き写しのように感じた。いずれも巨大な船が沈没するし)。
 ストーリーそのものも、ただ単に「戦争は悲惨だ」のメッセージを繰り返すだけのようで、救いがない。その結果、一度観るだけで満腹状態になってしまい、「もう一度観たいか?」と訊かれても拒否するだろう。

 本作は、あくまでも「大和の物語」。
 映画の視点は大和が中心になっている。
 したがって、大和以外の艦船は敵味方に関係なく描かれておらず、まるで大和が常に単独で行動していたかのようになってしまっている。
 太平洋戦争を多面的に取り上げるとストーリーが複雑になり過ぎて失敗作になっていただろうが、「大和の沈没で日本の敗北が決定した」といった誤解を与えかねないストーリー構成には疑問が。

 もう一つ疑問に思うのが、一般乗組員が大和のことを「世界最大の戦艦」と言っていること。
 戦艦のように規模や性能がそのまま戦力に直結する兵器は、無闇に性能などの情報を外部に漏らしてはならなかった筈。一般乗組員が世界最大であることを知っていたなら、敵側にも筒抜けになっていただろう。日本海軍はそんなことを許していたのだろうか?
 現に、アメリカの記録写真では、大和の同型艦「武蔵」を「45000トンの戦艦」と解説しているものがある(実際には60000トン超)。戦艦大和が世界最大の戦艦だったのを一般市民が知ったのは戦後かなり経ってからだった、という話も聞く。
 日本海軍は、少なくとも大和の性能を敵側から隠し通せたのである。
 したがって、一般乗組員が大和のことを当たり前のように「世界最大の戦艦」と称するのは違和感が。

 キャストは反町隆史、中村獅童、渡哲也、鈴木京香、長島一成、仲代達矢など、かなり豪華。これも「大作」の見所であり、弊害でもある。
 なぜなら、キャスト全員が「自分が出る場面を多くしろ、あるいは出番が少なくても重要なキャラにしてほしい」と言い出すから。
 本作品は、キャストの出番や役の割り振りはそれなりに上手くいったようである。


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Last updated  2006.01.01 21:16:50
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