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2008.04.08
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カテゴリ: 洋画

 M:i:IIIのJ・J・エイブラムスによる徹底した秘密主義の下で、「映画史上初めてタイトルも隠した映画」として全世界で話題が集中したパニックアクション映画。
 J・J・エイブラムスが来日した際、ゴジラ映画に触れ、それに触発されて製作を決めた映画だという。


粗筋

舞台はニューヨーク。
 日本への転属が決まったロブ(マイケル・スタール=デヴィッド)の為に、兄や友人など、大勢の仲間たちがサプライズ・パーティーを開く。そのパーティーの最中、突然、爆発音が聞こえた。彼らが屋上へ向かうと、まるで爆撃を受けたかのようにニューヨークの街が広がっていた。
 どうやら巨大な「何か」が街で暴れ回っているらしい。
 ロブたちはマンハッタンからの脱出を試みるが……。


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感想

 ニューヨーク市が巨大な「何か」の容赦なく一方的な攻撃を受ける模様を、一つのビデオカメラを通して描いた作品。
 設定上は、ある民間人のビデオカメラを軍が回収し、それに残っていた映像を手を加えることなくそのまま流した、ということになっている。

 徹底した秘密主義の下に製作・公開された映画、ということだが……。
 自分が見る頃にはそれなりの情報が入手可能になっていた。
 したがって、自分は製作者の意図から外れた観方をしてしまった訳だが、個人的にはこれで良かったような。
 本作品は、何の事前知識も無く観せられて、「この作品は怪獣映画だったのか!」と知るより、事前に「これは怪獣映画なんだな」という程度の知識を持って観た方が納得がいくのだ。

 本作品の最大の特徴は、一つのビデオカメラを通してある出来事をひたすら撮影した、という設定になっていること。
 したがって、ニューヨークを襲撃した「何か」の正体や、その目的は結局分からずじまい。「何か」がどうなったのかも分からない。多数の登場人物が現れるが、最終的にどうなったか、というのも分からない。
 分からないことだらけなのである。
 明確な結末が無い訳だから、本来なら不満に思うのだが、この設定のお陰で何となく受け入れられてしまう。
 むしろ、分からないことだらけの方がいいのではないか、と。何もかも明確にしてしまうと、むしろ拍子抜けしていただろう。
 素人カメラマンが偶々自家用ビデオカメラで撮ってしまった映像、という設定なので、映像は手振れしまくり。お陰で、鑑賞者の中には乗り物酔いになってしまった人が多かったとか。個人的には全く問題なかったが。というか、最近のハリウッドアクション映画に有りがちな、目まぐるしいカット割で何が起こっているのかさっぱり分からないシーンより、本作品の手振れシーンの方が観易いように感じた。

 本作品は、典型的なハリウッド映画でもある。
 登場人物は少なく(主人公のロブ、ロブの恋人、ロブの弟の恋人、ロブの弟の友人(撮影者)、そして撮影者が思いを寄せる女性の五人。数人は途中で退場する)、登場人物の心理的描写は殆どない。
 これらは、「名作」映画となると致命的だが、アクションを前面に押し出したエンターテインメント映画としては、むしろ都合が良い。観客は、色々なことを考える必要が無く、ただスクリーンを観ていればいいのだから。
 邦画だとタレント失業対策と言わんばかりに登場人物を無駄に増やしたり、「感動」を演出しようと「お涙頂戴シーン」を捻り込んでいたりしていただろう。
 これといった「教訓」がないのもハリウッド的。邦画だったら、何らかの「教訓」を台詞にして盛り込むといった馬鹿なことをしていただろうが、本作品はそういったことは一切していない。したがって、観ている方も白けない。ハリウッド映画の上手いところである。

 撮影方法や、ストーリーというほどのストーリーが無いプロット、そして結末などから、賛否両論が飛び交っているが……。
 批判においては、根拠が無いというか、本作品の意図を全く理解していない感じがする。
 くどいようだが、本作品は、設定上は「何か」によって破壊されたマンハッタンから回収されたホームビデオに残っていた映像をそのまま流したもの、ということになっている。
 したがって、画面が手振れ映像だらけになるのは当然。全く手振れの無い普通の映像だったら、むしろ不自然に感じただろう
 ストーリーと呼べるものが無い、という批判も、ホームビデオ、という設定からすると、不思議ではない。実際の大規模テロに遭った人物の視点を映像にしたら、本作品と大差の無いものしか撮れないだろう。普通の人間は、事件に巻き込まれたら状況を把握しようとするよりまず避難するのが当然なのだから。
 結末と呼べる結末が無い、という批判も、根拠が無いような。「ホームビデオに残っていた画像」が終われば映画も終わるというのは、流れから分かっていたのだから。登場人物が最終的にどうなったのかは分からないのは事実。しかし、それを明らかにしてしまったらどうなるか。「ホームビデオに映っていた登場人物は死にました」となれば「なぜわざわざ救いの無い結末にしたんだ! これだったら曖昧にした方がマシだった!」と非難されるだろうし、逆に「ホームビデオに映っていた登場人物は無事生還しました」となれば「典型的なハリウッド映画だな。ハッピーエンドを何が何でも捻り出す」と非難されていただろう。曖昧にしていた方が、観客が想像力を膨らませることができて、いいではないか。

 85分という長さも良い。
 これ以上短いと物足りなかっただろうし、これ以上長いとだれていただろう。

 本作品の問題点は、やはりラストか。
 ニューヨーク市を襲った「何か」の映像が、かなりはっきり映っている。
 製作者としては、「『何か』がどんな姿なのか観客に全く知らせないままでは気の毒だ」と感じたのかも知れないが……。
 個人的には、「何か」の姿が結局殆ど分からない、という風に終わらせた方が、むしろ効果的だったと思う。

 本作品は、「登場人物のつまらぬ心理描写なんてどうでもいいから、とにかく楽しませてくれ」という人向けの映画。
「映画というものは人間をきちんと描き、感動をもたらし、現代社会を風刺せねばならない」と考える人には向いていない。

 本作品は、別の視点から撮った続編が作られる予定だという。
 それだと過去の無数にある怪獣映画と大差は無いので、「何もかも謎です」で終わらせた方がいいと思うが……。


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Last updated  2008.04.09 09:24:40
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