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2006.11.26
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カテゴリ: 洋書

「ジャッカルの日」と同じ作者である。1972年出版。


粗筋

元ナチ親衛隊のメンバーから結成された秘密結社オデッサ。終戦から十数年経った後も、ユダヤ人の絶滅を計画していた。標的となるのはユダヤ人国家イスラエルである。
 オデッサは、イスラエルと敵対するエジプトのミサイル開発に、手を貸すことにした。戦中にナチドイツの下で働いていた科学者たちを集めることにした。
 このことを知ったイスラエルは、阻止しようと動く。
 一方、ドイツでは、あるユダヤ人が自殺する。そのユダヤ人は戦時中収容所にいて、その体験を日記に残していた。
 日記を偶々手に入れたレポーターのピーター・ミラーは、その中で記されていたナチ親衛隊将官ロシュマンに興味を持つ(なぜ興味を持ったのかは最後で明らかにされる)。ミラーは、周りの反対を押し切って、ロシュマンを追うことにする。
 しかし、ミラーは問題に直面した。ドイツ政府が予想以上に非協力的なのだ。ミラーはあちこちの部局にたらい回しにされる。
 ミラーは、たらい回しにされている内に、イスラエルの情報機関と接触することになる。イスラエル情報機関は、オデッサに潜入できる者を探していた。ユダヤ人だと簡単に見破られてしまうのだ。ミラーは、ロシュマンに近付く為、イスラエル情報局と協力することにした。
 イスラエル情報局は、ミラーを元ナチ親衛隊のメンバーとして潜入させることにした。厳しい特訓で、ミラーは親衛隊員に関する知識を身につけた。
 ミラーは、親衛隊を装って、オデッサのメンバーと接触する。イスラエル情報局は、ミラーに対し、そのままオデッサの中枢にまで潜入しろと命じていたが、ミラーはロシュマンを追うことしか興味がなかった。オデッサのメンバーから聞き出したい情報を聞き出すと、単独で追跡を始めた……。


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解説

本作品は「ジャッカルの日」と同様に傑作とされているが、それはどうかなと思う。
 第一に、ミラーが馬鹿過ぎる。彼の愛車はジャガーだが、それをなぜか乗り回したがるのだ。金に困っている筈のナチ親衛隊を装っている時も、である。当時のドイツでは、この種の車は珍しかったので、非常に目立つ。ミラーの行動を追跡していたオデッサは、この車のお陰でミラーの元ナチ親衛隊の偽装を簡単に見破ってしまうし、また、この車を探すだけでミラーの居所を即座に特定できた。
 それでは、逆にオデッサは優秀な組織なのかというと、そうでもない。なぜなら、ミラーという一人の男さえも満足に始末できないからだ。こんな組織がよく世界の目を欺いて元ナチ戦犯をかくまえたな、と思ってしまう。
 一番みっともないのがオデッサの殺し屋マッケンセンだろう。腕利きの殺し屋の筈なのに、失敗ばかりする。最大の失敗がミラーのジャガーに仕掛けた爆弾である。
 悪路に乗り上げた途端に爆発するよう、爆弾を仕掛けるのだが、イギリス製スポーツカーのサスペンションはドイツ車のサスペンションより堅い、ということを考慮しなかった為、路面の凹凸に乗り上げても爆発しない、というヘマを犯す。
 ミラーは、偶然や運に助けられてロシュマンを探し出すのだが、結局ロシュマンを警察に引き渡す、という目的は果たせなかった。ロシュマンが逃げてしまった為、彼が拘わっていたエジプトのミサイル開発は失敗するが、そんなことはミラーが知る由もない。
 ストーリーはご都合主義で進み、中途半端に終わる(ミラーがロシュマンを執拗に追ったのは、日記から父親を殺したのがロシュマンだったと知ったから)。それなりに楽しめる小説だが、傑作とは言い難い。
 現在、エジプトは、他のアラブ諸国の反対を押し切ってイスラエルと平和条約を結んだ程の穏健派国家である。その意味では時代を感じさせる作品である。
 ドイツは、戦後処理として、ユダヤ人に対し多額の賠償金を支払った。その為、元ナチ戦犯の逮捕にも積極的だったと思われるが、本作品を読むと別にそうでもないのが分かる。
 現在はどうか分からないが、小説の設定時となっている1960年代は、大半のドイツ人は「辛い過去なんてもう忘れたい。いや、もううんざりしている」と現在の日本と同様の態度が大半を占めていたらしい。
 新しい発見である。
 これが本作品の最大の見所か。



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Last updated  2006.11.26 22:00:57
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