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2016.11.10
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カテゴリ: 洋画

スター・トレック BEYOND
(C)2015 PARAMOUNT PICTURES. ALL RIGHTS RESERVED.
映画「 スター・トレック BEYOND
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 SFシリーズ「スター・トレック」のリブート版第3作。
 クリス・パイン、ザカリー・クイント、ゾーイ・サルダナ、サイモン・ペッグ、カール・アーバン、アントン・イェルチン、ジョン・チョーが前作と同じ役で登場。
 ただし、チェコフを演じていたアントン・イェルチンは本作公開間近に事故死してしまい、本作が遺作となる。製作者は、次回作ではチェコフは別の俳優をキャスティングするのではなく、チェコフというキャラそのものを登場させない意向を示している。
 原題は「STAR TREK BEYOND」。


粗筋

 銀河連邦の宇宙艦隊に属するエンタープライズ号は、五ヵ年の長期宇宙探査の3年目に差し掛かっていた。
 カーク艦長(クリス・パイン)は、マンネリを感じていて、副官のスポック(ザカリー・クイント)を艦長に昇進させ、自身も提督に昇進して宇宙基地の指揮官になろう、と考えるようになっていた。
 一方、スポックも、スポック大使(レナード・ニーモイ)が死去した、という知らせを受ける。自分はニュー・バルカンの為に身を投じるべきだと感じるようになり、宇宙艦隊の辞任を考えるようになっていた。
 エンタープライズ号は、宇宙基地ヨークタウンに立ち寄る。
 それから間も無く、未確認の宇宙船が現れ、救助を求める。救助するには、航行が困難な星域を突破しなければならない。それが可能なのはエンタープライズ号だけだという事になり、カーク艦長はクルーを引き連れて救助へとまう。
 すると、謎の異星人クラールが、エンタープライズ号を襲撃。これまでに無い戦法により、エンタープライズ号は大破し、惑星に不時着。クルーは散り散りになってしまう。
「救助」自体が、クラールが仕掛けた罠だったのである。
 カーク艦長は、スポックらとどうにか再会。
 クラールは、どういう訳か銀河連邦に敵意を抱いていた。エンタープライズ号が保管していた古代文明の兵器を手に入れ、それを使って宇宙基地ヨークタウンを破壊しようと企んでいた。
 一方、カーク艦長らは、宇宙艦隊が設立された直後の100年前に消息を絶ったフランクリン号を発見する。宇宙への航行が可能になるまで修復されていたので、それを使って惑星を脱出し、宇宙基地ヨークタウンへと向かう。
 クラールは、既に宇宙基地ヨークタウンへと向かっていた。古代文明の兵器を起動させ、基地の住民を丸ごと死なせる直前に、カーク艦長に阻止される。
 クラールは、実は地球人だった。フランクリン号のエディソン艦長だったのだ。100年前、フランクリン号は未知の惑星に不時着。救助を要請したが、助けは来なかった。銀河連邦は自分を見捨てた、とエディソン艦長は思うようになり、惑星での生活を強いられる。そうしている内に体質が変化していき、復讐の鬼のクラールとなってしまったのだった。
 クラールを倒し、ヨークタウンを救ったカーク艦長らは、また宇宙探査に希望を見出すようになり、新たに建造されたエンタープライズ号に搭乗し、ミッションを続ける。



感想

 リブート版は、第1作と第2作は、J・J・エイブラムスが監督を務めたが、彼はスターウォーズの続編にも携わる様になった為、本作の監督はジャスティン・リンに譲る羽目に。
 皮肉にも、その結果リブート版の中では最も見応えのあるものに仕上がっている。
 ただ、ジャスティン・リンはスター・トレックの造詣が深いという訳でもないからか、観た後に振り返ってみると、矛盾点というか、問題点の多さに驚かされる。

 最大の問題点は、本作でエンタープライズ号がいとも簡単に破壊されてしまう事。
 ここまで簡単に破壊されてしまう宇宙船が、よく五ヵ年長期探査の内3年も持ったな、と思ってしまうし、宇宙艦隊を志願するのは自殺行為ではないか、とも思ってしまう。

 敵のクラールが捜し求めていた古代の兵器を、カーク艦長が偶然手に入れていた背景も、説明されていない。
 兵器だというのは分かっていたものの、何の為の、どういった兵器なのか全く分からないまま手に入れていた、というのも不可解。

 クラールは、実は地球人で、100年前に消息を絶ったフランクリン号のエディソン艦長だった、というのがラストで判明する。
 不時着したフランクリン号は航行が不可能で、放棄されていて、エディソン艦長自身その存在を忘れていた。
 カーク艦長らはフランクリン号を発見するものの飛ばせないだろうと思いきや、クラールに殺される所を脱出し、単独で生きていたジェイラによって航行可能な状態にまで修復されていた。カーク艦長はフランクリン号を使って惑星を脱出。
 何故エディソン艦長は不時着した際にフランクリン号を探し出し、修復し、自ら惑星を脱出出来なかったのか、という疑問が生まれてしまう。
 エディソン艦長は、不時着した惑星に、体質を変えながら(変えられながら)順応していき、100年も生き延び、エンタープライズ号を簡単に破壊出来る船団を率いるまでに至っている。そこまで優秀で、統率力のある人物なら、仮にフランクリン号を改修出来なかったとしても、何とか惑星を脱出する手段を思い付いていただろうに。何故復讐の鬼として銀河連邦に牙を向ける事に凝り固まる羽目になったのか、詳細が分からない。

 宇宙を舞台とした活劇なのに、ラストでは拳で殴り合う肉弾戦で決着を付けるというのも、奇妙な気がする。

 スールーという東洋人キャラを、実は同性愛者でした、という設定にしてしまうのも、強引過ぎる(テレビシリーズでスールーを演じていたジョージ・タケイが同性愛者である事をカミングアウトしたのがヒントになった、という見方も出来なくもないが)。

 カーク艦長の心理描写も微妙。
 ミッションが失敗すると、長期に亘る宇宙探査にマンネリを感じる様になり、艦船の指揮を離れる事を検討し始める。
 一方、ミッションが成功すると、宇宙探査に身を投じ続ける事に希望を持つ。
 ミッションの成功・失敗で簡単に気分が上下する人物が、艦長として相応しいのか、疑問に思う。

 本作のラストで、破壊されたエンタープライズ号の代わりとして、エンタープライズA号が新たに建造された事が明らかにされる。
 旧シリーズでは、破壊されたエンタープライズ号の代わりとしてエンタープライズA号がカーク艦長に引き渡されたのは、カーク艦長の長年の仕事振りを労う為だった。
 リブート版では、カーク艦長は5ヵ年探査すらまだ終えていない。エンタープライズ号が破壊されたくらいで直ぐさまエンタープライズA号を与えられる程宇宙艦隊に貢献していない。
 リブート版の世界では、艦船が破壊されると、直ぐさま同じ名前の艦船が建造される様になっているのか。

 数々の問題はあるものの、宇宙を舞台とした活劇として観れば、それなりに楽しめる。







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Last updated  2016.11.11 12:07:03
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