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2015.10.27
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カテゴリ: 邦画

るろうに剣心
映画「 るろうに剣心
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 少年ジャンプで人気を博した和月伸宏による漫画『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』を原作とした実写版3部作の第1作目。
 主演は佐藤健。
 他に武井咲、吉川晃司、香川照之、江口洋介が出演する。
 監督は大友啓史。


粗筋

幕末の日本では、幕府側と新政府側の対立で、様々な剣客が暗躍した。新政府側の「人斬り抜刀斎」もその一人。
 しかし維新後、西洋文化が取り入れられて近代化が推し進められるようになると、剣客らは「過去の遺物」と見なされるようになり、忘れ去られ、「人斬り抜刀斎」も実在していたのかどうかも分からない、ただの伝説の人物となってしまう。
 明治に移行してから10年。
「人斬り抜刀斎」こと緋村剣心(佐藤健)は、殺傷を良しとしない「不殺の誓い」を掲げて放浪していて、東京に流れ着く。
 丁度その頃、「神谷活心流 人斬り抜刀斎」を騙る辻斬り事件が発生していた。
 辻斬りの流派と噂されたが故に門下生が1人だけとなってしまった神谷活心流の師範代神谷薫(武井咲)は、剣心を辻斬りの犯人と勘違いして挑み掛かる。が、その直後に薫は実際の犯人である刃衛(吉川晃司)と遭遇。斬られそうになるが、剣心に救われる。
 阿片の製造・販売を手掛けて巨万の富を築いていた武田観柳(香川照之)は、事業の更なる拡大を企む。海外へ阿片を輸出出来る港湾の整備計画を立てた。その計画に当たって邪魔になっていたのが、薫の道場だった。観柳は、道場を潰す為、刃衛に「神谷活心流 人斬り抜刀斎」を名乗らせて辻斬りをさせていたのだった。
 観柳は、破綻全然の道場に手下を送り込み、道場の土地を譲るよう、迫る。
 薫は拒否。
 薫を痛め付けようとする手下らを、剣心が倒す。駆け付けてきた警官隊に、剣心は騒動の原因は自分にあって道場は無関係だと告げた為、連行される。
 連行された警察署に、剣心が抜刀斎である事を知る大物政治家山県有朋と、特命捜査官斎藤一(江口洋介)が姿を現し、剣心に阿片の捜査協力を願う。しかし、剣心はこれを断る。
 釈放された剣心は、出迎えた薫の説得もあり、道場で居候する事になる。
 観柳の下では、女医の高荷恵(蒼井優)が阿片を開発させられていたが、隙を見て逃げ出す。神谷活心流唯一の門下生となっていた明神弥彦と出会い、同じく道場に居つく事になる。
 薫の道場が一層邪魔になった観柳は、一帯の住民ごと抹殺する計画を実行する。井戸に毒を盛ったのだ。医師の知識を発揮した恵により、住民は助かる。
 恵は、これ以上住人にこれ以上迷惑が掛らぬようにと、観柳の屋敷に戻る。
 恵の書き置きを読んだ剣心は、喧嘩屋・相楽左之助と共に観柳の屋敷に向かう。観柳を倒し、恵を助け出す事に成功する。
 恵から、刃衛が薫を拉致し、剣心との戦いを望んでいる事を聞かされる。剣心は、今度は薫を救う為に刃衛の下へと向かい、決着を付ける。



感想

 人気漫画の上辺を抽出して実写化した結果、原作以上に漫画っぽい展開になっているという、不思議な映画。
 ハリウッドでもコミックスの実写版がガンガン製作されているが、それらは原作の本質をきちんと捉えた上で製作されている。子供が観て楽しめるのは当然だが、子供の頃に読んでいた、という大人の鑑賞にも堪え得るものになっていて、「大人向けにもなれるお子様ランチ」に仕上がっている。
 日本の場合、製作者は原作漫画の本質を捉えていないのが殆ど。大人の鑑賞に堪え得るものにはなっておらず、正真正銘の「お子様向けだけのお子様ランチ」にしかなっていない。

 本作は、実写版3部作の第1作目。
 本シリーズを初めて観る者、もしくは原作を知らない鑑賞者の為に、登場人物や舞台設定をきちんと説明する役割を担う筈。ストーリー自体はシンプルにまとめても良かった。実質的な本編は次回作から、という事で。
 残念ながら、原作では巻数をかなり割いて徐々に登場させていた主な登場人物、そして原作では同じく巻数をかなり割いて描いていたストーリーを2時間あまりの映画に欲張って詰め込んでいる。
 その結果、十数話分のテレビドラマの総まとめ編を観た気分になってしまう。
 本シリーズに馴染みが無い者からすれば説明不足で訳が分からないし、馴染みがある者からすれば深みが無くて物足りないものになっている。

 登場人物の描写は中途半端。
 原作を読んでいれば、その姿から、「ああ、あのキャラか」と分かる。
 が、そうでない者からすると、訳の分からないキャラ(相楽左之助、明神弥彦等)が突然現れては何の根拠も無く味方側に付いたり、敵側に付いたりして、それぞれ行動を起こしている印象を受ける。
 これだったら、いっそ登場人物を整理して、減らせば良かったのに、と思う(実際省略されているキャラもいるが、そういうのに限って「何故省略した?」と首を捻ってしまう)。

 ストーリーも、原作では別々だったエピソードが強引に一つにまとめられてしまい、無理がある。
 原作では、東京で辻斬りを犯していた「人斬り抜刀斎」は偽者で、一見頼り無さそうな緋村剣心こそ本物の「人斬り抜刀斎」だ、というのが徐々に明らかにされる展開になっている。が、本作では冒頭で緋村剣心=人斬り抜刀斎であるのが明かされ、辻斬り犯は偽者、というのも直ぐ判明してしまっており、面白みに欠ける。
 十数年前は殺しに殺し捲くっていた主人公剣心が何故現在はひたすら「不殺」を貫くのか、という重大なテーマも軽く触れられているだけ。剣心の過去を知る斎藤一や刃衛から「お前の『不殺』の考えは甘ちょろい。目を覚ませ」と幾度も悟られるが、観ている方からしても甘ちょろく映った。

 出演者も、演技をしているというより、やりたくもないコスプレをさせられている、といった感じで、深みがまるで無い。
 特に、剣心を演じる佐藤健はジャニタレとあって、本人や製作者の意向より事務所の意向が強く反映されている様に映る。「事務所として所属タレントがこれをするのはNG」が乱発されたらしく、演技の幅が極端に狭い。
 普段は頼りがいが無さそうな優男だが、いざとなると超人的な力を発揮する元人斬りというキャラの筈なのに、「剣捌きが多少上手いだけの若造」にしか見えない。敵側の方が強く見える。その強く見える敵も結局剣心に倒されるのだから、所詮見掛け倒れ、という事になってしまう。

 キャラはイマイチ、ストーリーもイマイチ。
 ただ、アクションシーンだけは日本映画の極み……、と言いたい所だが、これもイマイチ。
 というか、陳腐。
 荒唐無稽になりがちな漫画のアクションシーンを説得力を持って実写化するには、相当な予算と綿密な計画が必要。
 しかし、製作者は「所詮漫画の実写に、そんな予算も時間も掛けられない」と割り切ってしまったらしい。
 何の説得力も無いアクションシーンの連続。
 下手にハリウッドを意識しているので、無意味に血生臭く、お子様には見せられない。それ以外の部分は上述した様に「お子様向けのお子様ランチ」なので、バランスが悪い。結局どの様な観客をターゲットにしているのか、と疑ってしまう。
 血生臭さが迫力や緊迫感をもたらしているならまだ救えるが、それも無い。
 再放送で観られる水戸黄門の殺陣の方が、まだ迫力がある。
 予算が限られたといっても、テレビドラマよりは余裕があっただろう。にも拘らずこの程度しか製作出来ないとは、驚く。

 本作は、欧米映画だけを観て時代劇をろくに観ていない連中が、「日本ならではのアクション映画を作ろう! 外国人にも受けるよう、サムライを登場させよう! ただし時代劇なんて爺臭いものは完全に無視する! 『時代物』の新たなスタンダードを、我々で作るのだ!」という壮大な目標を掲げて製作した代物といえる。
 が、完成品を観る限りでは、逆に昔の時代劇の技術力の高さと、伝統の奥深さを再認識させられる。
 本作なんかより、過去の時代劇を海外に発信した方が、「ジャパニーズ・アクション」として世界から評価されそうな気がする。
 特に水戸黄門なんかは、殺陣こそあるものの血生臭くないし、ストーリーは勧善懲悪で、日本文化に詳しくない者が観ても分かり易いし。
 日本は、手元にある資産の活かし方をとにかく知っていない。


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Last updated  2015.10.29 12:56:04
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