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2006.11.29
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カテゴリ: 邦書

 推理作家鮎川哲也が本格推理短編一般公募した結果出版された短編集第13弾。12編の応募作品の他に、鮎川哲也氏のこれまで未収録だった作品が5編収録されている。残りは こちら


粗筋

「水の記憶」:八木健威
 ある店の外にイルカのオブジェがあった。クリスマスパーティーのため、そこにプレゼントを保管する。そんなところ、四人の貧しい子供がその店で食い逃げしようとする。抗議の為だった。そのパーティーというのが、裕福な子の為のものだったからだ。偶々居合わせたある塾の先生のはからいで、事なき終えた。
 翌日、イルカの中から店員の死体が見付かった。死因は水死だった……。
 ……店員はイルカの中のプレゼントを確認中、頭を打ち付けて気絶してしまった。その後、貧しい四人の子が、パーティーを台無しにするため、プレゼントを水浸しにすることを思い付いた。四人は、中に人がいるのを知らずにイルカを水に沈めてしまったのである。
 作者は感動的な話として演出したかったのかもしれないが、単に後味の悪い話になってしまった。とにかく犯人の子供らに好感が持てない。食い逃げを店の者に咎められているところで無関係の塾の先生に助けてもらったというのに、懲りずに更なる悪行を決行し、結局他人を死なせてしまうのだ。
 塾の先生により今回の件は事故とされ、子供はまたおとがめを受けることなく先生の生徒となる。
 とにかく後味が悪い。
 しかし他に置き場所がないからプレゼントをイルカのオブジェに保管する、という考えが理解できなかった。

「紫陽花物語」:砂能七行
 和服姿の女性が乳母車を押している。この地域は子供の神隠しが頻発していた……。
 ……結局何が何だか分からなかった。ラストはいたずらでした、で終わっているようだが。
 10巻に同作家の「手首を持ち歩く男」が収録されている。そちらも不発だった。訳の分からない作品を書くのが好きらしい。

「青い部屋に消える」:岡村流生
 あるカップルがリゾートホテルを訪れたら、殺人事件に出くわした……。
 ……トリックが使われたそうだが、結局何だったのか分からない。そのくせ「読者への挑戦状」があって、馬鹿馬鹿しさが増している。探偵役もイマイチ。しかもラストが全ていたずらでした、になっているので、更に減滅。

「信じる者は救われる」:谷口綾
 高価な仏像が盗まれる。しかし、現場は雪が降った。足跡はない。問題の仏像はテレビで取り上げられたほど有名なもの。どこかに持ち込んでも盗品であるのが発覚してしまうので、換金できない筈である。
 誰が、どういう理由で、そしてどうやって盗み出したのか……。
 ……犯人は小学生の女の子。一輪車が得意だった。そのバランス感覚を活かして畑のキャベツを踏んで雪原を渡った。その後少し雪が降ったので、キャベツの上の足跡は隠れてしまった。
 少女が仏像を盗んだのは、祖母が危篤で、仏の力を借りようとしたからだった。
 少女が足跡を残さずに雪原を渡ろうと考えるかね、と首を捻ってしまう。

「クリスマスの密室」:葉月馨
 サンタクロースはいるかいないかで大騒ぎしていたら、知らぬ間にプレゼントが現れていて……。
 ……結局何が何だか分からなかった。殺人がないので作品が地味になってしまう。
 本編は10巻の「サンタクロースの足跡」の続編。前作もあまり印象に残らなかったが、こちらはより印象に残らない。

「ある山荘の殺人」:湯川聖司
 周囲が崖となった孤島。出入りは一本の釣り橋しかない。そこには別荘があった。ミステリ研究会の部員がそこで一泊することにした。
 到着後、天気が悪化し、釣り橋が落ちてしまう。部員は島に置き去りになった。
 そんなところ、一人が殺される。犯人は別荘内の者しか有り得ない。犯人は誰か……。
 ……実は橋は落ちていなかった。少なくとも犯行時は。共犯の一人である部員が「落ちていた」と嘘の報告をして、それを他の部員が受け入れてしまったのだ。
 主犯は、落ちている筈の橋を渡って島に入り、殺した後、橋を渡って島を出て、橋を落としたのである。
 橋が落ちていた筈の時点で別荘にいた犬が、翌朝落ちた橋の反対側にいたところから、共犯の「橋が落ちた」という言葉が嘘だったのが発覚し、犯行がばれてしまう。
 共犯はなぜこんなずさんな犯人の計画に加担したのか不明。
 また、主人公は「あなた」すなわち読者となっているが、なぜこうしたのか分からない。
 7巻にも同作家の作品が収録されている。

「暖かな病室」:村瀬継弥
 妻は余命数カ月だった。最後の願いとして、大学生時代、二年間にわたって月10万円を仕送りしてくれた「Aさん」という謎の人物に会いたいと言った。
 その願いを叶える為、夫は妻が通っていた高校を訪れる。担任教師だと思っていたが、当時大金であった10万円を毎月送れるほど裕福ではなかった。他にも色々当たるが、それらしい人物は浮かばない……。
 ……担任教師とクラスメート39人、計40人が毎月2500円ずつ出したのだった。
 普通そこまでやるかね。2500円を24ヶ月だから6万円。計240万円。そんな金を一人のクラスメートに寄付できるだろうか。非現実的で感動がない。

鮎川哲也氏の単行本未収録のショート・ショート5編:

「海彦山彦」:海彦は左耳の鼓膜を損傷した男。知り合いの刑事に双子の弟の山彦が殺されたという。刑事は容疑者を調べ上げるが、どれも怪しく、決め手がない。刑事は容疑者のアリバイ確認のため、海彦に電話をかけてくれと頼む。海彦は電話を左耳に当て、電話し始めた……。
 ……犯人は無論山彦。兄の海彦を殺して兄に成りすましたが、聞こえない筈の耳に当ててしまったためばれた。馬鹿な犯人。成りすました奴の身体障害くらい把握しておくべき。本作品は懸賞付きクイズで、6000通の応募があったが、正解は39通だったという。正解率が物凄く低い。発表された1957年はともかく、現在だと問題にもならない。

「遺書」:殺し屋がある男を殺しに来る。自殺に見せかける為、遺書を書けと迫る。被害者はペットを殺すと脅迫され、仕方なく書く。下手な字だった。殺し屋は契約通り殺して、成功報酬を受け取りに依頼者と会ったところ、逮捕されてしまう。殺し屋はなぜ殺人であることがばれたのだと不思議がる。
 ……被害者は左利きだったが、右手で遺書を書いた。だから下手な字だった。そこから殺人だと発覚した。前金と成功報酬を別々にするとは。ゴルゴ13とは比べ物にならない馬鹿。

「殺し屋の悲劇」:殺し屋が、夫を殺してくれ、とある女性に頼まれる。殺し屋は夫が現れるという場所で隠れて待っていたが、夫は現れなかった。殺し屋が不思議に思っていると、全く無関係の人物の殺人で逮捕される。同じ時刻に殺されたのだ。無論アリバイがない殺し屋は言い逃れできない……。
 ……夫と妻が共謀して殺し屋を騙した。殺したのは無論夫だった。その殺人を殺し屋に擦り付けた。ここまで上手くいくかね。殺し屋も馬鹿である。

「ガーゼのハンカチ」:ある男がモデルの女性を殺す。アリバイ造りのため、テレビを観ている最中に殺されたように見せかけて殺した。しかし、失敗し、逮捕されてしまう。
 ……その女性はコンタクトレンズをはめていたが、殺した時点では外していた。コンタクトレンズ抜きでテレビを観られる訳がない、ということで偽装が直ぐ見破られてしまったのだ。
 NHKが夜12時で放送を終える、というのは時代を感じさせる。

「酒場にて」:殺す相手がいる部屋の番号を書き記したメモを渡したが、殺し屋は全く別の部屋の者を殺してしまった。メモを逆さに読んだのだ。ただ、メモには赤い字でホテルの名が入っており、上下が明らかなので、逆さまに読む筈はない……。
 ……殺し屋がメモを開いた場所は赤い照明だった。そのためホテルの名が消えてしまい、無地のメモ用紙に書いてしまったように見え、逆さまに読んでしまったのだ。

 ……鮎川氏の5編は短いとあって、どれも単純。クイズみたいである。「殺し屋の悲劇」はそれなりに面白かったが……。なぜ殺し屋ばかり出るのか。


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解説

第13巻は12巻以上にこれはというものがなく、どこが評価されて採用されたのかが理解できなかった。


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Last updated  2006.11.29 14:44:59
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